コロナで子どもが直面するリスクと行動指針、ユニセフらが発表

 ユニセフ(国連児童基金)は2020年3月20日、人道行動における子どもの保護のためのアライアンスと共同で、新型コロナウイルス(COVID-19)流行への対策により子どもが直面するリスクと行動指針を発表した。

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両親と祖父母が新型コロナウイルス感染で入院し、ひとり家に取り残された5歳のヤンヤンちゃん(仮名)(2020年2月17日撮影) (c) UNICEF_UNI304653_Cui
  • 両親と祖父母が新型コロナウイルス感染で入院し、ひとり家に取り残された5歳のヤンヤンちゃん(仮名)(2020年2月17日撮影) (c) UNICEF_UNI304653_Cui
  • お菓子を食べながら遠隔授業の課題に取り組む8歳のルカくん(2020年3月20日撮影) (c)  UNICEF_UNI313417_McIlwaine
 ユニセフ(国連児童基金)は2020年3月20日、人道行動における子どもの保護のためのアライアンスと共同で、新型コロナウイルス(COVID-19)流行への対策により子どもが直面するリスクと行動指針を発表した。

 ユニセフによると、新型コロナウイルス流行への対策によって世界の何億人もの子どもたちが、虐待やジェンダーに基づく暴力、搾取、社会的排除、保護者の同伴がないなど、増大する安全や健康面の脅威に直面する。過去の公衆衛生上の緊急事態の際にも子どもの虐待と搾取の割合が高まり、西アフリカで2014年から2016年にかけてエボラ出血熱が発生した際の休校措置は、児童労働、ネグレクト、性的虐待、10代の妊娠が急増する一因となったという。

 今回の新型コロナウイルス流行への対策を受け、ユニセフは子どもの安全・健康を確保するよう政府に要請。人道行動における子どもの保護のためのアライアンスと共同で、子どもが直面するリスクと行動指針を示したガイダンスを、対応する政府当局や組織に向けて発表した。

 ガイダンスでは確実に子どもを守るため、「子どもが利用できる、相談やその他サポートに関する情報発信を増やす」「家計の収入に影響が及んでいる家族に向けて、財政的および物質的な支援を行う」「すべての子どもの保護が、感染症対策において最大限考慮されるようにする」など、8つの行動指針を明示。政府と保護当局が新型コロナウイルスのすべての予防および制御措置に含めることが不可欠だとしている。

 ユニセフは、新型コロナウイルスに関連する情報として「正しい手洗いで感染予防」「安全な学校運営のための行動指針」などもWebサイトで公開している。

◆ユニセフ「確実に子どもを守るための8つの行動指針」
・性的搾取と虐待の防止や、懸念される事例を安全に報告する方法など、COVID-19に関連した子どもの保護リスクについて、保健、教育、子どもへのサービスに携わるスタッフを訓練する。
・ジェンダーに基づく暴力(gender-based violence: GBV)の開示を管理する方法(GBVポケットガイド)について担当者を訓練し、被害者をサポートするために保健ケアサービスと協力する。
・子どもが利用できる、相談やその他サポートに関する情報発信を増やす。
・COVID-19が子どもにどのように影響するかを評価する際に、子どもたち(特に10代の子ども)自身の声を集め、その内容を施策やアドボカシー活動に反映させる。
・暫定的なケアセンター、子どものいる世帯や里親世帯を含む家族に焦点を当ててサポートを行うことで、子どもたちを精神的に支え、適切なセルフケアに導く。
・家計の収入に影響が及んでいる家族に向けて、財政的および物質的な支援を行う。
・子どもと家族の分離を防ぐための対策を実施し、親または保護者の入院・死亡時に、適切なケアがなく取り残された子どもへの支援を確実におこなう。
・すべての子どもの保護が、感染症対策において最大限考慮されるようにする。
《外岡紘代》

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