無戸籍の小中学生、全員の就学を確認…文科省調査

 2021年5月10日時点で法務省が把握している無戸籍の学童児童生徒190人のうち、就学が確認できていない53人について文部科学省が調査したところ、すべての児童生徒の就学を確認したことがわかった。就学の徹底ときめ細かな支援に引き続き取り組むよう求めている。

教育業界ニュース 文部科学省
無戸籍の学齢児童生徒の状況
  • 無戸籍の学齢児童生徒の状況
  • 教育委員会と関係部局との連携による就学に向けた支援の具体例
  • 教育委員会関係部局との連携によって戸籍の取得に向けた支援の具体例
  • 関係機関との間で戸籍や住民基本台帳に記載されていない学齢児童生徒に関する必要な情報共有のためのルールを定めている場合の具体例
 2021年5月10日時点で法務省が把握している無戸籍の学童児童生徒190人のうち、就学が確認できていない53人について文部科学省が調査したところ、すべての児童生徒の就学を確認したことがわかった。義務教育諸学校の設置者に対し、就学の徹底ときめ細かな支援に引き続き取り組み、子供たちの就学機会を逸することのないよう求めている。

 日本国籍を有するものの戸籍に記載がない者(無戸籍者)は、社会生活上さまざまな不利益を被ることがあると考えられる。政府は、無戸籍者が適正な手続により戸籍に記載されるための支援を推進。法務省では、無戸籍者に関する情報の収集に努めている。

 無戸籍の学齢児童生徒の就学状況に関する調査は、法務省が5月10日時点で把握した無戸籍の学齢児童生徒190人のうち、これまでの調査で就学が確認できていない53人が対象。45市区町村教育委員会等を通じて2021年7月2日~8月27日に文部科学省が実施した。

 義務教育諸学校への就学状況では、53人全員の就学を確認。児童生徒の登校の状況では、「支障なく登校している」が52人、「就学しているが、欠席が目立つ」が1人。未就学期間がある児童生徒はいなかった。また、調査対象となった53人のうち1人は、調査の段階で無戸籍状態が解消されたことを確認している。

 調査結果によると、教育委員会と関係部局が連携して就学に向けて支援した具体例には、「離婚後300日以内の出生だったため、出生届が提出できていない保護者から、首長部局が就学の申出を受けた際に、関係部局と連携しながら出生証明書や居住の実態を確認し、就学の手続きを進めた」「幼稚園から得た就学時健康診断を受診しない園児に関する情報から、無戸籍者であることが判明した際に、戸籍担当部局と協力して就学手続きを進め、就学時健康診断を受診させ、通常どおり指定する学校に就学させた」等があった。

 教育委員会関係部局の連携による戸籍取得に向けた支援の具体例は、「児童が通うこども園と連携し、担任や園長から保護者に対し、戸籍取得を促した」「戸籍関係書類が必要となる機会を用いて、教育委員会の教育相談員へ相談するよう、学校を通して働きかけを行った」等。調査結果では、関係機関との間で戸籍や住民基本台帳に記載されていない学齢児童生徒に関する情報共有のためのルールを定めている具体例も示している。

 文部科学省は12月10日、無戸籍の学齢児童生徒の就学状況に関する調査結果について、全国の教育委員会等に事務連絡を発出。戸籍の有無にかかわらず、学齢児童生徒の就学の機会を確保することは、憲法に定める教育を受ける権利を保障する観点から極めて重要であるとし、義務教育諸学校の設置者に対し、就学の徹底ときめ細かな支援に引き続き取り組むよう要請している。

 さらに、住民基本台帳に記載されていない者であっても、市町村に学齢期の児童生徒が居住していれば、学齢簿を編製し、就学の通知等の手続をとるようこれまでも通知していると説明。今後も子供たちの就学機会を逸することのないよう求めている。
《奥山直美》

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