英検、AIによる自動採点を導入…2019年度から

 日本英語検定協会(英検協会)は2018年10月17日、2019年度から実用英語技能検定(英検)と英検CBTにおいて、通常採点と並行して、AIによる自動採点を導入すると発表した。AIの活用により、採点の時間短縮や精度向上などが期待でき、2019年度第1回検定から導入を開始する。

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2019年度より自動採点導入の対象テスト
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 日本英語検定協会(英検協会)は2018年10月17日、2019年度から実用英語技能検定(英検)と英検CBTにおいて、通常採点と並行して、AIによる自動採点を導入すると発表した。AIの活用により、採点の時間短縮や精度向上などが期待でき、2019年度第1回検定から導入を開始する。

 英検協会ではこれまで、AIによる自動採点について、複数のAIサービス事業者とスピーキングテスト・ライティングテストの共同研究を進めてきた。今回、中国のiFlytek社(サインウェーブ社)を含む複数のサービス事業者との共同研究において、人の手を介した通常採点と遜色ない成果が出たことから、本格導入を決めた。

 iFlytek社は、10年以上前から中国国内の大学入試の英語スピーキング試験に評価エンジンが採用され、自動採点で2,000万人以上の採点実績がある。英検協会との共同研究では、スピーキングの音声認識と採点精度の向上を追求。iFlytek社の評価エンジンに個人情報を除去した英検の回答データを投入して機械学習をさせ、英検の一部採点業務で実証実験を行った結果、一定の成果が見られたという。

 英検協会では2019年度から、従来型の英検と英検CBTにおいて、通常採点に加え、AIによる自動採点を並行的に導入していく。英検では1~3級のライティング(手書き)と4~5級のスピーキング(コンピューター端末を利用した吹き込み)、英検CBTではすべての級(2級、準2級、3級)のライティング(タイピング)とスピーキング(PCに吹き込み)において2019年度第1回検定から自動採点を導入する。対面による面接で実施する英検1~3級のスピーキングテストについては、随時導入予定。

 なお、リーディングとリスニングは、従来型の英検はマークシート式、英検CBTはPC上での解答のため、すでに機械的な採点を実施している。

 英検協会によると、AIによる自動採点を導入することで、24時間稼動が実現するほか、人間による通常採点を補完する採点精度の向上が期待できる。また、採点時間・期間の短縮、無回答や白紙答案仕分けによる採点者の負担軽減などにもつながるという。

 英語4技能の習得が重視され、大学入試や高校入試に外部の資格・検定試験の活用が推進される中、英検の受験者数は今後も増加が予想されている。また、英検CBTは大学入試センター試験に代わって実施される大学入学共通テストにおいて、大学入試英語成績提供システムの参加要件を満たしていると確認されている。

 英検協会では「受験者増に迅速かつ確実に対応する必要があります。そのために今回のAIによる自動採点の実証研究のとおり、世界最新鋭のさまざまな技術を活用していくことで、時代に即した我が国の英語教育に貢献してまいります」としている。
《奥山直美》

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