【大学入学共通テスト2022】過去最低の平均点、過去最多の追・再試験…河合塾が概況分析

 河合塾は2022年2月9日、大学入試情報サイト「Kei-Net」に「2022年度大学入学共通テスト概況分析」を公開した。2022年度(令和4年度)大学入学共通テストは、多くの科目で平均点が過去最低となった他、追・再試験受験者数が過去最多となる等、波乱に満ちた内容となった。

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センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • センター試験・共通テスト 志願者数・受験者数推移 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テスト 受験科目数別の受験者数 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テスト 主要科目平均点 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テストリサーチ「数学」受験者の得点分布 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • センター試験・共通テスト 7科目型平均点の変化 (c) Kawaijuku Educational Institution.
  • 共通テストリサーチ 受験者の得点分布 (c) Kawaijuku Educational Institution.
 河合塾は2022年2月9日、大学入試情報サイト「Kei-Net」に「2022年度大学入学共通テスト概況分析」を公開した。2022年度(令和4年度)大学入学共通テストは、多くの科目で平均点が過去最低となった他、追・再試験受験者数が過去最多となる等、波乱に満ちた内容となった。

 「2022年度大学入学共通テスト概況分析」は、2年目を迎えた大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の受験者数や科目別平均点等についてまとめたもの。試験日直前にオミクロン株による感染が急拡大し大きく影響を受ける中での実施となった他、本試験2日目には全国の広範囲に発令された津波注意報により一部会場で試験が中止となり、数学をはじめ多くの科目で平均点が大きくダウンする等、「波乱に満ちた試験」となった共通テストの概況を振り返っている。

 共通テストの志願者数は、前年度(2021年度)比99.1%の53万367人。受験者数は前年度比100.9%の48万8,384人。志願者数・受験者数ともに前年並みだが、志願者が減少し受験者が増加したことで受験率は92.1%と前年より上昇した。受験科目数別では、おもに国公立大志望者が受験する7科目以上と4~6科目の受験者数は前年並み。私立大学志望者が中心となる3科目以下の受験者は前年比103.1%と増加したものの、一昨年(2020年度)との比較では88%と1割以上減少しており、長期的視点に立てば私立大志願者の共通テスト離れが継続しているという。

 新型コロナの感染者・濃厚接触者等を含めた体調不良者の他、津波注意報の影響で受験できなかった受験生も対象となり、追試験の受験許可者数は1,660人に。本試験の2週間後に行われ追・再試験は1,536人が受験した。追・再試験の受験者数は前身の大学入試センター試験を通じて過去最多となった。

 主要科目の平均点をみると半数以上で前年より平均点がダウンし、「数学I・数学A」「化学」「生物」「日本史B」等7科目がセンター試験時を通じて過去最低点となった。中でも「数学I・数学A」は約20点、「数学II・数学B」は約17点と大きくダウン。理系志望であっても多くの受験生が得点できなかったようすがみられ、文部科学省も難易度に見解を示す等、注目を集める事態となった。今回は得点調整は行われていない。

 河合塾が推定する共通テスト7科目型の平均点(900点満点)は、文系型が507点(前年差-48点)、理系型が510点(前年差-61点)と、いずれも前年から大きくダウン。特に、数学、化学の大幅な平均点ダウンにより、理系型のダウン幅が大きくなった。7科目型の得点分布をみると、文系型、理系型共に高得点層が大きく減少。難関大への出願目安となる得点率8割以上の受験生は、文系型で前年比34%、理系型で同38%と共に前年の半数以下となり、多くの大学で予想ボーダーラインが大幅に下がっている。

 出題の特徴については、全体的に授業での学習プロセスや日常生活の場面を題材にした問題や、複数の資料・図等から情報を読み取って考察する力を重視する問題が目立ち、問題文の読解にかかる時間がセンター試験よりも長くなる傾向が顕著にみられた。注目されていた国語の近代以降の文章(現代文)では今回も「実用的文章」は出題されなかった。共通テスト移行後は、解答形式にも新しい形式がみられ、より偶然の正解がしにくい解答形式が用いられているという。

 概況分析の全文は、Kei-Netから見ることができる。
《畑山望》

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