【大学受験2021】民間英語試験の利用は中止すべき…大学教授ら請願

 2021年度の大学入学共通テストで民間の英語資格・検定試験を活用することについて、大学教授らが2019年6月18日、利用中止と制度の見直しを求める請願書を国会に提出した。「公正性・公平性が確保されていない」と、英語民間試験の利用を批判している。

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2021年度大学入学共通テストにおける英語民間試験の利用中止に関する請願書
  • 2021年度大学入学共通テストにおける英語民間試験の利用中止に関する請願書
  • 各資格・検定試験とCEFRとの対照表
 2021年度の大学入学共通テストで民間の英語資格・検定試験を活用することについて、大学教授らが2019年6月18日、利用中止と制度の見直しを求める請願書を国会に提出した。「公正性・公平性が確保されていない」と、英語民間試験の利用を批判している。

 2021年度大学入学者選抜では、英語4技能を評価するため、民間の英語資格・検定試験の成績情報を大学入試センターが一元的に集約し、各大学に提供する「大学入試英語成績提供システム」を導入する。2021年度入試には、ケンブリッジ英語検定、TOEFL iBTテスト、IELTS、TOEIC L&RおよびTOEIC S&W、GTEC、TEAP、TEAP CBT、英検(S-Interview、S-1day、CBT)の8種類が参加を予定している。

 これに対して、大学入試センター名誉教授で東北大学名誉教授の荒井克弘氏らは、請願書で「新制度には多数の深刻な欠陥があり、大学入試が有するべき最低限の公正性・公平性が確保されていない。それどころか、2020年4月の新制度導入を間近に控えた現時点でも、希望者全員がトラブルなく民間試験を受験できるめどが立たず、高校生や保護者、学校関係者に不安が広がっている」と指摘している。

 さらに「このまま導入を強行すれば、多くの受験生が制度の不備の犠牲になり、民間試験の受検のために不合理な経済的、時間的、精神的負担を強いられる。また、予想される各種のトラブルのために、当該年度の入学者選抜が大きく混乱することも危惧される」と訴え、「2021年度大学入学共通テストにおける英語民間試験の利用中止」と「新制度の見直し」を求めている。

 大学教授ら学識者グループでは新制度について、各資格・検定試験の結果スコアから英語4技能の能力を6段階で認定する「CEFR対照表」の科学的な裏づけがないこと、受験機会の不平等なども問題視している。

 請願書は6月18日、全国から集めた約8,100筆の署名とともに衆議院と参議院に提出。文部科学省にも要請書を手渡した。同日の記者会見には、荒井氏のほか、東京大学大学院人文社会系研究科教授の阿部公彦氏、東京大学大学院教育学研究科教授の中村高康氏、元東京大学大学院教育学研究科教授の南風原朝和氏、京都工芸繊維大学基盤科学系教授の羽藤由美氏も出席した。
《奥山直美》

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