【高校受験2018】人気高まる早慶高…SAPIXに聞く早稲田の魅力と合格の秘訣

 験生や保護者に注目度の高い早稲田大学の系列高校3校について、SAPIX中学部 教育情報センター課長の伊藤俊平氏に「入試制度と2017年入試の概況」を、校舎運営部次長の藤本聡氏からは「各校の魅力や特徴と入試対策における考え方やアドバイス」を聞いた。

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SAPIX中学部の伊藤俊平氏と藤本聡氏
  • SAPIX中学部の伊藤俊平氏と藤本聡氏
  • SAPIX中学部 教育情報センター課長の伊藤俊平氏
  • SAPIX中学部 校舎運営部次長の藤本聡氏
 国内私立大学の双璧をなす早稲田と慶應義塾。それぞれの大学の系列(附属校・系属校・一貫教育校、以下「系列」または「附属」と表記する)の各高校は、大学受験に縛られずに、独自の教育理念やカリキュラムを展開し、近年さらに人気が高まっている。

 今回は、特に受験生や保護者に注目度の高い、早稲田大学の系列高校3校と慶應義塾大学の系列高校4校について、SAPIX(サピックス)中学部 教育情報センター課長の伊藤俊平氏に「入試制度と2017年入試の概況」を、校舎運営部次長の藤本聡氏からは「各校の魅力や特徴と入試対策における考え方やアドバイス」を聞いた。

<早稲田大学附属・系属高校>
早稲田大学高等学院(以下、早大学院)
早稲田大学本庄高等学院(以下、早大本庄学院)
早稲田実業学校高等部(以下、早実)

<慶應義塾大学附属高校>→「SAPIXに聞く慶應義塾附属高校の魅力と合格の秘訣」へ
慶應義塾高等学校(以下、慶應義塾)
慶應義塾志木高等学校(以下、慶應志木)
慶應義塾女子高等学校(以下、慶應女子)
慶應義塾湘南藤沢高等部(以下、SFC)

◆早稲田大学附属高校の入試制度と2017年度の概況

--まずは入試制度について教えてください。

伊藤氏:男子校の早大学院の入試制度としては、自己推薦で募集人員約100名、一般入試で260名となっています。自己推薦入試は、30分にわたる長い面接があります。慶應と異なる点として、書類選考がなく、すべての受験生に面接を実施していることがあげられます。人間性をしっかり把握することに注力しているといえるでしょう。また一般入試は、英数国の3科目+小論文となっています。

 共学の早大本庄学院については、国内枠と帰国枠があります。国内の自己推薦は、男子約45名・女子約30名の計75名の募集人員で、書類選考後に面接となっています。帰国枠の自己推薦は男女約20名、こちらは書類選考後、数学と国語の基礎学力試験および面接があります。なお、一般入試は、募集人員が国内枠の男子約100名・女子約70名の計170名、帰国枠は男子約15名・女子約10名の計25名です。一般入試は英数国の3科目+面接です。1次試験では、受験会場を本庄か早稲田大学(新宿区)のいずれかを選ぶことが可能です。また、2次の面接は本庄にて行うことになっています。

 同じく共学の早実は、推薦入試がスポーツ・文化分野で男女合わせて50名、指定校で男女合わせて10名(小金井市、国分市の中学校から1名ずつ)となっています。どちらも作文と面接が行われます。一般入試では、募集人員が男子80名・女子40名の計120名、女子は人数が少ないため狭き門となっています。帰国枠は定員120名のうち10名程度です。一般入試は、いずれも英数国の3教科となっていて、特徴としては英語の「リスニング」が実施されることです。

--2017年度の入試は、どのような傾向だったのでしょうか。

伊藤氏:早大学院については、青山学院が2月12日から2月11日に日程を変更し、入試日が重なることになりましたが、志願者などの動向に大きな変化はありませんでした。この日は、かねてより慶應志木の2次とも重なることもあり、おおむね早大学院への志願度の高い志望者が受験したといえるでしょう。また、ここ2年ほど補欠の繰り上げ合格は出ていません。その意味では合格者の定着率は高いといえます。

