【NEE2018】新学習指導要領、情報活用能力が不可欠に…東北大学大学院・堀田龍也教授

 教育関係者向けセミナー&展示会「New Education Expo 2018(NEE2018)」では、東北大学大学院の堀田龍也教授が登壇し、新学習指導要領においては、情報を適切に収集して整理し、表現するという「情報活用能力」が重要であることを説いた。

教育ICT 先生

サテライト会場の1つである札幌会場のようす
  • サテライト会場の1つである札幌会場のようす
  • 堀田龍也教授の講演「新学習指導要領における教育の情報化の位置づけ」 (写真はNEE2018札幌会場でのようす)
  • 教室内にICT機器を常設すれば、教員の活用頻度が高まる (写真はNEE2018札幌会場でのようす)
 教育関係者向けセミナー&展示会「New Education Expo 2018(NEE2018)」では、東北大学大学院の堀田龍也教授が登壇し、新学習指導要領においては、情報を適切に収集して整理し、表現するという「情報活用能力」が重要であることを説いた。

 東京ファッションタウンビルで2018年6月7日から6月9日に行われた「New Education Expo 2018(NEE2018)」は、一部のセミナーが札幌と旭川、仙台、名古屋、広島、福岡、宮崎、沖縄の全国8か所のサテライト会場に中継された。今回は、サテライト会場の1つである札幌会場で受講した内容をお届けする。

 札幌会場には、3日間でのべ440名の参加者が来場した。登壇者を映した大型ディスプレイとスライドの内容を映したプロジェクターにより、セミナー会場にいるような臨場感で受講することができた。

 東北大学大学院情報科学研究科の堀田龍也教授は、公立小学校教諭の経歴を持ち、ICT活用授業や情報教育が専門分野。現在、中央教育審議会初等中等教育分科会の委員ならびに教員養成部会の委員を務めている。また、学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議の座長なども務めた。セミナーでは「学校現場での実践から」「新学習指導要領の求めること」「これからの課題」について講演した。

学校現場での実践から



 堀田教授は「日常的にインターネットでレストランの予約をし、地図情報をネットで取得している保護者が、学校に子どもを入学させたとたんに、さまざまな種類の紙に名前と住所を何度も記入し、自宅から学校までの地図を手書きするという流れはそろそろ終わりにする必要がある」と指摘。学校の情報化を進めるためには、教育委員会や市区町村の制度の変更が必要という。

 学校現場のICT利用について、教師が「大きく映して教える」「やり方を見せる」など、ICTで効率よく子どもたちに内容を伝えることにより、授業が充実して、結果として学力が向上しているが、すべてICTに置き換えるのではなく、ICTと黒板をうまく使い分けて使いこなすかが教師の大事なスキルになっているという。

 教師のICT活用頻度については、ICT機器を使うためのセッティングの時間がないことが多いことから、教室内に常設すれば、使用頻度が高まると堀田教授は指南する。

 これまでは教師がICTを使って授業をしてきたが、それに加えて今では子どもたちが道具としてICTを使うフェーズにシフトしている。子どもたちは実験のようすを記録したり、デジタル教科書を表示したり、友達に説明したりといった形で情報端末を利用している。ICTを活用することで効率よく学習が進められ、学習内容が深まる。また、デジタル端末だけで完結するのではなく、紙との併用もあるという。

 子どもたちが情報端末を持つと、さまざまなリソースに当たることができるようになることから、教師の答えが絶対的ではなくなり、さまざまある意見のなかの1つとして捉えられるようになってくる。そういった時代において、学校は何をすべきなのか、学校の教師が教えることを考え直さなくてはならなくなってきたと、堀田教授は指摘した。

新学習指導要領の求めること



 新学習指導要領では、育成すべき資質・能力として、「生きて働く『知識・技能』の習得」「未知の状況にも対応できる『思考力・判断力・表現力等』の育成」「学びを人生や社会に生かそうとする『学びに向かう力・人間性』の涵養」の3つの柱を掲げている。

 整理された情報を読み取ることは日本の子どもたちは得意だが、複数の情報を組み合わせて正解へと導く問題は正答率が低い。これからは、情報を適切に収集して整理し、表現するという「情報活用能力」はどんな職業にも基盤となる。次期学習指導要領はすべての教科でICT活用を前提に策定されていることから、子どもたちによるICT活用は必要不可欠となってくると堀田教授は説いた。

 人口減少、高齢化時代に入り、身に付けるべき能力が変わってきている。日本は労働力低下に伴い、ロボット活用が必要になるだろう。誰かが作ったプログラムで動いているロボットなどの科学技術に支えられながら生活しているため、仕組みをある程度理解している人材を小学校のうちに育成しておく必要がある。プログラミングを体験して、論理的な思考を育てることや、どんな技術で動いているのを知っておくことが重要であるという。

これからの課題



 文部科学省は、情報活用能力の育成を図るため、各学校でコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることを求めている。堀田氏によると、学習指導要領に学校のICT環境整備まで言及されることはめずらしい。さらに第3期教育振興基本計画では、ICT環境の整備が進展しない場合は交付税を減らすことを明示した。

 文部科学省は、ICT環境の整備指針として、大型提示装置や実物投影装置を普通教室と特別教室へ常設すること、教師用のコンピュータは授業を担当する教師それぞれに1台分用意することを盛り込んだ。また、児童生徒用コンピュータは、最終的には1人1台専用が望ましいが、当面は1日1授業を目安にコンピュータが活用されるよう、3クラスに1クラス分を目安に学習者用コンピュータの配置を想定することが適当であるとした。

 時代とともに学校での学びが確実に変わってきている。学習指導要領の改訂は時代を反映しているともいえる。子どもたちがこれからの時代を生き抜くために、情報活用能力の習得は避けて通れないといっても過言ではないだろう。
《工藤めぐみ》

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