色覚異常と診断された人の半数「気づかなかった」、就職や進学で深刻なトラブルも

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日本眼科医会
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 先天的な色覚異常と診断された人の半数が、自覚がないまま中高生となり、進学や就職に際して色覚にかかわる深刻なトラブルや困難に直面するケースも少なくないことが、日本眼科医会による実態調査から明らかになった。

 調査は平成22年度と平成23年度、同会が全国657の眼科医療機関を通して実施。先天色覚異常と診断された症例941件の調査報告を集計した。

 調査結果によると、先天色覚異常と診断された本人や保護者の50.2%が「色覚異常に気づいていなかった」と回答。その割合は小学校が62.6%ともっとも高かった。

 学校での色覚検査は、平成14年度まで小学4年時に義務付けられていたが、差別などを理由に定期健診の必須検査ではなくなり、平成15年度以降はほとんどの学校で実施されなくなった。それでも、一部の地域や学校で実施している希望者に対する任意の色覚検査の結果から受診するケースは多く、受診理由でも「学校健診」が最多の45.2%を占めている。

 受診者の年齢では、小学4年生に該当する「9歳」(16.5%)と「10歳」(13・7%)が多く、全体の3割を占めていた。このほか、高校3年と大学4年に重なる年齢層でも受診者が増加傾向にあり、進学や就職に関連した受診とみられるという。

 社会人の場合、受診理由は「仕事上のこと」が51.9%と過半数を超えている。正常な色覚が強く求められる鉄道運転士をはじめ、微妙な色識別が必要となる農産物の選別、魚の鮮度判別、広告・パンフレット関係、仏像の修復、服飾関係、調理師、染み抜き作業などの職種で困難を訴える事例があったという。

 また、進学に関しても「工業高校へ入学後に始めて異常を知り困惑した」「美容専門学校を希望しているがヘアカラーが区別できない」など、色覚異常から将来に不安を抱く報告例が多く寄せられたという。

 先天色覚異常は、男子が20人に1人、女子が500人に1人とされている。学校検査の廃止により、自らの色覚異常に気づかないまま成長し、就職や転職、職場内の配属などに伴いトラブルに直面する人が今後も増加することが懸念されることから、同会では早期検査の必要性などを国や関係機関に働きかけていきたいとしている。
《奥山直美》

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