首都圏の私大生、生活費1日あたり710円…30年で1/3以下に

 2022年度の首都圏の私立大生の生活費は1日あたり710円であり、1985年の調査開始以来4番目に低い水準となったことが、東京私大教連が実施した調査より明らかになった。ピークである1990年度の3分の1以下だという。

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私立大学新入生の家計負担調査
  • 私立大学新入生の家計負担調査
  • 「5月の仕送り額」の推移
  • 「6月以降の仕送り額(月平均)」と「毎月の家賃」の推移
  • 「6月以降の仕送り額(月平均)」から「家賃」を除いた生活費の推移

 2022年度の首都圏の私立大生の生活費は1日あたり710円であり、1985年の調査開始以来4番目に低い水準となったことが、東京私大教連が実施した調査より明らかになった。ピークである1990年度の3分の1以下だという。

 調査は2022年5月~7月、同年に1都3県(東京・埼玉・千葉・栃木)の私立大学・短期大学に入学した新入生の家庭(保護者・父母)を対象に、郵送による調査票にて実施した。有効回答は4,231件。住居の割合は、自宅通学者が68.5%、自宅外通学者31.5%。

 調査によると「仕送り額」の平均は、入学直後の新生活や教材の準備で費用がかさむ「5月」の仕送り額が10万2,600円で前年度より6,500円増加した。しかし、出費が落ちつく「6月以降(月平均)」の仕送り額は8万8,600円で、過去最低であった2020年度より6,200円増加したものの依然として低い水準にとどまっている。また、ピーク時(1990年度)の12万2,100円と比較すると大幅に減少している。

 一方、「家賃」の平均は6万7,300円となり、前年度比で600円増加。「6月以降(月平均)」の仕送り額8万8,600円に占める「家賃」の割合は76.0%となり、多くを占めていることがわかる。1990年度は「家賃」の平均が4万8,300円であり、「6月以降(月平均)」の仕送り額に占める「家賃の割合」は39.6%にすぎなかった。

 さらに、2022年度の「6月以降(月平均)」の仕送り額から「家賃」をのぞいた生活費は2万1,300円であり、一日あたりの生活費を算出すると710 円。過去最低であった2020年度の607円より103円増加したものの、過去4番目に低い水準にとどまっている。1990年度の2,460円と比べると28.9%となり、3分の1以下であることが明らかになった。

 奨学金について、日本学生支援機構等の奨学金を希望する人は全体で53.7%だったが、希望者のうち実際に申請したのは53.3%にとどまった。奨学金を希望したが申請しなかった理由のうち、もっとも多かった回答は「申請基準にあわない」で51.0%。ついで「返済義務がある」で22.0%となった。

 アンケートによる自由回答では、「子どもには学費等お金の事を気にせず学んでほしいが、正直大変つらく、いつ退学を視野に入れざるを得ない状態になるか不安でいっぱいである」「今年から東京の私大へ入学し、一人生活しているのですが、地方に比べて家賃が高い。生活費と学費の負担が家計に重くのしかかっています」等、保護者の切実な声が寄せられた。

《木村 薫》

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