留学は当たり前“タイの東大”チュラロンコン大学講師に聞く最新教育事情

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「JAPAN EXPO IN THAILAND 2016」会場のようす
  • 「JAPAN EXPO IN THAILAND 2016」会場のようす
  • Kritinee Pongtanalert氏はチュラロンコン大学でマーケティングを教える
 グローバル化が進む今日の社会では、欧米諸国のみならず、さまざまな国との相互協力、異文化理解が重要視されている。こと日本においては、アジア諸国との連携が不可欠であるとされ、近年では留学トレンドにもカナダやオーストラリアなど従来の人気国のほか、アジア諸国の名が上がってきている。

 2月12日から14日までの3日間、日本の企業や教育機関など、200以上のブースが出展した「JAPAN EXPO IN THAILAND 2016」が開催されたタイも、より一層の相互理解に期待が集まる国のうちのひとつ。自身も元国費留学生として神戸大学経済学部で経営学の博士号を取得したのち、現在は「タイの東大」とも呼ばれる国内最古のチュラロンコン大学商学部で講師を務めるケット・クリティニー氏に、タイから見た日本での学びや就職先としての魅力、タイ人学生を取り巻く環境について聞いた。

◆タイの大学在学率は47.2%

--タイの子どもの高校・大学進学状況について教えてください。

 タイ教育省の2011年の発表では、高校の在学率は72.2%。大学は47.2%だそうです。タイの義務教育は中学までです。大学に進学する生徒は、中間層か上流階級の生徒ですね。低所得層は、教育の重要性をあまり感じない、かつ子どもに教育費をかける余裕がないため、このような在学率になっていると思われます。

◆留学は「当たり前」…卒業後はイギリスやアメリカへ

--日本では今、政府指導のもと海外への留学を活発にしようとする動きが見られます。タイの高校生、大学生の留学意欲はいかがでしょうか。

 中間層以上のレベルなら「留学は当たり前のこと」です。タイの大学を卒業したら、次(大学院)はイギリスかアメリカに行こうと、多くの学生は考えています。といっても、具体的に「このような知識がほしいから留学する」というわけではなく、キャリアやプロフィールのため、と考えているようですね。タイ国内では、海外留学はひとつの社会的ステータスですから、留学する余裕がある家庭はたいてい、子どもを留学させています。

◆海外の生徒・学生が日本へ留学する意義とは

--タイの学生は、日本への留学にどのような期待をおもちでしょうか。

 タイ国内では、アニメや漫画の影響か、「日本が大好き」な生徒・学生が年々増えています。そのため、日本に留学したいと考える高校生や大学生が増えていますね。留学の目的は、日本語の勉強と漫画の勉強です。

 小さいときに憧れていた日本。アニメと漫画から、日本の家、日本の学校、制服、畳文化など、実際見てみたい高校生や大学生は多いでしょう。ほかの国では知識を得られますが、日本へ留学すれば、知識だけではなく、憧れていた日本の文化を学べることがとても魅力的だと思います。それが、日本に留学する意義のひとつであると思います。

◆アルバイトの代わりにプチ起業、好奇心旺盛なチュラ大生

--アニメや漫画は、タイでも人気なのですね。そのほかに、タイの高校生・大学生はどのようなことに興味があるのでしょうか。

 私はチュラロンコン大学で教えているため、“チュラ大”の学生のことしか語れませんが、チュラ大の学生はまず、勉強熱心ですね。就職するときに、成績が優秀でないとなかなか採用してくれないので、どの学生も自身の成績に非常に興味を持っています。成績発表されると、たまに学生から「採点基準を教えてください」などの質問が来るほどです。

 学生の興味は多様化していますね。K-POPが好きな子もいれば、ゲームに夢中になる生徒や学生もいます。タイの学生はサークル活動にあまり熱心ではありませんが、自分たちの趣味のコミュニティを中心に活動しているようです。

 それから、チュラ大の学生に関して、面白いのは起業家精神が旺盛である点ですね。ある学生が、次のようなエピソードを教えてくれました。

 「グルメが大好きで、タダで食べたいから、インスタグラムのアカウントを作ってグルメ・チャンネルメディアとして情報発信しています。それがだんだん人気になって、今はレストランから招待されるレベルになりました。」

 ほかには、卸売り場から服を買って、インスタグラムで販売している学生もいます。1か月で10万バーツ(約29万円)くらいは稼いでいると思います。タイではアルバイト制度が充実していないので、大学生はこのような方法でお小遣いを稼いでいるのかもしれません。

◆魅力的、一方で独特な日本の就職事情

--学生時代からビジネス精神が旺盛なのですね。就職には成績が影響するとのことですが、タイの大学生にとって、日本での就職はどのように考えられていますか。

 学生にとって、魅力的だと思います。タイと比べると、日本での生活は物資が豊かで、便利です。しかし、日本は割と独特の雰囲気と習慣があって、日本のことを愛して理解しないと不満やストレスの原因になると思います。

--ありがとうございました。

 クリティニー氏は、「JAPAN EXPO IN THAILAND 2016」に参加し、「旅行、文化、ビジネスなど、広範囲にわたる日本関連の情報に一度に触れられてとても良かった」と語る。

 2015年に続き、「JAPAN EXPO IN THAILAND 2016」は2016年で2回目の開催。初回の2015年は167社が出展、第2回の今年には出店社が200を超え、さらなる盛り上がりを見せていた。今後も、タイをはじめとするアジア諸国の学生と日本人学生の国際的な活動から目が離せない。
《編集部》

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