中1からの文法学習で英語力が飛躍する…駿台が実践する大学受験までの「土台」づくり

 中学受験人気が継続する中、同時に中学合格後からの塾選びにも注目が集まっている。中学合格後の英語学習の落とし穴、そして次なる目標となる大学受験に向けての英語学習のコツについて、駿台中学部・高校部お茶の水校大学受験コース校舎長の江添裕氏、同英語科講師の張間仁史氏の2人に話を聞いた。

教育・受験 小学生
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中1からの文法学習で英語力が飛躍する…駿台が実践する大学受験までの「土台」づくり
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 中学受験人気が継続する中、同時に中学合格後からの塾選びにも注目が集まっている。中学校・高校それぞれ3年間の学びではなく、多くの私立中学校では中高一貫6年間のカリキュラムが敷かれ、入学直後から大学受験を視野に教育が展開される。

 そのような私立中学校においては必然的にスピード、内容ともにハイレベルな英語教育がなされている。学校での英語学習に合わせて、またはそれを補完するために、どのような塾を選ぶべきなのか。

 本記事では、中学合格後の英語学習の落とし穴、そして次なる目標となる大学受験に向けての英語学習のコツについて、駿台中学部・高校部お茶の水校大学受験コース校舎長の江添裕氏、同英語科講師の張間仁史氏の2人に話を聞いた。

学校では英語の文法がおろそかに?

--2020年から実施されている学習指導要領では、小学校で英語が正式な教科になりました。この春、中学1年生になる子供たちが学ぶ英語は、教科書の内容や文章量、単語の数、重点分野などで変化があるのでしょうか。

江添氏:学校の英語教育の変更点として、まず、単語数の増加が挙げられます。中学校で覚える単語数が1,200語程度から1,600~1,800語程度となりました。また、文法学習についても、改訂前は高校で教えられていた文法の一部が前倒しとなり、中学校で取り上げられることになりました。さらに今回の改訂後は、中学校でも高校と同様、授業は英語で行うことが基本とされています。

張間氏:今は小学生のうちに500語程度に触れていることが前提となっており、中1の最初から難しい単語が出てきます。教科書の会話文もレベルが高くなっており、以前は主語、動詞、目的語の3語文から段階を踏んで学んでいましたが、早々に前置詞と副詞が含まれるような文が出てきますし、一般動詞に加えてbe動詞、助動詞のcanも含まれるなど、レベルが上がっています。授業時間数からするに、学校の先生は文法や品詞についてすべて説明する時間はないでしょう。

 教科書からは、とにかくさまざまな表現にどんどん触れて、丸暗記して「さあ、みんなで使ってみましょう」という方針が感じられます。ところが、そうやって日々の授業では楽しく学んでいるつもりでも、いざテストで応用問題が出るとなると、やはり問われるのは文法理解です。ただ、先ほども言ったように、最近の英語の授業では、文法のルールをしっかりと教わる時間が明らかに減っているので、「なぜそうなるのか」がわからず、戸惑ってしまうお子さまが少なくないのです。

--今の子供たちが学んでいる英語は、親世代が経験してきたものとは大きく変わっていますね。中学生の子をもつ親としてアップデートしておくべき点を教えてください。

江添氏:最近の学校の授業では、スピーキングやリスニングに重点が置かれています。学校でしっかりと文法を習っている生徒は少なくなってきている印象で、その点がテストにも反映されているように思います。

張間氏:スピーキングなどのアウトプットが重視されることは決して悪いことではありません。ただし、インプットをおろそかにすると、必ずアウトプットにも影響が出てきます。語彙を覚えることや、文法を理解することは依然として非常に大切なのです。

 アウトプット重視と言いながら「授業中に音読をさせるだけ」「英語で意見を言わせて終わり」「ライティングは指導しない」という学校もあるようですし、オールイングリッシュを目指すがために日本語を一切排除し、英英辞典しか使わせない、英文和訳もさせないという例も聞きます。これでは子供たちが本当に英語を理解しているかどうかを測ることは困難です。「読めているのに、テストで正答できません」というお子さまがいますが、「それは(文法を理解したうえで)『正しく読めていない』からだよ」と伝えています。今の学校における英語教育は、本当の意味で英語を理解するために何をするべきか、大事なことを見失って迷走しているように感じます。これまでの日本の教育で作り上げてきた英文法学習は価値のあるものであり、保護者の皆さんもご自身が努力してきた英語の勉強を否定する必要はありません。

文法をしっかり習得する駿台の独自カリキュラム

--駿台では、中学1年生から高校3年生までの6年間にわたる英語のカリキュラムはどのようになっているのでしょうか。

江添氏:当校としては、英語を習得するには前提として文法の習得が重要というスタンスです。そのため、文法を中心とした独自のカリキュラムで授業を進めています。中高一貫の進学校に通うお子さまだけでなく、どのようなレベルのお子さまでも、6年間で着実に実力を付けることを目指しています。文法の大切さに気付いている方やアウトプット偏重の英語教育に疑問を抱いている保護者の方々は、当校のカリキュラムに安心感を覚えてくださるようです。

