現役東大生に聞く4ターム制導入、東大学部教育の総合的改革

 平成24年より、東京大学は1年にひとつのペースで新たな教育プロジェクトを施行しており、平成27年度は新たに4ターム制を導入する。文系学部は8月、1~3月を、理系学部は6~8月、3月を休業期間とし、それ以外の期間が4タームに分けられる制度だ。

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インタビューに協力してくれた佐藤寛也さん
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 平成24年より、東京大学は1年にひとつのペースで新たな教育プロジェクトを施行しており、平成27年度は新たに4ターム制を導入する。文系学部は8月、1~3月を、理系学部は6~8月、3月を休業期間とし、それ以外の期間が4タームに分けられる制度だ。

 4ターム制は、東大学部教育の総合的改革のひとつとして位置づけられている。導入により期待されているのは、海外への短期留学や社会体験への参加、ターム単位の留学、そして学士課程全体を通じて学生が科目履修や学習体験の活動を主体的かつ柔軟に行えるようになることだ。

 4ターム制の導入は、学生の学びや大学生活にどのような影響を与えうるのだろうか、学生は大学側のこのような動きをどう受け止めているのか、東京大学文学部4年の佐藤寛也さんに聞いた。

◆主体性を持って行動できる人を育てるのも大学の責任

--4ターム制導入によって大学生がより主体的になるといわれています。1人の大学生として、どのように捉えていますか。

 4ターム制によって休業期間が長くなるほか、1年の4分の1の休学が可能になるなど、学生が自分の判断で自由にできることが多くなると理解しています。その時間を使って海外留学や課外活動をすることで、総長が掲げているタフでグローバルな人材の育成にも繋がるでしょう。自分自身、素直に後輩たちが羨ましいと感じています。

 ただ、それは今の自分だからそう感じているという面もあります。私が教養課程に入学したばかりのことを思い出して考えると、この制度を十分には有効活動できなかったかもしれません。当時の自分はそこまで目が届かなかったというか、放し飼いにされるよりも何か課題を設定して欲しいという方が強かった気がします。周りを見ても、入学したころは必修科目だとか、求められている最低限のことだけをしようとする人が多いのが現実でした。

 つまり、学部の、特に低学年の頃はどうしても「何をしなきゃいけないか」にばかり目が行きがちになってしまう。こういう点は、高校生までの思考に近い面がありますね。

 たとえば、大学院生以上の人たちは、「自由にやりたいことをしろ、やめたければやめろ」っていう世界だと思うのですが、では学部生はどうなのでしょうか。中途半端な立ち位置にいる学部生を、大学がどこまでの主体性を持った存在と想定しているのかが問題になってくると思います。

 主体性を持って自分で自分の過ごし方を決めていけるのが望ましいのはもちろんですが、それを持たない学生が主体性を持って行動できるよう教育を施すのも大学の責任ではないでしょうか。10月に実施された濱田純一総長と学生が意見交換を行う会「濱田総長と語る集い」でも、ボトム層への配慮がもっと必要なのではないかという声が上げられていましたよね。

 教育改革の中で、主体性を持っている学生にそれをいっそう発揮してもらうための方策と、主体性を持っていない学生を対象とした方策は異なると思います。今回の4ターム制は、どちらかというと前者の方策でしょう。3か月も休みが取れますと言われたら、ただ遊んで過ごすだけの学生も出てきかねません。

◆自由にするだけでは教育放棄、主体的活動に対する評価の枠組みが必要

--大学生が4ターム制を効果的に利用するためには、どのような体制が必要なのでしょうか。

 今回導入される4ターム制で生じる長い自由時間に「何かやらなければ」と思わせ、「これをやるんだ」というものを見つけさせるための方策が必要だと思います。

 たとえば、「海外に行くならこういうプログラムがある」「課外活動であればこういった過去の事例がある」などという情報提供をもっと充実させてほしい。大学が提供するプログラムはまだ一部の学生にしか行き届いていない上、金銭的なサポートももっと必要だと思います。

 また、学生が4ターム制によって得た時間を無為に過ごしてしまうことがないよう、どのように過ごしたかを評価する仕組みがあっても良いのではないでしょうか。こうした活動というのはそもそも評価が難しいところだとは思いますけど、過ごし方の中身の多様性を担保しながら、適切に評価できるような制度ができれば理想的です。

◆4ターム制はひとつの要素、教育改革の中身について議論を

--4ターム制を含め、教育改革全体で期待している部分がありましたら教えてください

 教育改革に関する議論の中で、4ターム制という枠組みについての議論が先行してしまっているのが現状です。教育改革の中身の部分、特に教養課程のカリキュラム改革には期待しているので、これについての具体的な議論がいっそう充実することを願っています。

 私たち学生も、来たるべき4ターム制に向けて、「この制度が自分たちにどういう影響を与えるか」ではなく「自分たちがこの制度をどう活用できるか」という方向に意識を変えていかなければいけないですね。今からでももっと議論を深めていければと思いますし、そのために声を上げていきたいと思います。

--ありがとうございました。
《北原梨津子》

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