就職活動でのハラスメント行為、大学の36%が相談受ける

 文部科学省は2018年10月10日、「2018年度 就職・採用活動に関する調査結果(速報版)」を公表した。大学の36.0%がハラスメント的な行為の相談を受けており、「内々定の段階で、内定承諾書を求められた」という相談がもっとも多かった。

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就職・採用活動の開始時期の後ろ倒しが続いていることについて、どのような影響があったか(大学等調査)
  • 就職・採用活動の開始時期の後ろ倒しが続いていることについて、どのような影響があったか(大学等調査)
  • 就職・採用活動時期が前年度と同じ時期に設定されたことについて、良い影響があったと思うこと(大学等調査)
  • 就職・採用活動時期が前年度と同じ時期に設定されたことについて、課題となったこと(大学等調査)
  • 就職・採用活動の開始時期が前年度と同様の時期に設定されたことについて、採用活動にどのような影響があったか(企業調査)
  • 学生の意思に反して他の企業等への就職活動の終了を強要するようなハラスメント的な行為について、相談を受けたことはあったか(大学等調査)
  • 2018年3月1日から8月1日までの相談件数(大学等調査)
  • どのようなハラスメント的な行為について相談を受けたか(大学等調査)
  • 採用選考活動において、学業成果(成績や履修履歴等)を重視しているか(企業調査)
 文部科学省は2018年10月10日、「2018年度 就職・採用活動に関する調査結果(速報版)」を公表した。大学の36.0%がハラスメント的な行為の相談を受けており、「内々定の段階で、内定承諾書を求められた」という相談がもっとも多かった。

 就職・採用活動に関する調査は、就職問題懇談会の協力のもと、2018年度の就職・採用活動の状況を把握し、今後の就職・採用活動の円滑な実施の検討に資することを目的として実施。国公私立大学、短期大学および高等専門学校を対象とした調査は、2018年7月4日~8月8日の調査期間で1,091件の回答を得た。全国の企業を対象とした調査では、2018年7月13日~8月8日の期間で1,012件の回答を得た。

 大学等に対して、広報活動開始時期が卒業・修了前年度の3月1日以降となり、就職・採用活動の開始時期の後ろ倒しが続いていることへの影響を聞くと、「学生が学部3年次の後期試験に落ち着いて取り組むこと」32.6%、「卒業・修了前年度までの、学生の授業やゼミの学修時間の確保」32.4%、「卒業・修了前年度までの、学生のインターンシップの参加促進」31.7%、「学部3年次の後期授業への出席」31.5%などを良い影響としてあげている。

 就職・採用活動時期が前年度と同じ時期(広報活動は3月1日以降、採用選考活動は6月1日以降)となったことについて良い影響があったと思うことを尋ねると、「学生が就職活動の準備をしやすくなった」47.8%、「大学等が就職支援の計画を立てやすくなった」46.4%、「学生が先輩の体験を参考にできるようになった」40.5%などを回答。

 課題となったことでは、「実質的な選考活動を早期に開始する企業があったことで、学生の就職活動に混乱が生じた」41.0%、「教育実習を行う学生について、採用面接の時期が重なった」36.3%、「企業研究の時間が十分に確保できない学生がいた」25.7%があった。

 企業に同様の質問をしたところ、良い影響は「特にない」50.5%がもっとも多かったが、44.3%は「採用の準備や計画が立てやすくなった」と回答。課題となったことでは、「開始時期を遵守せず、早期に採用選考活動を開始する企業がいた」44.5%がもっとも多く、大学調査であがった課題と共通していた。そのほか、「内々定を辞退する学生が増えた」 30.4%、「業界研究や企業研究が不足している学生が見受けられた」27.5%などがある。

 また、就職・採用活動におけるハラスメント的な行為について、大学の36.0%が相談を受けたことが「ある」と回答。2017年度と比べると、4.1ポイント減少している。相談件数は「5件以下」が46.8%を占めているが、「51件以上」と答えた大学も6.1%あった。相談内容でもっとも多かったのは、「内々定の段階で、内定承諾書を求められた」82.2%。ついで、「内々定を出す代わりに他社への就職活動をやめるように強要された」59.0%、「自由応募であるのに、内々定段階で大学の推薦状を求められた」44. 8%だった。

 そのほか、企業の54.0%が採用選考活動において、学業成果(成績や履修履歴など)を「大いに重視している」「ある程度重視している」と答えた。応募者全員に学業成果を表す書類(成績証明書や履修履歴など)の提出を求めている企業は79.8%。提出させる時期については「1次面接時」34.4%がもっとも多く、募集時~2次面接までに85.0%の企業が提出させていた。

 留学経験者(日本人の学生で海外留学を経験した者)の採用については、「採用にあたっては、留学経験の有無は考慮しない」企業が72.2%となり、「留学経験者を積極的に採用したい」という企業は14.9%にとどまった。積極的に採用したいと回答した企業でも、47.6%は留学経験者の採用のために行っていることは「特にない」と答えている。一方、「別途のスケジュールを設けている」30.8%、「入社時期を変えている」14.0%、「海外に出向いて積極活動を行っている」15.4%という企業もあった。

 「2018年度 就職・採用活動に関する調査結果(速報版)」は、文部科学省Webサイトに掲載されている。文部科学省は今後、分析・検討、データの更なる精査を経て、最終版を公表する予定。

 なお、日本経済団体連合会(経団連)は2018年10月9日、2021年度以降に入社する学生を対象とした採用選考に関する指針を策定しないと発表。今後は、未来投資会議をはじめとする政府の関係会合において、2021年度以降のルールのあり方について議論していくという。
《黄金崎綾乃》

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