山口大、高校理科教材キットを開発…先端バイオ研究の理解促す

 山口大学は2018年11月14日、先端バイオ研究の理解を目指す高校理科教材「昆虫細胞 遺伝子導入・遺伝子発現観察キット」を開発したと発表。価格はAキットが9,820円、Bキットが8,690円(いずれも税込)。全国の高校・中学校などへ提供する。

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山口大学「先端バイオ研究の理解をめざした高校理科教材を開発『生きた細胞、細胞小器官、細胞内タンパク質の動きを見る』」
  • 山口大学「先端バイオ研究の理解をめざした高校理科教材を開発『生きた細胞、細胞小器官、細胞内タンパク質の動きを見る』」
  • 「昆虫細胞 遺伝子導入・遺伝子発現観察キット」について
 山口大学は2018年11月14日、先端バイオ研究の理解を目指す高校理科教材「昆虫細胞 遺伝子導入・遺伝子発現観察キット」を開発したと発表。価格はAキットが9,820円、Bキットが8,690円(いずれも税込)。全国の高校・中学校などへ提供する。

 山口大学によると、高校生物の教科書では「細胞の構造」「真核細胞と原核細胞」「細胞小器官の構造」「タンパク質の構造と機能」「細胞分裂と核」など、「細胞」とその構成成分に関連した多くの内容が解説されている。これらを正確に理解するためには、細胞全体を生きた状態で観察する手法に加えて、生きた細胞中の細胞小器官と細胞内タンパク質を直接観察する手法が必要となるが、先進的な研究施設や実験装置が整備されていない高校・中学校などの教育現場では困難だという。

 山口大学農学部が開発した教材キットは、児童・生徒に最先端の科学技術や実際の研究手法などを実体験させたいという現場の声に応えて開発されたもの。「中学、高校の既存の設備で実施可能」「中等教育のカリキュラムにあわせた内容・実験時間」「教材として利用可能な安価での提供」が特徴。動物培養細胞への遺伝子導入技術、GFPを用いたタンパク質の発現解析技術、青色発光ダイオードを用いたGFPの検出技術、蛍光タンパク質を用いた細胞小器官の検出技術といった、日本が誇る先端技術の原理やその利用方法を学ぶことができる。

 教材キットには、BmN4細胞を培養したシャーレ8枚にGFP、DsRed、あるいは核移行型DsRed遺伝子を遺伝子導入し、発現タンパク質の蛍光観察を行うための細胞、試薬、器具が含まれる。価格はAキット(自作LEDライトとフィルター付き)が9,820円、Bキット(自作LEDライトとフィルターなし)が8,690円。いずれも税込、送料が別途必要。

 なお、教材キットはより多くの教育現場で活用されることを目的としており、高校・中学校などの教育機関に限った提供となる。申込先は山口大学の技術移転機構である山口ティー・エル・オー。全国的に理科教育の裾野を広げる製品として普及・定着することが期待される。そのほか、教材キットを含む実験書「カイコの実験単」が、日本蚕糸学会から近日中に発刊予定だという。
《黄金崎綾乃》

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