【大学受験2022】共通テストの重要性、理工系堅調、法学の人気復活&薬学人気高まる…東進

 2022年度入試の全体の傾向やコロナ禍の入試での傾向などについて、東進ハイスクールを運営するナガセ 広報部長の市村秀二氏に聞いた。

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【大学受験2022】共通テストの重要性、理工系堅調、法学の人気復活&薬学人気高まる…東進
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  • 東進ハイスクールを運営するナガセ 広報部長の市村秀二氏
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 大学入学共通テスト実施2年目、そしてコロナ禍での実施も2年目となる2022年度の大学入試。今年度の受験者の動向が気になるところではないだろうか。そこで昨年度の入試を振り返りつつ、2022年度入試の全体の傾向やコロナ禍の入試での特異的な傾向などについて、東進ハイスクールを運営するナガセ 広報部長の市村秀二氏に聞いた。

「理高文低」の傾向は今年も



--2022年度の大学入試に向け、模試などの情報からもすでにいろいろな傾向が見えてきていることと思います。まずは文系理系の人気傾向、人気学部についてお聞かせください。

 全体的なところからみていきますと、「理高文低」の傾向は続いています。理系では理工系の人気が堅調です。中でも通信・情報系、数理情報・情報工学系の人気が高まっています。その要因としては、理系人材を求める企業が多く、就職に有利ということがあげられます。

 さらに医療系の人気も堅調です。特に創薬系の学科をもつ薬学部の人気が高いのが特徴です。昨今の新型コロナウイルス感染症におけるワクチンや治療薬に関する注目度から、関心が高まったことが要因として考えられます。医学は堅調な半面、看護系はやや減少傾向です。

 その他では、農学系が獣医系を中心に増加傾向にあります。また、理系のみならず文理融合型であるデータサイエンス系の人気も依然として高く、滋賀大、横浜市立大、武蔵野大なども人気が続いています。

 文系では、「法」の人気が復活してきています。特に旧帝大や早稲田大、慶應大、明治大、中央大などの難関大でプラスの動きが見られます。コロナ禍で経済不安が生じる中で、文系学部でも資格取得や就職に有利ということで見直されてきているのではないでしょうか。一方で、外国語・国際関係の学部は、人気が低調です。コロナ禍で留学などが自由にできないことが要因の1つですが、逆にねらい目の学部とも言えるでしょう。

 一方で浪人生の動向に目を転じてみると、昨年は入試改革元年ということもあり、一昨年に安全志向から浪人を敬遠した受験生が増えたため、昨年の既卒生の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)受験者は2割近く激減しました。今年もさらに既卒生の共通テストの出願者数は減っており(前年比94.8%、4,222名減)、3年前の実に74.1%、約2万7,000人も急減しました。この減少傾向は今後も続くと思われます。

東進ハイスクールを運営するナガセ 広報部長の市村秀二氏

注目の大学は…



--人気を集めている大学についてお聞かせください。

 いわゆる難関大学では、国立・私立ともに志願者を増やしています。国立大学は最終的には共通テストの結果次第で志望校の変動が考えられますが、旧七帝大や東工大・一橋大・神戸大で概ね増加傾向にあります。

 私立大学では早慶上理、明青立法中、関関同立でも、概ね志願者数を増やしています。昨年は入試改革で志願者数を減らした早稲田大や青山学院大でも人気が回復してきています。

--大学再編、学部新設などで注目されている点がありましたら教えてください。

 まずは大阪公立大です。大阪市立大と大阪府立大を母体にした、新しい公立大学の誕生となります。全国最大規模の公立大学が誕生するとして注目され、近畿地区の入試における大きな変動要因となっています。

 また、奈良女子大では、女子大では初となる工学部が新設されます。後期試験を除き「数学III」不要で受験できることから、チャンスの幅が広がっています。

 人気の情報系の新設学部でいうと、情報系学部は今後も人気が続く分野であり、近畿大・情報学部、名城大・情報工学部、岡山理科大・情報理工学部など、各大学で新設が相次いでいます。

