学校制服、販売店の競合で2,000円の低減効果…公取委報告

 公正取引委員会は2023年10月23日、学校制服の取引実態に関する事後検証報告書について公表した。2017年に学校などに対して学校制服の取引に関する提言を行って以降、ブレザー上下1着あたり2,000円程度の価格低減効果があったという。

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 公正取引委員会は2023年10月23日、学校制服の取引実態に関する事後検証報告書について公表した。2017年に学校などに対して学校制服の取引に関する提言を行って以降、ブレザー上下1着あたり2,000円程度の価格低減効果があったという。

 学校制服については、長年制服メーカーや販売店間での競争が十分に機能せず、価格が高止まりしている状況にあった。公正取引委員会は、こうした現状が保護者の負担になっている側面も踏まえ、2017年に「コンペや入札、見積り合わせといった方法で制服メーカーや指定販売店などを選ぶこと」「制服の仕様が学校独自であることを理由に制服メーカーを指定している場合はその指定の必要性を見直すこと」などの提言を盛り込んだ報告書を公表。学校などに取組みを進めるよう求めた。

 また、2020年には愛知県豊田市に所在する県立高校6校の制服を販売する販売業者に対して、独占禁止法第3条に違反する行為を行っていたとして排除措置命令等を発出。今回、これらの取組みのその後の状況を把握するべく、全国の公立中学・高校と豊田市内の6校へのアンケート調査およびデータ分析を実施し、学校における対応状況や学校制服価格の変化をまとめた事後検証報告書を公表した。

 事後検証の結果、2017年の提言事項については一定程度進展がみられ、制服メーカー間や販売店間の競争が有効に機能したことでブレザー上下1着の購入あたり、おおむね2,000円程度の価格低減効果があったことを確認。豊田市内の6校においては、制服販売店における価格カルテルに係る合意の消滅後、学校制服価格が全国の平均価格と比較して相対的に下落したという。

 一方で、提言の取組みを実施した学校の割合からみると、いまだ全国に取組みを広げていく段階にあるという。公正取引委員会は、学校などに対し、引き続き提言事項の実施を進めていくことを求めたほか、ブレザーや詰め襟といった学校制服以外の学用品についても同様の取組みを進め、改善を図るよう求めた。今後も、学校制服価格の低減を通じて保護者負担の軽減に向けた取組みを進めていくとしている。

《畑山望》

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