SAPIX中学部に聞く難関高校入試…2013年を振返り2014年を予想

 2013年度の東大合格者数では上位常連の私立のほか、埼玉県立浦和高校、東京都立西高校、日比谷高校、愛知県立岡崎高校など公立高校の健闘も目立った。そうした難関高校の今年の入試はどうだったのか。

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SAPIX中学部 教育情報センター次長の高橋淳氏
  • SAPIX中学部 教育情報センター次長の高橋淳氏
  • 平成25年度東京都立高等学校入学者選抜応募状況(普通科の一部)
 2013年度の入試も終わり、難関大学の高校別合格者数ランキングが話題になる時期となった。東大合格者数では上位常連の私立のほか、埼玉県立浦和高校、東京都立西高校、日比谷高校、愛知県立岡崎高校など公立高校の健闘も目立った。そうした難関高校の今年の入試はどうだったのか。SAPIX中学部 教育情報センター次長の高橋淳氏に聞いた。

--東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に、2013年高校入試の傾向をお聞かせください。

 ここ2~3年は、公立人気が顕著です。これは、公立高校が難関大学への合格実績を伸ばしていることも一因ですが、加えて、これまでの私立高校のように、積極的に塾などに出向き受験生や保護者向けの説明会を実施するようになったことも大きな理由だと思います。そのような機会を設け、大学合格実績をはじめ、そのための取組みなどを、しっかりと伝えるようになってきています。都立高などは、小学生向けに説明会を開いているところもあります。

 開成や筑駒、学芸大附属などの私立・国立難関校人気は変わりませんが、そうした学校を志願する層にも、公立の上位校が選択肢に入ってきています。日比谷の今年の推薦倍率は下がりましたが、それは人気が落ちたわけではなく、私立・国立トップ校と併願する方が増えたため、合格すると必ず進学しなければならない推薦を避けていることの現れです。都立最難関である日比谷・西ともに、推薦倍率は下がる傾向にありました。逆にそれに続く高校では倍率上昇が見られました。

 また、多数ではありませんが、開成や国立大附属に合格しても日比谷や西に進学する例もあります。中高一貫校への高校からの入学は、途中から入るというイメージがあるのに対し、公立ではスタートが一緒というのも大きいのかもしれません。またそればかりではなく、積極的な理由で都立を選ぶケースが増えていることも最近の傾向と言えそうです。

--最難関校志願者の受験モデルケースはありますか。

 首都圏の高校入試は、1月中旬の千葉や埼玉の私立から始まり、2月10日の都内や神奈川の私立、東京では2月23日の都立で終わるという長丁場です。この中で、大学附属を受けるか否か、受ける場合はどこまでをターゲットにするかなど、様々な組み立てが可能です。さらに、近年では西大和学園(奈良県)、愛光(愛媛県)、海陽(愛知県)など、地方の有力校の首都圏入試も加わり、多様化は増す一方です。

--平均的な出願校数はどのくらいでしょうか。

 上位校を狙う東京の男子は6~7校、女子は5~6校ほどに出願します。男子に比べ、難関私立で、高校入試を実施する学校が少ないことが、女子の出願校の少ない理由です。ちなみに男子の場合、一次試験だけなら、(首都圏で一般入試を行う)早慶全校を受けることが可能です。

--大学附属の人気はいかがでしょうか。

 附属高人気は系列の大学によって差が出ていますが、早慶の附属高人気は相変わらず高く、安定していて揺るがない感じです。特に慶應は人気が高く、慶應志木、慶應義塾はともに、もともと多い志願者数をさらに増やしています。

--難関私立・国立と、自校作成問題校の都立を出願する場合、各々の対策が必要でしょうか。

 塾では志望校対策はやりますが、基本的には大きく変わりません。調査書の比重、英数国と理社のバランスなどの違いはありますが、学校の勉強をまじめにやって、なおかつ受験勉強にも真剣に取組むことが大切です。首都圏難関校の特徴をひとつ挙げるとすれば、英語が他の地域と比較して難しいことです。附属高、特に早慶の英語が、レベルを引き上げていることが原因です。

 なお、公立トップ高では優秀な生徒が進学する一方で、内申点の高い生徒が調査書の点数で合格してしまう場合もあり、入学者の学力差が広く、学力分布が「ふたこぶラクダ状態」になってしまう傾向にあります。大事なことは、十分な実力をもって進学することで、入学後まで見据えた学習が必要だと考えます。

--2014年の高校受験はどうなるとお考えですか。

 毎年言えることですが、今年の大学合格実績の影響が大きいでしょう。東大の合格実績にはみなさん敏感ですので、公立が健闘したことで、公立人気は続くのではないでしょうか。また、地方の有力校の首都圏入試実施などますます多様化する高校受験においては、しっかりと方針や理念を伝えることができる学校が人気を集めていくと考えられます。

--ありがとうございました。
《田村麻里子》

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