 この他、青山学院大では法学部にヒューマンライツ学科の新設、神奈川大では建築学部の新設などが実施され、こちらも注目です。

気になるコロナの影響
「リスクヘッジとしての共通テスト」とは



--昨年度はコロナ禍での初の入試となったこともあり、地元志向が強まったそうですが今年度はいかがでしょうか。その他にも、コロナ禍による受験動向の変化というのは感じていらっしゃいますか。

 受験時の新型コロナウイルスの感染状況が志望動向に大きく影響を与えることは間違いありません。最終的には今後の新型コロナウイルス感染症の状況次第と言えるのでしょうが、昨年の強い地元志向は少し緩和されてきているという予測です。

 今のところ、昨年に比べてコロナの状況が比較的落ち着いていることもあり、地元志向や安全志向が緩和され、首都圏・関西圏の難関大を目指す生徒も増えてきており、国公立大・私立大ともに難関大志向の傾向が見られます。特に私大専願者は、よりチャレンジ志向となっています。

 ただし受験生はコロナがまん延した状況も含め、対策を考えておくことが大切です。昨年同様、多くの大学がコロナ罹患者への対応として、共通テストの成績および出願書類等による再選抜という方法をあげており、コロナ禍へのリスクヘッジとして共通テストの重要性が増すことが考えられます。

--リスクヘッジとしても共通テストが重要であるとのことですが、2年目となる「共通テスト」はどのようになると予想していますか。試験内容・難易度に関する点、私大の共通テスト利用入試と志願者の傾向などについてお聞かせください。

 今まで「共通一次」や「センター試験」と大きな入試改革があった際、2年目は難化していました。これを鑑みると今回も平均点が下がる可能性はあるでしょう。そのため、素点の得点だけで一喜一憂せず、予備校の分析などで全体における自分の位置を正しく把握することが大切です。

 なお、上智大が昨年度初めて「共通テスト」を導入したところ多くの受験生を獲得したように、私立大の共通テスト利用入試の人気は高い傾向にあります。前述したとおり、今年は共通テスト2年目ということもあって難化の可能性はありますが、予想に反して平均点が高かった昨年度の結果を踏まえて志願者増が見込まれています。

 上智大に限らず、特に難関私立大は倍率が高く難度が高いことに留意する必要があります。あらかじめ個別試験との併用などを想定しておき、共通テスト利用入試を上手に活用することが大切です。


--最後に受験生へのアドバイスをお願いします。

 まず、昨年に続きコロナ禍で不安な入試を迎えることになると思います。しかし、状況は受験生皆同じです。注意が必要なオミクロン株の存在などもありますので、受験期にコロナがまん延した場合も考えて、入試方式の確認や併願パターンも考えておきましょう

 国公立受験者においては、共通テストの平均点が下がっても、先述のとおり全体の傾向ととらえ、安易に妥協せず、第一志望を貫いて受験してほしいです。

 私大受験者においては、志願者の増加傾向から倍率が高くなるかもしれません。ただ、一時の人気に惑わされず、将来自分が何をしたいかをよく考えて受験する大学や学部を決定してほしいと思います。

--ありがとうございました。

豊富な情報・サービスをフル活用



 今年も東進では毎年多くの受験生が活用している「共通テスト解答速報」を実施。共通テストの試験終了後から、全体概観・設問別分析・問題・解答・解説を速報していく。新高3生・新高2生向けの学習アドバイスも展開予定だ。

 また、受験生には無料で利用できる、「合否判定システム」を提供。共通テストの得点をもとに、国公立大学二次試験の配点に準拠し、「共通テスト+二次試験」の合計点を想定した総合判定を提示してくれる。私大一般選抜の判定もできるほか、過去問の閲覧やカレンダーで入試日程を一覧にできるなど、必要な情報をまとめて確認できる。

 このほか、共通テスト後の学習応援として、得点入力を行った人に向けて「国公立二次・私大 英語ワンポイント解説授業」「全国主要大学 ここがよく出る分野一覧表」「W合格者進学先一覧表」の特典が進呈される。全国185大学、最大27年分の過去問を無料で閲覧できる「大学入試過去問データベース」もあるため、志望校対策はもちろん、共通テスト後の出願校決定の際など、ぜひフル活用してほしい。

共通テスト解答速報 合否判定システム
《編集部》

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