専門学校の授業料納付猶予…前期95.4%、後期89.9%

 文部科学省は2020年10月20日、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた専門学校生への支援状況等に関する調査」の結果を公表した。授業料の納付猶予は前期が95.4%、後期が89.9%で実施または実施予定。経済的に困難な生徒を支援している専門学校は51.1%だった。

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2020年度前期授業料の納付猶予
  • 2020年度前期授業料の納付猶予
  • 2020年度後期授業料の納付猶予
  • 経済的に困難な生徒を支援するための取組み
  • 経済的に困難な学生のための具体的な支援内容の例
  • 中途退学者の状況
  • 退学の相談があった場合の修学継続に向けた対応方針
  • 退学を防ぐための具体的な取組みの例
 文部科学省は2020年10月20日、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた専門学校生への支援状況等に関する調査」の結果を公表した。授業料の納付猶予は前期が95.4%、後期が89.9%で実施または実施予定。経済的に困難な生徒を支援している専門学校は51.1%だった。

 「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた専門学校生への支援状況等に関する調査」は、全国の国公私立専門学校を対象に9月1日から実施。10月14日時点の回答率は84.0%。

 2020年度前期授業の納付猶予は、「制度として納付猶予」32.4%、「やむを得ない者については個別対応」32.0%、「猶予を行っていたが、2020年9月1日現在は行っていない」3.8%、「未納者なし」27.2%。未納者がいない場合も含め、全体の95.4%の専門学校が前期分の授業料の納付猶予を実施していた。

 専門学校の生徒数に占める前期授業料の納付猶予者数の割合は、前年度より1.32ポイント多い4.87%。文部科学省では「より多くの生徒に対して、猶予制度や、除籍扱いとしない個別の対応を行っていることがうかがえる」と評価している。

 2020年度後期授業料の納付猶予については、全体の89.9%の専門学校が、納付猶予や納付猶予の締切延長をすでに行っている、または行う予定(検討中を含む)とした。

 経済的に困難な生徒を支援するため、授業料等減免や学校独自の支援など、何らかの支援を行っている専門学校は全体の51.1%。このうち、専門学校独自の支援措置を行っているのは、全体の37.7%。支援の内容(複数回答)は、「給付措置」12.1%、「貸与措置」14.4%、「物品支援」14.8%など。

 具体的な支援内容の例は、給付措置では「一律または経済的に困難な学生を対象に現金を給付」「1人暮らしの生徒等を対象にした家賃や交通費の補助」、貸与措置では「学校独自の奨学金の対象者や金額の拡充」「無利子による貸付や、提携ローン等での利子を負担」、物品措置では「パソコンやWi-Fiルーター等の通信機器の無償貸与」「食品や学校内で使える食券の提供」などがあげられている。「その他」には、「学生寮の減額や、光熱費や食費などの一部無償化」「実習費の減額や免除」などがあった。

 一方、4月から8月の中退者数は5,824人、生徒数に占める中退者の割合は1.12%。2019年度同時期の中退者数9,373人、中退者の割合1.83%と比較して、いずれも減少している。中退のおもな理由は、「学生生活不適応・修学意欲低下」21.5%(前年度23.5%)、「就業・起業等」11.5%(前年度12.8%)など。

 退学の相談があった場合の修学継続に向けた対応方針については、「適切な対応がとられるように、十分認識共有を行っている」36.0%、「従前から適切な方針があり、現在も十分認識共有を行っている」45.9%、「現在検討途中である」18.1%。全体の81.9%の専門学校が、学校内で方針を検討し、適切に対応している状況にあった。

 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、学生生活不適応、心神耗弱、経済的困窮などによる退学を防ぐための工夫例では、学校内の組織体制の整備、生徒に身近な立場からのきめ細かな対応、オンラインなどの利用、専門家との連携などがあげられている。
《奥山直美》

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