教員9割、学校の「創造的問題解決能力」育成に意義…アドビ調査

 アドビシステムズの調査によると、日本の教員の9割以上が「生徒や学生が『創造的問題解決』を学校で学ぶことは重要」と認識しているものの、教員に対する研修の不足や、ツールへのアクセス不足などを感じていることがわかった。

教育・受験 先生
「創造的問題解決能力」を4つのカテゴリーとスキルに分け定義
  • 「創造的問題解決能力」を4つのカテゴリーとスキルに分け定義
  • 「創造的問題解決能力」を学ぶ重要性
  • 「創造的問題解決能力」の育成を妨げるおもな要因
  • 「創造的問題解決能力」の育成を妨げる要因
  • 授業で使えるソフトウェアやツールがまったくない教員の割合
  • 「創造的問題解決能力」の育成には教育課程の改革が必要
  • 「創造的問題解決能力」を育成できる学校現場作りのために影響力があると思うもの
 アドビシステムズの調査によると、日本の教員の9割以上が「生徒や学生が『創造的問題解決』を学校で学ぶことは重要」と認識しているものの、教員に対する研修の不足や、ツールへのアクセス不足などを感じていることがわかった。

 「学校現場における『創造的問題解決能力』育成に関する調査」は、日本の初等、中等、高等教育機関の教員400人と教育政策関係者100人を対象に実施したもの。調査時期は2017年10月。日本のほか、米国、英国、ドイツでも実施されており、部分的に国際比較を行っている。

 「創造的問題解決」とは、創造性に富んだ革新的な方法で問題や課題に取り組む手法のこと。調査では、「分析的思考と抽象的思考」「コラボレーションとコミュニケーション」「臨機応変な対処」「デザイン」の4つのカテゴリーとスキルを「創造的問題解決能力」として定義している。

 「生徒や学生が『創造的問題解決能力』を学校で学ぶことは重要である」と、教育政策関係者の90%、教員の93%が回答。また、教育政策関係者の71%、教員の66%が「『創造的問題解決能力』を必要とされる職業は人工知能(AI)などによる自動化の影響を受けにくいと思う」と考えていた。

 しかし、半数の教育関係者が「現在の教育課程では『創造的問題解決能力』の育成があまり重視されていない」と感じていた。教員からは、「教科の授業時数や教えるべき内容が多すぎて、創造的問題解決能力に時間を当てられない」「創造的問題解決能力は数値化できない。評価できる教育者がいない」などの声が寄せられた。

 「創造的問題解決能力」の育成を妨げる要因について、「創造的(クリエイティブ)に考える、行動する、制作するという時間がない」72%、「教員に対するソフトウェアに関する研修の機会が不足している」69%、「授業で使用できるソフトウェアの不足」67%などがあがった。

 「生徒や学生の『創造的問題解決能力』を育成するために必要となるソフトウェアやツールがそろっていない」「研修を受けておらず、必要な知識も持っていない」と考える教員は他国で約5割程度であるのに対し、日本は7割以上にのぼった。

 また、「授業で使えるソフトウェアやツールがまったくない」と回答した教員も、米国3%、英国5%、ドイツ15%、日本40%と、日本が圧倒的に多いことがわかった。

 教育政策関係者の90%、教員の82%が「創造的問題解決能力」を育成する授業を行うためには、関連する教育課程の改訂について検討の余地があると回答。現場の教員からは、「創造的問題解決能力」の育成のために、学校経営陣や国・都道府県による改革と大学入試制度の改革が望まれていた。

 日本人として初めて「グローバル・ティーチャー賞」に選ばれた工学院大学附属中学校・高等学校教頭の高橋一也教諭は、「子どもたちの創造性を養う課題解決型学習の中で行うプレゼンテーションや映像作品制作は、工夫次第でキャリア教育にもつながります。Adobe Creative Cloudのようなプロツールを積極的に活用し、子どもたちに気付きを与え、実社会で起きている変化に対応し、必要とされる能力を伸ばしていくことが大切なのではないでしょうか」とコメントしている。
《外岡紘代》

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