 早大本庄学院についても、大きな変更点はありませんが、人数的には男子は横ばいだったものの、女子は合格者を増やして倍率を落としました。ただし近年、人気が上がってきていることから、偏差値的に早稲田大学系列高校の中でも上位に位置してくるものと考えています。また、一般入試は1次と2次に日程が分かれていて間隔も空くことから、2次の前に他校に合格すると辞退するケースも出てきます。そのため、倍率は高く出る傾向にあります。

 早実については、本年(2017年)の慶應義塾の入試日程が早実と同じ2月10日に変更されたことの影響が大きく出たといえるでしょう。前年に比べて志願者数、受験者数、合格者数ともに減らしました。2月10日は、開成やMARCH系高校の日程とも重なっていますので、受験する前の段階で、受験生側が行きたい学校を選択して受験したということがいえると思います。早実の場合は、女子も例年、慶應女子と重なるため、隔年で志願者・受験者・合格者が増減します。

◆意外に異なる早稲田大学附属・系属高校それぞれの魅力

--早稲田大学附属・系属高校の魅力は何でしょうか。

藤本氏:やはり早稲田の校風としては、個性を尊重する点やリーダーシップが重視されている点だといえるでしょう。この点では、慶應と似ていると思います。SAPIXの卒業生の声を聞くと、将来の進路を強く意識した選択が見られる傾向もあるようです。たとえば、親族に慶應卒が多い家庭のお子さんが、早大本庄学院に進学したケースでは、早稲田で建築を学びたいという強い意志が生徒本人にありました。

--学校ごとの違いがあれば教えてください。

藤本氏:早大学院は練馬区上石神井にある男子校で、きわめて自由な校風でも知られています。また、SGH(スーパーグローバルハイスクール)の1つでもあります。

 たとえばですが、マニアックな傾向をもっているお子さんの場合は、早大学院が適している場合もあるかもしれません。早稲田は「人にどう見られるかをあまり気にしない」という傾向が慶應と比べてやや強い感じもありますね。尖った感性をもっている生徒でも、受け入れる土壌があると思います。

 ご両親としては、附属に行ったら遊んでしまうのではないか、という心配もあるとは思います。しかし、自由を尊重しながらも、しっかりとした指導をしているというのが実際だと思います。

 早大本庄学院は、自由な校風ながら男女共学校であることが特徴で、近年、人気が高まってきているといえます。男女ともに入居可能な寮を保有し、寮を新設し入居数を増やすため、今後人気が高まる可能性もあるでしょう。また、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に認定されているので、将来的に理系の進学や進路を希望している場合は、SSHだからという理由で早大本庄学院を志望する生徒も出てきています。

 早実は、所在地が以前の早稲田から国分寺に移転し、男女共学化し、小学校にあたる初等部もできました。早実は、指導が厳しいことでも知られています。そもそもの理念が「去華就実」(華やかなものを取り去って、実を重んじる)であり、他の早慶附属高校とは一線を画しているともいえるでしょう。指定校推薦や、スポーツ・文化の推薦などがあることから、ルールをしっかりと持ちながら、質実剛健な校風を維持してきた面があると思います。

 校風やカラーには、学校ごとの特徴があります。偏差値や進路といった要素だけではなく、自分の個性に合った学校はどこなのかを、よく見極めることも大切だと思います。

◆早稲田大学附属・系属高校への入試対策およびアドバイス

--ずばり合格の秘訣を教えてください。

藤本氏:どの学校も難関校となります。このレベルであれば、早い段階で個別の入試対策を繰り返すよりも、基本的な学力の向上、特に中学1・2年生うちに合格できるレベルの学力を獲得することが主眼になります。

 個別の受験対策は中学3年生の秋から本格化しますが、併願校も含めると過去問題は膨大な量になります。部活動や学校生活も一所懸命にやっている場合も多いため、可能な限り無駄な時間を取らない方法が必要です。SAPIX中学部では、過去問題の中でも問題種別などから、どの問題をどう学習するべきか、やるべき順番なども含めて指導をしています。こうしたことは、やはり自主学習だけでは対策が難しいかもしれません。

 そして、3科目に苦手科目を作らないことはもちろんですが、国語以外で、つまり英語か数学どちらかで得意科目を作るということが重要です。

 早大学院の場合は、合格した生徒の在塾中の成績をみると、得意科目は数学、国語、英語という順になっています。数学というのは、一問一問の点数が大きいですから、1つの問題に正答すると得点が跳ね上がる傾向があります。その意味で、数学が得意であることは、有利になると考えられます。ただし、前述したとおり、苦手科目がある場合は、やはり合格は難しくなるといえるでしょう。

