貧困世帯と非困窮世帯の子ども、差は10歳が境目…低学力の固定化も

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生活保護世帯と経済的に困窮していない世帯の偏差値の推移(国語)
  • 生活保護世帯と経済的に困窮していない世帯の偏差値の推移(国語)
  • 偏差値45以下の子どもが翌年に偏差値45超になる割合
  • 日本財団ブログ「ソーシャルイノベーション探訪」
 日本財団は2017年11月19日、貧困状態にある子どもの学力は10歳を境に急激に低下するという分析結果を発表。大阪府箕面市に住む子ども約2万5,000人のデータから、子どもを取り巻く環境がその後の人生にどのような影響を及ぼすかを科学的に検証した。

 分析結果が公表されたのは、2017年11月17日~19日に東京国際フォーラムで開催された「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017」の分科会。「幼少期の人生が決まる?!」をテーマとした分科会で、箕面市長の倉田哲郎氏や東京大学大学院教育学研究科教授の遠藤利彦氏、北九州市立小倉北ふれあい保育所主任保育士の酒井初恵氏、三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員の小林庸平氏が出席。調査結果をもとに討議を行った。

 調査では、大阪府箕面市が子どもの貧困を支援するために構築した「子ども成長見守りシステム」により、同市に住む0歳から18歳までの子どもを対象に、2014年上半期から2016年下半期まで3年間にわたって実施。システムでは、生活保護や就学援助の有無、全教科の平均偏差値、意欲や自制心・社会性などの非認知能力、健康状態、家族や学校との信頼関係なども把握可能だという。

 データを分析した結果によると、生活保護世帯の子どもと経済的に困窮していない世帯(非困窮世帯)の子どもの国語の平均偏差値を比べると、10歳(小学4年生)を境に顕著な差がみられた。7歳では生活保護世帯の子どもが偏差値45.6、非困窮世帯の子どもが48.6だったが、10歳では生活保護世帯が45.1、非困窮世帯が50.6となった。14歳では生活保護世帯が47.3、非困窮世帯が53.1と、10歳以降も偏差値5ポイント前後の差がみられた。

 また、偏差値45以下の子どもが翌年に偏差値45超になる割合は、年齢が上昇するにつれて低くなり、低学力が固定化してしまうことがわかった。8歳で42.2%だった割合は、10歳で27.5%まで低下。13歳では34.5%へと上昇するものの、14歳で23.9%と大きく低下している。

 そのほか、基本的な非認知能力は、経済状況によって低学年時から差が大きいことが判明。さらに生活保護世帯や就学援助世帯のうち、学力の高い子どもと低い子どもを比較した場合は、学力の高い子どもほど生活習慣や学習習慣、思いを伝える力などが高水準にあったという。

 日本財団は調査結果から、貧困を背景とする学力の差については、格差が拡大する小学校低学年時から支援を行う必要ことが必要であること。生活習慣や非認知能力については、学習の土台となる非認知能力の育成が重要であると結論付けた。

 調査結果や分科会のようすは、日本財団ブログで公開されている。日本財団は、子どもの貧困対策として「家でも学校でもない第三の居場所」づくりを進めており、箕面市もこの趣旨に賛成。箕面市は平成25年度から、児童により充実した放課後、土曜日および長期休業中の居場所を提供する「新放課後モデル事業」を実施している。
《黄金崎綾乃》

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