不登校・いじめ過去最多…文科省が緊急対策パッケージ

 文部科学省は2023年10月17日、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を公表した。不登校のための総合拠点機能の強化、学びの多様化学校マイスターの自治体派遣、1人1台端末を活用した子供のSOS相談窓口の集約などを盛り込んでいる。

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不登校・いじめ緊急対策パッケージ
  • 不登校・いじめ緊急対策パッケージ
  • ⽂部科学⼤⾂メッセージ~誰⼀⼈取り残されない学びの保障に向けて~
  • 文部科学大臣メッセージ~みんなが安心して学べるように~

 不登校の児童生徒数やいじめ認知件数が過去最多となったことを受けて、文部科学省は2023年10月17日、「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を公表した。不登校のための総合拠点機能の強化、学びの多様化学校マイスターの自治体派遣、1人1台端末を活用した子供のSOS相談窓口の集約などを盛り込んでいる。

 「2022年度(令和4年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、国公私立の小中学校の不登校が過去最多の29万9,048人となり、このうち学校内外で相談を受けていない児童生徒数が過去最多の5万9,232人にのぼることが判明。小中高校・特別支援学校におけるいじめの認知件数が過去最多の68万1,948件、このうち重大事態の発生件数が過去最多の923件であることが明らかになった。

 こうした状況を踏まえ、政府は10月16日、「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた取組みの緊急強化を図るため、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」「こどもの性的搾取等に係る対策に関する関係府省連絡会議」「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」を合同で開催。10月17日に「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を取りまとめた。

 「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」では、3月に策定した不登校対策「COCOLOプラン」を前倒し。落ち着いた空間で学習・生活できる環境を学校内に設置するため、「校内教育支援センター」未設置校への設置を促進。教育支援センターのアウトリーチ機能など、どこにもつながっていない児童生徒に支援を届けるための体制を強化する。

 また、学びの多様化学校(不登校特例校)設置ノウハウや課題を共有するため、設置経験者である「学びの多様化学校マイスター」を自治体に派遣。相談や助言が受けられる制度を創設する。心や体調の変化を早期発見・早期支援するため、アプリや専門家の支援を活用した「心の健康観察」も推進する。

 いじめの緊急対策では、いじめの重大事態化を防ぐための早期発見・早期支援を強化。1人1台端末を活用した子供のSOS相談窓口を集約して周知を図る。国による分析の強化に向けて、こども家庭庁とも連携し、重大事態の国への報告を通じて実態を把握し、重大事態に至るケースのいじめの背景や原因などを分析する。

 10月17日には、盛山正仁大臣がメッセージを発表。「誰一人取り残されない学びの保障に向けて」「みんなが安心して学べるように」と題した2種類があり、児童生徒に向けては「学びの場や相談の場を作り出していくので、学校に行くのが苦しくなったときや、悩みがあるときにはぜひ積極的に活用してください」と呼びかけている。

 全国の学校設置者に対しては10月17日付で通知を発出。「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」の内容とともに、緊急対策を踏まえて各地方公共団体などで取り組んでほしい対応を示している。

《奥山直美》

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