風しん患者、5年ぶりに2,000人超え…43都道府県に流行拡大

 国立感染症研究所は2018年11月20日、第45週(11月5日~11日)までの風しん患者累積報告数が2,032人になったと発表した。2008年の全数届出開始以降、患者数が2,000人を超えるのは、2012年と2013年の全国的な流行以来5年ぶりとなる。

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風しん累積報告数の推移 2014~2018年(第1~45週)
  • 風しん累積報告数の推移 2014~2018年(第1~45週)
  • 風しん累積報告数の推移 2012~2018年(第1~45週)
  • 週別風しん報告数 2018年 第1~45週
  • 都道府県別病型別風しん報告数 2018年 第45週
  • 都道府県別病型別風しん累積報告数 2018年 第1~45週
  • 年齢群別接種歴別風しん累積報告数(男性)2018年 第1~45週
  • 年齢群別接種歴別風しん累積報告数(女性)2018年 第1~45週
  • 年齢群別風しん累積報告数割合(男女別)2018年 第1~45週
 国立感染症研究所は2018年11月20日、第45週(11月5日~11日)までの風しん患者累積報告数が2,032人になったと発表した。2008年の全数届出開始以降、患者数が2,000人を超えるのは、2012年と2013年の全国的な流行以来5年ぶりとなる。

 国立感染症研究所が11月20日に発表した「風しん流行に関する緊急情報」によると、第45週の風しん患者報告数は139人。第36週(9月3日~9日)以降、10週間にわたって1週間あたりの報告数が100人を超えている。

 第45週までの累積報告数は2,032人。2008年の全数届出開始以降では、2013年、2012年についで3番目に多い。前年との比較では、2017年1年間(93人)の22倍、第1~45週(80人)の25倍の報告数となっている。

 地域別では、「東京都」の716人がもっとも多く、ついで「千葉県」294人、「神奈川県」275人、「埼玉県」138人と、首都圏1都3県で報告数が100人を超えている。このほか、「愛知県」97人、「大阪府」83人、「福岡県」70人など、流行は首都圏以外にも広がりをみせており、第45週時点で報告がない都道府県は「青森県」「高知県」「佐賀県」「大分県」の4県のみ。

 報告された風しん患者の症状(重複あり)は、「発疹」99%、「発熱」90%、「リンパ節腫脹」60%、「結膜充血」40%など。報告患者の96%が成人で、男性1,657人、女性375人と、男性が女性の4.4倍多い。予防接種歴は、「なし」あるいは「不明」が93%を占めている。

 風しんは、風しんウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症。妊娠20週ごろまでの妊婦がかかると、胎児に感染し、赤ちゃんが難聴・白内障・先天性心疾患を特徴とする「先天性風しん症候群」を持って生まれてくる可能性が高くなる。

 2018年第1~45週まで、先天性風しん症候群の報告はないが、2012~2013年の流行時には先天性風しん症候群が45人確認されている。

 風しんは、ワクチンによって予防可能な感染症。国立感染症研究所では、妊娠前の女性や妊婦の周囲の人に対するワクチン接種が重要とするほか、30~50代男性で罹患歴がなく、予防接種歴がない、または不明の場合は早めにワクチンを接種するよう勧めている。今回の流行を受け、風しんの抗体検査や風しん含有ワクチン接種の費用を助成する自治体が増えており、居住地の自治体のWebサイトなどを確認してほしいという。
《奥山直美》

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