張間氏:当校では基本的な文法は中2までで終わらせ、中3から長文読解に入ります。文法を教えるために、ひたすら文法の問題集を解かせる塾もありますが、当校は、長文読解以外で文法を習得する方法はないと考えています。長文読解を通して、文章の構成上でわからないところを詰めていくのが真の文法の学習になると思うからです。当校では、中3の2学期からは大学入試レベルの英文に触れます。その中で、今まで習った文法が文中にどう組み込まれているかを見せます。「大学入試レベル」と聞いて、初見では一瞬怯んでしまう子もいますが、今まで習った文法を適用して文章に向き合うことで、ある程度のレベルまでは読み解くことができ、「文法がわかれば、難しい文章も読めるんだ」と実感してくれます。

江添氏:文法を理解することは帰国子女のお子さまにも意味のあることです。当校に高1から通っている帰国子女の生徒が、授業を通して「英語の一文には、動詞は1つしか含まれない」というルールを知り、文法を意識するだけで、難解な英文でも意味を明確に掴めるようになって、とても役立ったと言ってくれたことがありました。

張間氏:よく、「英語ネイティブは文法なんか理解していなくても話せる/読める」と言われますが、これは大きな誤解です。彼らは言語化するまでもなく、身をもって文法を理解しているだけ。そんな彼らに近い帰国子女で、すでに英語での会話には何の不自由もない生徒であっても、文法に目覚めることで、さらに英語力を伸ばすことができるのです。このような理由から、当校では文法学習を徹底することで、より早く確実に英語力を身に付けられるようなカリキュラムを組んでいます。

「英語が得意」が大学受験で有利になる理由

--英語ができると、大学受験でどのくらい有利になるのでしょうか。また、今後その傾向は強くなっていくと思われますか。

江添氏:もちろん英語は配点が高い大学が多いので得意だと有利です。また、英語は年度による得点率の揺れが少なく、得意な子は安定して点数が取れる傾向があります。数学は、得意な子でも試験の難易度が低い年は高得点が取れるけれど、難しい年は点数が取れないという揺れが生じやすいのですが、英語はそうした揺れが少ないのです。

張間氏:大学入試の英語は、近年とにかく量が増えています。大学では理系文系を問わず、英語の原書や論文を読みこなす力が必要ですから、入試は大学レベルの勉強ができる人、つまり「まずは速く正確に読める人」を選抜する意図があります。英語の読解力は、語彙や文法や背景知識などを含んだ総体的な力であり、しっかり身に付けるには正しい手順を踏む必要があります。その過程で得られる学習姿勢は他教科の勉強にも大いに役立つでしょう。

--先ほど貴校の英文法学習を基盤としたカリキュラムについてご紹介いただきましたが、文法力を上げることで大学受験でも得点しやすくなるということですね。

張間氏:「大学受験の英語、とくに共通テストなどは、情報処理能力を測るテストになった」と言われますが、「情報処理能力や速読力をつけるために、たくさん問題を解いて練習しましょう」というアドバイスは無責任です。「情報処理や速読ができるというのは具体的に何ができることなのか」をちゃんと伝えずに、問題演習を繰り返しても実力向上にはつながりません。

 たとえばバスケットボールでは、ドリブルなどの基礎練習を繰り返すことで、複雑なチームプレーができるようになります。これを英語学習に当てはめると、文法学習は基礎練習であり、速読や情報処理はチームプレーです。1単語ずつの文法的な解読ができてこそ、大量の情報を瞬時に処理できるようになるのです。解答時間が足りないのは文法の処理が追いついていないからです。つまり、英語における情報処理能力も速読力も、文法処理能力の精度と速度を上げた結果身に付くものと言えるでしょう。

 これまで日本では素晴らしい英文法教育を積み上げてきましたが、文法に関するいくつかの誤解から、近年それが蔑ろにされているように感じます。「文法は文法問題を解くために勉強する」や「細かい文法を気にしていると速く読めない」などは文法にまつわるよくある誤解です。文法は、リーディング・ライティング・スピーキング・リスニングの上達のために学ぶのです。それにも関わらず、昨今の学校現場では文法学習を悪者扱いしてしまっている傾向にあり、先生も指導に苦労されているのではないでしょうか。ですから私たちは、塾という立場でサポートしたいと思っています。

--一方で、ここ最近のAIによる翻訳や文章作成の機能向上により、「今後、英語が不要になるのでは」という声も一部聞かれます。将来、受験科目から英語が消える日が来るのでしょうか。

張間氏:わかりやすく、電卓にたとえて考えてみましょう。電卓が登場した当時、確かにその便利さは世間を揺るがしはしましたが、さすがに「計算は電卓がやってくれるから、九九は覚えなくて良い」ということにはなりませんでした。機械に計算を任せてもなお、仕組みを理解しておく必要があるのです。数学的思考を鍛えた人と、数学的思考を身に付けていない人では、見える世界はまったく違うはずです。

