「こども未来戦略」閣議決定…児童手当を拡充、多子世帯の大学無償化

 政府は2023年12月22日、「こども未来戦略」を閣議決定した。2024年度からの3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」に3.6兆円を充て、児童手当の拡充、多子世帯の高等教育費の負担軽減、「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設などを打ち出している。

教育業界ニュース その他
こども未来戦略
  • こども未来戦略
  • こども未来戦略
  • 児童手当の抜本的拡充
  • 多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化
  • 「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設
  • 加速化プランの財源の基本骨格(イメージ)

 政府は2023年12月22日、「こども未来戦略」を閣議決定した。2024年度からの3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」に3.6兆円を充て、児童手当の拡充、多子世帯の高等教育費の負担軽減、「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設などを打ち出している。

 「こども未来戦略」では、2024年度から2026年度までの3年間を集中的な取組期間と位置付ける「加速化プラン」に3.6兆円を充てる。内訳は、「子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組」1.7兆円、「すべての子供・子育て世帯を対象とする支援の拡充」1.3兆円、「共働き・共育ての推進」0.6兆円。

 具体的な施策は、「児童手当の抜本的拡充」「出産等の経済的負担の軽減」「高等教育費の負担軽減」「年収の壁への対応」「子育て世帯に対する住宅支援の強化」「こども誰でも通園制度(仮称)の創設」「男性育休の取得促進」など。

 児童手当は、2024年10月分以降、支給対象を高校生年代(18歳到達後の最初の年度末)までに拡充。所得制限を撤廃し、第3子以降の手当月額を3万円に増額する。多子加算のカウント方法は、現在の高校生年代までの扱いを見直し。大学生に限らず、22歳年度末までの上の子について、親などに経済的負担がある場合をカウント対象とする。

 多子世帯(扶養する子供が3人以上の世帯)の大学・短大・高専(4-5年生)・専門学校の授業料・入学金は、2025年度から所得制限を設けず無償とする措置を講じる。支援の上限は、現行制度と同様、大学の場合で授業料が国公立約54万円、私立約70万円、入学金が国公立約28万円、私立約26万円。対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図ることを含め、早急に具体化する。

 授業料等減免および給付型奨学金については、2024年度から多子世帯や理工農系学生などの中間層(世帯年収約600万円)に拡大する。

 こども誰でも通園制度(仮称)は、就労要件を問わず、時間単位などで柔軟に利用できる新たな通園給付制度。利用対象者は、満3歳未満で保育所などに通っていない子供とし、月一定時間まで利用可能枠内で利用が可能。2025年度に法律上制度化し、実施自治体数を拡充したうえで、2026年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体で実施できるよう、所要の法案を次期通常国会に提出する。

 加速化プランを支える安定な財源の確保については、社会保障の公費節減で1.1兆円、社会保険制度を通じて拠出する支援金制度の創設で1.0兆円、既定予算の最大限の活用などで1.5兆円とし、実質的な負担が生じないようにするとしている。

《奥山直美》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top