世田谷区、生活保護世帯の大学生に給付型奨学金

 世田谷区は2024年2月8日、生活保護世帯出身の大学生らに対する給付型奨学金を創設すると発表した。国の制度の狭間にあり、大学進学率が著しく低い生活保護世帯出身の学生に上限50万円の学費と教材費・通学交通費の実費を給付するとしている。

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生活保護世帯出身の大学生等に対する給付型奨学金
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 世田谷区は2024年2月8日、生活保護世帯出身の大学生らに対する給付型奨学金を創設すると発表した。国の制度の狭間にあり、大学進学率が著しく低い生活保護世帯出身の学生に上限50万円の学費と教材費・通学交通費の実費を給付するとしている。

 生活保護世帯の子供が大学などに進学した場合、子供は世帯分離して生活保護の適用から外れ、世帯の生活保護費が減額される実状にあり、これが生活保護世帯の子供の大学等進学率が著しく低い原因の1つとされている。世田谷区の試算によると、世帯分離により、ひとり親家庭で約4万8,000円の減額になるという。

 そこで世田谷区では、国の制度の狭間にある生活保護世帯出身の若者の高等教育進学支援と中退防止を目的に給付型奨学金を新設する。2024年度当初予算案に3,180万円を計上した。

 対象となるのは、区内の生活保護世帯出身で、国の「高等教育の修学支援新制度」の対象となっている大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、専門学校の進学者。学費として上限50万円、教材費・通学交通費の実費を給付し、中途退学した場合も返還不要とする。

 給付額は、授業料や学校納付金、通学費・修学費のうち、国の「高等教育の修学支援新制度」の授業料減免や給付型奨学金の充当分を除き、アルバイトや貸与型奨学金から捻出する平均額49万4,800円に相当するという。

 成績要件はなし。世田谷区によると、成績要件を設けず、生活保護世帯の学生を包括的に支援する奨学金は、全国的にも珍しいという。2024年度予算案では、対象者として在学生を含め60人を想定している。

 2月8日に会見した保坂展人区長は「現在、大学・専門学校に進学するとかなりのペナルティーを親世帯が受けたり、国の奨学金等あるにしてもブレーキがかかっている状況を改善したい」と語った。

《奥山直美》

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