 AIが翻訳してくれたり、文章を書いてくれたりするのであれば、どんどん利用すれば良いと思いますが、「AIがあるから英語は勉強しなくても良い」と切り捨ててしまうのは言語学習の本質を見誤っています。英語などの外国語の学習は、知的鍛錬の手段であり、多くの気付きや視点を与えてくれます。言語にかぎらず、数学、哲学、歴史などを通して物事の考え方や仕組みを理解することは、どんな時代になっても自分の知力を鍛え、主体性をもって判断できる人間になるためには欠かせません。それは今後AIをどのように活用するかにも関わる大切なことです。言語教育は今後も重要な教育内容として残っていくのではないでしょうか。

進学校で学習意欲喪失…中学受験をむだにしない、あるべき教育の姿

--中学受験の合格発表が佳境を迎えたばかりですが、私立中学に通うお子さまをおもちの保護者の方に意識してほしい心得があれば教えてください。

張間氏:まず、皆さんも重々ご承知のことと思いますが、入試における合否は、その子の能力の結果ではありません。とりわけ小6という幼い年齢で臨む中学入試では、環境やメンタルなどさまざまな要因が作用し、思うように結果を出せなかったお子さまもいることでしょう。入試では測り得ない能力を、お子さまは必ずもっているはずですし、これからいくらでも伸ばすことができます。高校入試や大学入試で目覚め、ぐんと伸びる子もいますので、その子に見合ったタイミングで伸ばせるよう、私たち大人は継続的に学べる環境を与え続けたいですね。保護者の方のそういった思いもあり、中学受験後、次なる目標の大学受験を目指して中1から塾に通う子は多いです。

--大学受験を目指す中学生のご家庭からよく寄せられるお悩みや、塾の立場から感じていらっしゃる課題はありますか。

張間氏:とにかく量をこなす学習スタイルの塾に通い、大量の課題をこなしきれず、「ついていけない」と当校に移ってくるお子さまが少なくありません。自分には合っていないと気付いてすぐに来てくれたら良いのですが、すでに英語自体を嫌いになってしまっているケースもあり…。せっかく中学受験をして進学校に入っても、モチベーションが下がってしまってはもったいないと残念に思います。

 また、中学受験を経験しているご家庭では、カリキュラムの前倒しをしている中高一貫校の方が魅力的に感じられるかもしれませんが、先取り教育がすべての子供にフィットするわけではありません。熟考しながら一歩ずつ進めていくタイプの子もいますので、「わが校は、ゆっくりしっかり教えます」という学校があっても良いと思うのですが、それをウリにしている学校はなかなか見つけられません。当校としては、過度な前倒し教育を行うよりも、いろいろな本を読ませる等、幅広い考え方に触れさせて、大学以降で自分の専門を深めるための基礎をつくるほうが良いと考えています。

「知の土台」を手に入れる6年間

--駿台として、どのような英語教育を展開していきたいですか。今後のビジョンをお聞かせください。

張間氏:中1の保護者会で、私は保護者の皆さんに「6年間で土台をつくります」とお伝えしています。「6年間も土台をつくり続けるの?応用は?」と思われるかもしれませんが、私の意味する「土台」は、東大でも難関大でも楽々合格を勝ち取れるような、人生における「知の土台」です。高3で難関大に入れるぐらいの土台をつくっておけば、その後は自分の興味関心に合わせてどこまでも伸びていけます。

 大学入試がどう変わろうと、私たちが子供たちに伝えたいことは1つ、きちんと知識を積み上げて、正しく理解していくことの大切さです。その積み上げの先に次の世界が待っています。それはこれまでの生徒たちの成長からも確信しています。

 本当の勉強というものは、プリント問題を解くことではありませんし、速く解くことでも、人より良い点を取ることでもありません。時には「問題を解くことは忘れて、じっくり考えてごらん」という声かけもします。「こういうことだったのか」とわかる瞬間・納得する瞬間を重ねることこそが、勉強だと思うのです。

江添氏:中1のお子さまが入塾する際に、保護者の方に「うちの子は英語が苦手で…」「今まで特に英語の勉強をしてこなかったのですが大丈夫でしょうか」と相談されることがあります。私たちとしては、入塾いただく中1がスタートラインだと捉えていますので、何の心配もいりません。「自分は英語が得意」と思っている子も油断してほしくないですし、逆に、苦手意識があっても、ここから一斉スタートです。苦手だと思っていたお子さまが、文法学習をコツコツ積み重ね、中1の終わりには逆転することも少なくありません。新たな気持ちで一緒に土台をつくっていきましょう。


 私自身は日本で生まれ育ち、かつてコツコツと勉強。一方、私の子供たちは英語圏で3年間暮らした帰国子女。確かに子供たちの英語でのコミュニケーション能力は高いが、張間氏・江添氏が言うところの「土台」の脆さを感じることがある。日本で日本語を母語として暮らす私たちにとって、やはり基礎である文法学習を固めることが長期的な力になるというお話に共感した。

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《なまず美紀》

なまず美紀

兵庫県芦屋市出身。関西経済連合会・国際部に5年間勤務。その後、東京、ワシントンD.C.、北京、ニューヨークを転居しながら、インタビュア&ライターとして活動。経営者を中心に600名以上をインタビューし、企業サイトや各種メディアでメッセージを伝えてきた。キャッチコピーは「人は言葉に恋♡をする」。

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