風しん対策、成人男性の予防接種を3年間無料に…厚労省

 風しん患者が全国的に急増している状況を受け、厚生労働省は2018年12月11日、成人男性に対する風しんワクチンを定期接種の対象にすると発表した。抗体を保有していない39歳から56歳の男性は、全国において3年間、原則無料で予防接種を受けることができるようになる。

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風しん含有ワクチンの定期予防接種制度と年齢の関係
  • 風しん含有ワクチンの定期予防接種制度と年齢の関係
  • 風しん累積報告数の推移 2012~2018年(第1~48週)
  • 年齢群別接種歴別風しん累積報告数 (男性) 2018年 第1~48週
  • 年齢群別風しん累積報告数割合 (男女別) 2018年 第1~48週
  • 男女別年齢群別風しん患者報告数(2018年)と風しんHI抗体保有率(2017年)
 風しん患者が全国的に急増している状況を受け、厚生労働省は2018年12月11日、成人男性に対する風しんワクチンを定期接種の対象にすると発表した。抗体を保有していない39歳から56歳の男性は、全国において3年間、原則無料で予防接種を受けることができるようになる。

 厚生労働省の根本匠大臣が、12月11日の会見において明らかにした。12月13日開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、正式決定される見通し。

 風しんは、妊婦が感染すると胎児にも風しんウイルスが感染して、目や耳、心臓に障害を持つ先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれる可能性がある。2018年は、第48週(11月26日~12月2日)までに風しん患者報告数が2,454人を記録。1万4,344人の患者が報告され、先天性風しん症候群が45人確認された2013年のような大規模な流行につながることが危惧され、妊婦や赤ちゃんを守るために成人男性も予防接種を受ける必要性が指摘されていた。

 厚生労働省の追加対策としてワクチン無料化の対象となるのは、これまで予防接種法に基づく定期接種を受ける機会が一度もなく、抗体保有率が約80%とほかの世代に比べて低く、感染者が特に多い、現在39~56歳の男性。予防接種法に基づく定期接種の対象とし、全国において原則無料で定期接種を3年間実施する。

 ワクチンの効率的な活用のため、接種に先立ち、抗体検査を実施。事業所健診の機会に抗体検査を受けられるようにすることや、夜間・休日でも抗体検査や予防接種が受けることができるような体制整備にも取り組む。また、速やかな開始に向け、ワクチンの増産や地方自治体の施行準備なども最大限支援するという。

 厚生労働省では、2020年7月までに現在39~56歳の男性の抗体保有率を85%以上に引き上げ、風しんの感染拡大を終息。さらに今後同様の感染拡大が起こらないように対策を進め、2021年度末までにこの世代の男性の抗体保有率を90%以上まで引き上げるとの目標を掲げている。
《奥山直美》

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