理工系人材、機械・ITなどで高い企業ニーズ…経産省調査

 経済産業省は平成30年4月20日、「理工系人材需給状況に関する調査」結果を公表した。機械系やIT系などで「業務において重要な分野」が「大学で学んだ分野」を上回り、企業ニーズが高くなっている。採用希望人数は「人工知能」などの分野で割合が増えている。

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現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較(全職種・全業種)
  • 現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較(全職種・全業種)
  • 現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較(技術系)
  • 現在の業務で必要とする分野と大学で学んだ分野との比較(機械系)
  • 平成29年度4月採用予定人数、採用実績人数と平成31年度4月採用希望人数の比較
  • 5年後技術者が不足すると予想される分野
  • 5年後技術者が不足する理由
  • 産学連携の取組と課題
 経済産業省は平成30年4月20日、「理工系人材需給状況に関する調査」結果を公表した。機械系やIT系などで「業務において重要な分野」が「大学で学んだ分野」を上回り、企業ニーズが高くなっている。採用希望人数は「人工知能」などの分野で割合が増えている。

 経済産業省では、産業界のニーズを踏まえた理工系人材の育成を強化するにあたり、産業界の人材需給状況と中長期のニーズを継続的に把握するため、平成26年度から「理工系人材需給状況に関する調査」を実施。平成29年度は、社会人約3,000人に加え、理工系採用を行っている企業1万社(回答数1,702件)も対象とした。

 社会人アンケートでは、「企業が必要とする専門分野」と「大学で学んだ専門分野」を聞いたところ、機械系、ハード・ソフト、プログラム系などの分野において「企業が必要とする専門分野」が「大学で学んだ専門分野」を上回り、企業のニーズが高いことがわかった。

 企業アンケートでは、平成29年度4月の採用予定人数と採用実績人数を比較すると、全体では6.8%減と、採用予定より採用実績が少なかった。特に機械工学、電力、土木工学、ハード・ソフトプログラム系、食品科学などの分野でその差が大きく、予定通りの採用ができていない実態にある。

 平成29年度採用予定人数と平成31年度採用希望人数を比較すると、全体では7.7%減と、採用希望人数が減少。採用希望人数の割合が増加している分野は、「人工知能」125.0%増、「統計・オペレーションズ・リサーチ」90.9%増、「Webコンピューティング」84.7%増、「数学」69.2%増などであった。

 5年後に技術者が不足すると予測される分野は、「機械工学」12.4%、「電力」7.5%、「通信・ネットワーク」5.8%、「ハード・ソフトプログラム系」5.7%、「土木工学」5.5%など。技術者が不足する理由は、「他社が当該分野の採用数を増やしているため」が53.4%ともっとも多く、「業界や自社に対する学生認知が低く、応募が集まらず採用に至らないため」43.2%、「当該分野を学んでいる学生数が少ないため」23.4%と続いている。

 産学連携については、企業の69.7%が「行っている」と回答。今後実施したい取組みは、「1週間程度のインターンシップ受入」「共同研究」「学生を対象とした1日程度のセミナー実施」の順に多かった。「1か月以上の中長期インターンシップ受入」は、実際に取り組んでいる企業7.4%に対し、今後実施したい企業は12.7%と、その差が大きかった。
《奥山直美》

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