過去10年で最多「プール熱」流行、福岡・大阪は警報レベル

 国立感染症研究所は2023年9月26日、感染症発生動向調査週報の第37週速報データを公表した。「咽頭結膜熱」いわゆるプール熱の患者数が過去10年で最多と急増しており、福岡県と大阪府では警報レベルを超えている。

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咽頭結膜熱 過去10年間との比較グラフ(週報)
  • 咽頭結膜熱 過去10年間との比較グラフ(週報)
  • 大阪府における咽頭結膜熱の流行状況
  • 国立感染症研究所

 国立感染症研究所は2023年9月26日、感染症発生動向調査週報(IDWR)の第37週(9月11日~17日)速報データを公表した。夏に子供の間で感染が広がる「咽頭結膜熱」いわゆるプール熱の患者数が過去10年で最多と急増しており、福岡県と大阪府では警報レベルを超えている。

 咽頭結膜熱は、38度を超える発熱とのどの痛み、結膜炎や目の痛みなどの症状を主とした、アデノウイルスによる小児の急性ウイルス性感染症。通常夏期に流行し、6月ごろから徐々に増加、7~8月にピークを迎える。プールを介して子供たちの間で流行するケースが多いため、別名「プール熱」と呼ばれる。

 国立感染症研究所のIDWR速報データによると、全国約3,000の小児科定点医療機関が報告した第37週の咽頭結膜熱の報告数は、全国で4,539人(定点あたり1.45人)。5週連続で増加しており、例年終息に向かう9月に入ってから終息基準値の1.0人/週を超えるなど、過去10年で類をみない流行傾向となっている。

 第37週の定点あたり報告数を都道府県別にみると、「福岡県」4.65人と「大阪府」4.09人は警報レベルを超え大きな流行状況にある。ついで、「京都府」2.95人、「奈良県」2.88人、「沖縄県」2.61人、「愛媛県」2.27人、「兵庫県」2.19人、「佐賀県」2.17人、「大分県」2.17人、「茨城県」2.16人といった府県で患者数が多い状況にある。

 アデノウイルスは、コロナウイルス対策で一般的となったアルコール消毒が効きにくく、流水と石けんによる手洗いやうがい、感染者とタオルを使いわけるなどの基本的な対策が有効となる。おもちゃや器具に対しては煮沸、次亜塩素酸ソーダを用いた消毒が効果的。ウイルスの潜伏期間は5~7日で、咽頭結膜熱と診断された場合は学校保健法により登校・登園は出席停止に。原則として熱やのどの痛み、結膜炎などの主要な症状がなくなってから2日間が過ぎたら出席可能となる。

 残暑も厳しく、例年以上に寒暖差を感じることも多い中、2023年はインフルエンザや新型コロナウイルスなど、子供たちの間で感染症の同時感染が多くみられる。今後も各種感染症の流行状況に注意したい。

《畑山望》

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