中学運動部、顧問教員の半数が「校務との両立に限界」

 校務が多忙で部活動との両立に限界を感じている中高運動部の主担当顧問教員が半数にのぼることが平成29年11月20日、スポーツ庁が公表した実態調査の結果から明らかになった。自身のワークライフバランスや指導力不足に悩む教員も少なくなかった。

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運動部主担当顧問教員による部活動の悩み
  • 運動部主担当顧問教員による部活動の悩み
  • 部活動顧問教員の配置方針 
  • 運動部主担当顧問教員の学期中平日1日あたりの指導時間
  • 運動部生徒の保護者による部活動の悩み
  • 運動部生徒による部活動や学校生活の悩み
  • 運動部生徒の保護者が部活動に期待すること
  • 運動部主担当顧問教員による部活動の在り方の考え
 校務が多忙で部活動との両立に限界を感じている中高運動部の主担当顧問教員が半数にのぼることが平成29年11月20日、スポーツ庁が公表した実態調査の結果から明らかになった。自身のワークライフバランスや指導力不足に悩む教員も少なくなかった。

 平成29年度「運動部活動等に関する実態調査」は平成29年7月3日~20日、全国の公私立中学校・高校を対象に実施。11月17日開催の第4回「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」において、議題として集計状況が提出された。

教員が運動部顧問、悩みは校務との両立



 教員が運動部顧問を担当している割合は、公立中学校と公立高校で約7割、私立中学校で6割弱、私立高校で5割弱。部活動顧問教員の配置方針について、「全教員が顧問にあたることを原則とし、複数名の顧問を配置」または「全教員が顧問にあたり、人数は部員数などに応じて配置」と回答した割合は、公立中学校91.1%、公立高校97.1%にのぼった。

 中学校の運動部主担当顧問教員による学期中の平日1日あたりの指導時間は、「1~2時間程度」が公立3割強、私立4割強、「2~3時間程度」が公立約4割、私立3割弱。「3時間以上」との回答も2割ほどあった。

 運動部の主担当顧問教員に部活動の悩みを複数回答でたずねた結果では、「校務が忙しくて思うように指導できない」がもっとも多く、公立中学校54.7%、私立中学校59.7%、公立高校54.0%、私立高校47.3%と、いずれも半数が該当すると回答した。「校務と部活動の両立に限界を感じる」との回答は、公立中学校47.9%、私立中学校45.6%、公立高校43.6%、私立高校38.7%が当てはまるとしている。「自身の心身の疲労・休息不足」「自身のワークライフバランス」「自身の指導力不足」と回答した教員も多く、いずれも4~5割程度あった。

 運動部の主担当顧問教員が、主担当運動部の競技種目にかかわる指導者資格を「持っていない・資格制度がない」と答えた割合は約8割。指導力向上のための研修会や講習会への参加実績では、「競技種目の技術の指導法」「審判」はいずれも3~4割程度あったが、「参加したいが休みがとれない」との回答も2割ほどあった

 運動部の主担当顧問教員が考える部活動の在り方では、「生徒のニーズに合わせた多様な部活動があるべき」との回答が3~5割ともっとも多かったほか、「地域でも担える部活動は、将来的に地域でも担うようにするべき」との回答も2~3割あった。

保護者の心配は学業との両立、活動時間は問わず



 一方、運動部生徒の保護者による部活動の悩みでは、「学業との両立」が3~4割ともっとも多く、ついで「特段の課題や悩みはない」が3割弱。「部活動の時間・日数が長い」は1割強にとどまった。運動部の生徒でも「部活動の時間・日数が長い」との回答は2割だった。

 部活動に期待することでは、運動部生徒の保護者は「チームワーク・協調性・共感を味わう」が7割以上、「社会性(あいさつ・礼儀など)を身に付ける」が5~6割、「体力・技術の向上」が4~5割であった。

 運動部顧問教員が実技指導を十分に行えない場合の対処方針では、7割の保護者が「教員とは別に実技指導者を配置する」と回答。持続可能な部活動に向けた在り方として、3~4割の保護者が「多少のお金がかかっても実技指導者を配置する」と答えた。
《奥山直美》

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