医師臨床研修マッチングは、臨床研修を受けようとする者(医学生など)と臨床研修を行う病院の研修プログラムを互いの希望を踏まえ、一定の規則(アルゴリズム)に従い、コンピューターで組合せを決定するシステム。平成16年度に医師の臨床研修が義務化されたのに合わせて導入され、医師臨床研修マッチング協議会が実施している。
平成29年度の医師臨床研修マッチング結果概要
平成29年度(平成30年度研修開始)のマッチングの募集定員は、前年度(平成28年度)比181人減の11,014人。希望順位を登録した研修希望者数は、前年度比331人増の9,726人。このうち、臨床研修を受ける病院が内定した人は前年度比117人増の9,023人で、内定率は92.8%(前年度94.8%)。
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図:内定者数割合の推移(大都市部6都府県とその他道県の比較)
大都市部のある6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)を除く道県における内定者の割合は58.9%(前年度58.3%)で、平成16年度の新制度導入以降、過去最大となった。一方、6都府県の内定者割合は41.1%(前年度41.7%)と、新制度導入以降で過去最小だった。
なお、医師臨床研修マッチング協議会では、新制度導入以降、研修医が特定の地域に集中しやすい状況にあるとの指摘を受け、地域的な適正配置を誘導する観点から、都道府県別の募集定員の上限を設けるなど見直しを行っている。
マッチ者に対する自大学出身者の比率
このほか、大学病院(施設別)マッチ者に対する自大学出身者の比率をみると、もっとも高い100%の大学病院は14施設あった。このうち、マッチ者数がもっとも多いのは鳥取大学医学部附属病院の18人、ついで帝京大学医学部附属溝口病院の9人。
逆に、マッチ者に対する自大学出身者割合が0%の大学病院は、東北医科薬科大学病院、自治医科大学附属病院など6施設あった。ただし、大学病院の名称変更や開設から間もない場合は、自大学出身者割合が0%となる場合がある。たとえば、「東北医科薬科大学病院」は平成28年(2016年)4月1日に「東北薬科大学病院」から名称を変更している。また、自治医科大学または防衛医科大学校の学生・卒業生の臨床研修に関しては、大学、大学校と学生、卒業生との間に特別な関係があるため、研修医マッチングへの参加は受け付けていない。
マッチ者に対する自大学出身者割合が低いのはこのほか、横浜市立大学附属市民総合医療センター、名古屋大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属順天堂医院、慶應義塾大学病院、東京大学医学部附属病院など。
※編集部注:医師臨床研修マッチング(研修医マッチング)に関する参加者および参加病院について一部補足しました(2017年10月26日)