小中高の病気療養児9,165人、遠隔授業は実施率24%…文科省

 文部科学省は2023年10月20日、2022年度病気療養児に関する実態調査の結果を公表した。2022年度中に学校に在籍した病気療養児数は、2018年度の前回調査より1,171人多い9,165人。病気療養児に対する同時双方向型の授業配信の実施率は24%で、前回調査より大幅に上昇した。

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同時双方向型の授業配信の実施状況・活用場面
  • 同時双方向型の授業配信の実施状況・活用場面
  • 令和4年度に在籍した病気療養児数
  • 主傷病名
  • 療養場所・欠席日数
  • 同時双方向型の授業配信の活用頻度と活用時間
  • 同時双方向型の授業配信を実施していない理由
  • 同時双方向型の授業配信における出席扱いおよび単位認定
  • 同時双方型の授業配信以外の指導や支援の実施状況など

 文部科学省は2023年10月20日、2022年度(令和4年度)病気療養児に関する実態調査の結果を公表した。2022年度中に学校に在籍した病気療養児数は、2018年度の前回調査より1,171人多い9,165人。病気療養児に対する同時双方向型の授業配信の実施率は24%で、前回調査より大幅に上昇した。

 「病気療養児に関する実態調査」は、疾病や障害により病院や自宅で療養中の病気療養児の実態を把握し、今後の施策の充実に役立てることが目的。2018年度(令和30年度)以来、5年ぶりに実施した。

 調査のうち、「病気療養児に関する調査」と「病院内の学級に関する調査」の対象は、全国の国公私立小学校、中学校、義務教育学校、高等学校(通信制課程を除く)、中等教育学校、特別支援学校。「教育委員会における取組みや支援に関する調査」は、都道府県・市区町村教育委員会を対象とした。

 2022年度中に学校に在籍した病気療養児数は9,165人。2018年度の前回調査時と比べ、1,171人増加した。内訳は小中高校6,544人、特別支援学校2,621人。義務教育段階のほうが多いが、高校段階でも大差なく病気療養児が在籍している。

 病気療養児の主傷病名を学校別にみると、小学校は「悪性新生物(白血病、腫瘍、小児がんなど)」がもっとも多く、中学校・高校は「心身症」「精神疾患」が多かった。

 入院や療養のため学校を欠席した日数は平均67.7日。療養などで欠席していた際の療養場所は、「在宅」または「病院と在宅両方」と回答した割合が小中学校で57%、高校で73%と、過半数を超えた。

 病気療養児に対する同時双方向型の授業配信を実施した割合は、小学校27%、中学校17%、高校26%、特別支援学校26%。前回調査よりいずれも実施率が大幅に上昇し、全学校種合計では前回調査時の1.9%から24%に増えた。同時双方向型の授業配信を活用した場面は、全体で「教科・科目を限定して実施した」67%、「特別活動で実施した」52%が多かった。

 同時双方向型の授業配信の活用頻度は、小中学校では「週に1日程度」37%、活用時間は「1日1時間以内」42%がもっとも多かった。高校では、活用頻度は「週に5日程度」47%、活用時間は「1日4時間以内」46%が最多だった。

 同時双方向型の授業配信を実施していない理由は、各校種とも「本人の体調や治療の状況」がもっとも多かった。小中学校では「児童生徒や保護者の希望」24.0%、高校では「遠隔授業に対する校内規定が整備されていない」14.3%が続いた。

 同時双方型の授業配信の扱いについては、小中学校の60%が出席扱い、高校の75%が単位認定されていた。同時双方向型の授業配信以外の指導や支援を実施した割合は61%。支援内容は「保護者との面談」「個人面談」「プリント課題の添削など」を対面で実施していることが多かった。

 一方、教育委員会において病気療養児の在籍する学校に取組みや支援を実施した割合は小中学校41%、高校47%、特別支援学校82%。具体的な内容は、全体では「同時双方向型授業に必要なICT機器の貸出」55%、「病気療養児などについての実態調査」40%、「教職員に対する理解啓発」36%などが多かった。

《奥山直美》

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