 早実の場合は、数学の難度がかなり高いことが特徴です。早稲田・慶應の系列校すべての中で、もっとも難しいといえるでしょう。2017年に関してはやや難度が下がりましたが、いずれにしても数学の難度は高いものになると思います。

--最後に、早稲田大学高等学院OBに卒業生からみた学校の魅力を語ってもらった。

【早稲田大学高等学院OB】
部活:競走部
進学先:商学部

 「将来のグローバル人材の育成」を目標にし、授業では本来大学から学習し始める第二外国語の授業、毎年ある校外活動ではプレゼン練習やディベート活動などを行っているカリキュラムが特殊な高校です。

 本校は学院長が毎年入学式で仰るように「自由のある環境」が主な特徴だと思います。校則も特になく、あったとしても「登校後は敷地から離れないこと」や「半ズボン、下駄での登下校は禁止」という校則しかありません。

 1学年に12クラス(A~L組)存在し、各クラス40人前後です。入学前に学びたい第二外国語(フランス語、中国語、ロシア語、ドイツ語)を1つ選択し、それによってクラスが分けられます。そのため卒業するまでクラス替えがありません。

 附属高校ということで、9割の学生は卒業後に早稲田大学に進学します。残りの1割は留年、あるいは大学受験で他大学を目指す学生です(他大学を目指す場合、早稲田大学への推薦権を蹴る形になるため、かなりの覚悟が必要です)。大学進学では、成績がよい学生から志望する学部が確定されます。

 生徒を留年させないようにできる限りのことをしようとしてくれる面倒見のよいタイプから、生徒の意思を尊重して見守ってくださるタイプまで、さまざまな先生がいます。テストに関しても形式がそれぞれ異なるので、テスト前は過去問探しが恒例行事になっています。

 学生に関しては全員個性的です。クラス内では自分と趣味が合う人と仲良くでき、また新しく何かを始めるきっかけができることもたくさんあります。

 毎年秋に全国トップレベルとされている文化祭「学院祭」が開催されます。クラスごとに出し物を企画し、当日はどれだけお客さんを自分達の教室に呼び寄せられるかの競争が行われます。

 部活に関しては、かつてはアメリカンフットボール部が全国1位レベルの強さでしたが、現在は特にボート部、軟式野球部が毎年優秀な成績を残しています。

 全体的にはとても自由で楽しく、3年間があっという間に感じるような高校です。大学受験がないため受験勉強に縛られずに、さまざまな活動に努められる環境でもあるため、時間の過ごし方によっては人としてかなり成長できる場です。勉強、遊びのバランスを大きく崩さなければ落ちこぼれることもないので、とても充実した高校生活がおくれる場所だと思います。

--ありがとうございました。

 難関高校に毎年多数の合格者を輩出しているSAPIX中学部では、「成長を実感する『夏』」をテーマに7月27日より夏期講習を開講する。対象は小学6年生と中学生で、小学6年生は「英語」「算数・国語」「理科・社会」、中学生は「5科目」「3科目」から選択できる。

 また、6月25日には中学3年生とその保護者を対象に「SAPIXフォーラム2017 大学生に聞く高校選び 早慶高(男女別)」を開催する。

【SAPIXフォーラム2017 大学生に聞く高校選び 早慶高(男女別)】
日時:2017年6月25日(日)
 男子:慶應義塾×慶應志木×早大学院×早実×早大本庄学院10:30~12:00(開場10:00)
 女子:慶應女子×早実×早大本庄学院13:15~14:45(開場12:45)
場所:代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワー
申込:6月23日15時までにWebサイトから申し込む

■難関高校を目指す小・中学生のための情報誌「SQUARE特別増刊号 早慶読本」
・特集記事「校長先生/学院長先生に聞く」
・早慶高の出題傾向分析と学習方法
・SAPIX卒業生による学園通信
 請求は、SAPIX中学部ホームページ、またはSAPIX中学部校舎にて。

YouTube SAPIX中学部公式チャンネルにて公開
 動画で要点を解説「<早慶高>英語/数学の傾向と対策」

提供元:SAPIX中学部
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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