英単語学習、書籍とiPadアプリの学習で効果がより大きく

 旺文社は4月4日、東京都港区の広尾学園高等学校にて、iPadを用いた英語学習の効果測定を実施した調査結果について発表した。

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成績の変化
  • 成績の変化
  • 書籍・iPadアプリをどのような場所で使いましたか(複数回答)
  • 書籍・iPadアプリのどの部分を使用しましたか
  • アプリ「英単語ターゲット1900」
 旺文社は4月4日、東京都港区の広尾学園高等学校にて、iPadを用いた英語学習の効果測定を実施した調査結果について発表した。

 この調査は、広尾学園高等学校の医進・サイエンスコース1年生(38名)を対象に、1月10日から2月21日に実施。旺文社の英単語学習参考書「英単語ターゲット1900[5訂版]」および、同書をもとに開発されたiPhone・iPod touch・iPad向けアプリケーション「英単語ターゲット1900」(開発・物書堂)を提供のうえ、実際に使用してもらって使い勝手と学習効果を検証したもの。

 実施の流れは、学習期間を2回に分け、1回目は書籍のみを用いて範囲A、2回目は書籍とiPadアプリを用いて範囲Bの英単語を学習してもらった。各学習期間の前後に学習範囲の英単語筆記テストおよびWebアンケートを行い、正答数と学習状況の変化を分析。また、調査終了後に、生徒への直接インタビューも実施している。

 なお今回の書籍およびiPadアプリの利用は自宅や通学時、学校の休憩時間等の自学自習の範囲に留めており、授業中には活用していない。また、書籍やiPadアプリの使い方は生徒にまかせ、2回目の学習期間においても書籍またはiPadアプリいずれかの教材のみを使用してもかまわないこととしたという。

 成績の変化をみると、1回目の「書籍のみで学習」の場合、学習期間の前後で平均正答数が58点(15pt)アップした。2回目の「書籍とiPadアプリで学習」の場合は、平均正答数が74点(18pt)アップしている。

 使用状況についてのアンケートでは、「書籍・iPadアプリをどのような場所で使いましたか」という質問では、「学校でのiPad利用」が70%で「学校での書籍利用」(43%)に比べて高くなっている。また、学校でのiPad利用方法については、「休み時間やちょっとした空き時間に四択問題を解いた」「iPadの周りにみんなで集まって問題を出し合った」という使い方が挙げられた。

 電車などの交通機関ではiPadアプリより書籍の利用率が高く、書籍は「持ち運びが楽」「コンパクト」などの意見が寄せられたという。また、iPadアプリに関しては「周りの乗客の目が気になりそうで、使いづらい」といった意見もあった。

 「書籍・iPadアプリのどの部分を使用しましたか」という質問では、iPadアプリの「音声」を利用したと回答した生徒が48%だった。生徒からは「英単語の発音が聞き流せる点が良かった」「正しい発音を聞きながら自分で発音することで、音で覚えた」という感想が挙げられている。一方、書籍には見出し語と語義の音声をダウンロードできるサービスが付いているが、利用した生徒はわずかだった。

 生徒へのインタビューでは、「他の勉強の息抜きにアプリを使った」など、自然に取り組んだ様子が伺えた。また、「間違えた単語や似た意味の単語が気になって辞書で調べた」など、iPadアプリの活用で、繰り返し復習する機会が増えたことにより、辞書を引く機会が増えた生徒も見られたという。

 今回の調査について、上智大学外国語学部教授の吉田研作先生は、「今回の実験は、電子媒体の学習効果を検証するものとして意味がある。その効果をどう測るか、また、その結果の信頼性や妥当性については今後の大きな課題だが、少なくとも今回の結果を見ると、iPadと書籍を一緒に利用した方が単語の習得に有意な効果があったことが分かる。書籍と電子媒体は、相容れない関係にあるのではなく、互いに補い合う関係にあるが、それぞれが本当にどのような学習に向いているかについて今後十分に検証していく必要がある」とコメントしている。
《前田 有香》

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