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筑波大・柳沢正史教授がラスカー賞受賞、改めて考えたい「子供の睡眠」の大切さ

 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授と、米国スタンフォード大学のEmmanuel Mignot教授が、睡眠研究への功績により2026年アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。

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  • 筑波大学の柳沢正史教授が2026年アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。

 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史教授と、米国スタンフォード大学のEmmanuel Mignot教授が、睡眠研究への功績により2026年アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞した。睡眠と覚醒を調節する神経ペプチド「オレキシン」の発見と、その欠乏が過眠症・ナルコレプシーを引き起こすことの解明が高く評価された。

 ラスカー賞は、医学および生物医学研究におけるアメリカ医学界最高の賞で、「ノーベル賞の登竜門」とも呼ばれる。これまでに日本人では、森和俊氏(2014年受賞)、山中伸弥氏(2009年受賞)、遠藤章氏(2008年受賞)、増井禎夫氏(1998年受賞)、西塚泰美氏(1998年受賞)、花房秀三郎氏(1992年受賞)、利根川進氏(1987年受賞)が受賞しており、柳沢教授は8人目の日本人受賞者となる。

 今回の受賞は、睡眠研究の重要性が世界的に評価されたといえる。睡眠は疲れを取るための時間と思われがちだが、近年は心身の健康だけでなく、学習や記憶、成長との関わりについても研究が進んでいる。子供たちの健やかな成長を支えるうえで、睡眠は欠かせない生活習慣の1つだ。

睡眠は「記憶を定着させる時間」

 リセマム編集長・加藤紀子は、著書『子育てベスト100 ─「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり(以下、『子育てベスト100』)』の中で、睡眠は脳に十分な休息を与えるだけでなく、学習した内容の記憶定着にも重要な役割を果たすと紹介している。

 同書によると、学習後の十分な睡眠は、前日に勉強したことやテクニックをより深く記憶にとどめ、理解を深める働きがあるという。勉強時間を増やすことだけでなく、しっかり眠ることも学習成果を高めるためには欠かせない。夜遅くまで勉強を続けることが努力の象徴のように語られることもあるが、睡眠時間を削ることで学習効率が下がる可能性もある。睡眠は「休憩」ではなく、「学びの一部」と捉えることが重要だ。

「早寝早起き」の習慣は学習にもプラス

 生活リズムと学力の関係についても、多くの研究が行われている。

 『子育てベスト100』では、早寝早起きの習慣をもつ子供は、夜型の子供と比べて学習面で良い結果を示す傾向があると紹介している。十分な睡眠によって脳がしっかり休息を取り、翌日の集中力や判断力が高まるためだ。また、成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されることが知られている。睡眠は学力だけでなく、身体の成長や健康維持の面でも重要な役割を担っている。

日本の子供は睡眠不足が課題

 厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠には、子供の心身の休養と、脳と身体を成長させる役割があると記されている。また、睡眠時間が不足すると、肥満のリスクが高くなる、抑うつ傾向が強くなる、学業成績が低下する、幸福感や生活の質(QOL)が低下することが報告されているという。

 米国睡眠医学会は、子供の睡眠時間の目安として、

・1~2歳児:11~14時間
・3~5歳児:10~13時間
・小学生:9~12時間
・中高生:8~10時間 を推奨している。

 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、乳幼児期は子供の睡眠習慣は親の睡眠習慣に影響されやすいため、家族ぐるみで早寝・早起き習慣を目指すと良いと紹介。小学生以降は、早起き習慣を保ったうえで、推奨睡眠時間から逆算して夜寝る時間を決めることを勧めている。

発達段階別、注意したいポイント

乳幼児期(未就学児)

・朝起きる時間を決める
・起床後はカーテンを開けて部屋を明るくする
・朝食後は外で活動し、日光を浴びる
・十分な睡眠時間を確保する

児童期(小学生)

・睡眠時間を十分に確保する
・朝食を毎日とる
・登校時や学校生活で日光を浴びる
・スクリーンタイム(テレビ視聴やゲーム・スマホ利用など)を長くしすぎない
・1日60分以上の身体活動を心がける
・休日も平日と同じ時間帯に起床する

思春期(中学生・高校生)

・夜更かしの習慣化を防ぐ
・休日の朝寝坊を避ける
・起床後に日光を浴びる
・朝食を欠かさない
・スマホやゲーム機を寝室に持ち込まない
・就寝前のデジタル機器利用を控える
・適度な運動習慣を維持する

 成長・加齢とともに必要な睡眠時間は減少していくが、成長期である高校生までは成人よりも長い睡眠時間を必要とすることがわかっているという。乳幼児期は朝の光を浴びて生活リズムを整えること、児童期は十分な睡眠時間と運動習慣を確保すること、思春期は夜更かしやスマートフォン利用による睡眠不足を防ぐことが重要だとしている。

家庭でできる睡眠環境づくり

 良質な睡眠のためには、寝る前の過ごし方にも気を配りたい。

 『子育てベスト100』では、スマートフォンやゲーム機などの画面から発せられるブルーライトが睡眠に影響する可能性が指摘されている。寝る前にブルーライトに当たると、良質な睡眠をもたらしてくれるメラトニンが分泌されにくくなるという。

 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、デジタル機器は寝室に持ち込まず、電源を切って、別の部屋に置いておくことを推奨している。特に、寝そべりながらデジタル機器を使うと、ディスプレイの視聴距離が近くブルーライトを浴びやすくなるため、寝つきや睡眠の質の悪化につながるとされている。

世界が注目する睡眠研究、家庭でも見直したい生活習慣

 筑波大学の柳沢正史教授のラスカー賞受賞は、睡眠研究の社会的な重要性を改めて示した。子供の学力向上や成長を考えるとき、教材や学習法に目が向きがちだ。しかし、その土台となるのは毎日の生活習慣であり、その中心の1つが睡眠である。

 「何を学ぶか」と同じくらい、「しっかり眠れているか」。今回の受賞をきっかけに、家庭の睡眠習慣を見直してみるのも良いかもしれない。

《編集部》

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