小5作品「僕のドラえもん」グランプリ受賞、第2回小中学生プログラミングコンテストに密着

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第2回小中学生プログラミングコンテスト
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/グランプリ・総務大臣賞「僕のドラえもん」(蓼沼諒也さん、小5)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/グランプリ・総務大臣賞「僕のドラえもん」(蓼沼諒也さん、小5)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/準グランプリ「キラキラミュージックBOX」(平野正太郎さん、小6)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/準グランプリ「narratica(ナラティカ)」(菅野楓さん、中2)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 小学校低学年部門「あなたのバーチャルアシスタント・ロボット”NOYBO”」(森谷頼安さん、小3)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 小学校高学年部門「回一首(まわりっしゅ)」(菅野晄さん、小5)
  • 第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 中学校部門「ツンデレ貯金箱」(三重っ張りチルドレン、中1・小5)
 東京都千代田区の「神楽座」で2017年11月26日、「第2回 全国小中学生プログラミング大会」の表彰式が行われた。第2回となった同大会の募集テーマは「こんなのあったらいいな」。2016年の第1回大会を上回る167作品の応募から、10の入賞作品が選ばれた。

全国小中学生プログラミング大会とは?



 全国小中学生プログラミング大会」は、アスキー総合研究所、UEI、CANVASら三者によって組織される「全国小中学生プログラミング大会実行委員会」が主催し、文部科学省、総務省、経済産業省が後援する、全国的なプログラミングコンテスト。募集テーマに沿って児童生徒らが作品を創造し、プログラミングで自分の考えを表現することを競う大会だ。同委員会はプログラミングを「表現する力」を身に付けるために学ぶものと位置づけており、大会では「発想力」「表現力」「技術力」の3つの審査基準から作品を評価する。

 第2回にあたる2017年の開催では、2016年の第1回の総応募作品数約130点を上回る、167作品の応募があったという。2020年からのプログラミング教育必修化を前に、プログラミングへの関心が高まっていることが数字に現れたと言ってよいだろう。今回の本大会に先駆け、6月24日に浜離宮朝日ホールで行われたプレイベントでは教育関係者の姿が多かったが、今回はさらに、小中学生やその保護者など、プログラミングは数多くの人々からの注目を集めていると実感した。

 第2回大会ではまず、第一次審査を通過した30作品を、事前に河口洋一郎大会審査委員長(CGアーティスト、東京大学大学院情報学環教授)と金本茂氏(スイッチサイエンス代表取締役)、林千晶氏(ロフトワーク代表取締役)、増井雄一郎氏(トレタCTO)、松林弘治氏(エンジニア/著述家、Project Vine副代表)ら大会審査員4名が審査し、最終選考に進む10作品を選定。大会当日は10作品の作者である小中学生が集い、グランプリや優秀賞などを決定する最終審査会に臨んだ。入選者による作品紹介のほか、会場内には各ブースが設けられ、子どもたちは来場者や審査員に向けて作品をアピール。作品展示ののち、会場では最終審査結果の発表と表彰式を実施した。

167作品から厳選、第2回大会の入選10作品を紹介



 表彰式ではまず、全国小中学生プログラミング大会実行委員長の稲見昌彦氏(東京大学 先端科学技術研究センター教授)が登壇。今回の募集テーマである「こんなのあったらいいな」について、「私が研究してきたモチベーションは常にそれでした」とコメントした。「小学生のころに一番好きだったマンガは『ドラえもん』で、ドラえもんの道具を自分もつくれるようになりたい、そんな思いでいろいろな技術やプログラミングの勉強を始めました」と、プログラミングに対するエピソードを披露した。

 稲見氏によると、プログラミングとはコンピュータでゲームをつくるということだけでなく、世の中の仕組みや人の行動にとって利益をもたらすうえでも大切なもの。「こういったコンテストをとおして、私たちが進むべき未来…単一なものでなく、いろいろな可能性のある未来を変えてほしい、そう思っています」と述べ、子どもたちの未来に期待を寄せた。

 白熱の最終審査を経て決定した賞を含め、ここでは本人による作品紹介と審査員による講評をお届けしよう。

グランプリ/総務大臣賞「僕のドラえもん」


(蓼沼諒也さん、小学5年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/グランプリ・総務大臣賞「僕のドラえもん」(蓼沼諒也さん、小5)
写真:「僕のドラえもん」(蓼沼諒也さん)

本人作品紹介:ドラえもんが大好きなので、自分でドラえもんをつくりたいと思っていたのですが、もっと簡単な仕組みで人工知能がつくれたら、自分でも人工知能がつくれると思い、Viscuit(ビスケット)でつくりました。
審査員コメント:今回、審査員でかなり意見を交わした。粘菌の増殖のプログラムを彼が持ち出して、粘菌の最短経路のアルゴリズムを使ったということは、日本で数年後に始まるプログラミング教育における指針になる。プログラミングということに関して、若いけどすごくいい目のつけどころがいい。若い学生の研究テーマとしても、非常に良い例だと思う。ぜひ今後も、自然界のアルゴリズムを追究してほしいですね。(河口洋一郎氏)

準グランプリ「キラキラミュージックBOX」


(平野正太郎さん、小学6年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/準グランプリ「キラキラミュージックBOX」(平野正太郎さん、小6)
写真:「キラキラミュージックBOX」(平野正太郎さん)

本人作品紹介:画面に落ちてくる光に合わせてタイミングよくボタンを押すと、音が鳴って、全部クリアすると曲が完成します。光に合わせ、タイミングよくボタンを押すと正しい曲になり、間違えると3つあるライフが減ります。
審査員コメント:自分が「こういうのがあったら」「こういうのがほしいな」と思ったところから実際に形にして、それがちゃんと遊べるものになっていて、その完成度がすごいと審査中も評判でした。(金本茂氏)

準グランプリ「narratica(ナラティカ)」


(菅野楓さん、中学2年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/準グランプリ「narratica(ナラティカ)」(菅野楓さん、中2)
写真:「narratica(ナラティカ)」(菅野楓さん)

本人作品紹介:自然言語処理によって、シナリオを解析して登場人物の感情の推移をグラフ化して、それによっておもしろいストーリーとはどういうものなのかという、おもしろさの構造に迫るプロジェクトです。シナリオのテキストデータを「narratica」に送ると、形態素解析という、文章を一番小さな品詞に分割し、その品詞から名詞や動詞、形容詞だけ取り出して、それにどのくらいの感情があるか、計算してグラフ化します。
審査員コメント:多くのプログラミング作品が、もともとプログラミングを知っていて、それをどう生かそうかなと思って生まれた作品が多そうななかで、彼女の作品だけ、順番が違っている気がして。解決するためのプログラミングじゃなくて、問いをつくるようなプログラミングの思考を、彼女から強く感じました。(林千晶氏)

優秀賞 中学校部門「ツンデレ貯金箱」


(三重っ張りチルドレン、中学1年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 中学校部門「ツンデレ貯金箱」(三重っ張りチルドレン、中1・小5)
写真:「ツンデレ貯金箱」(三重っ張りチルドレン)

本人作品紹介:貯金が難しい人の貯金を楽にするもの。硬貨の大きさに合わせた穴があって、ここに落ちたら何円だなと判断する仕組みになっています。ピクトが顔になっていて、長い時間、お金を入れないと怒って、定期的に入れ続けると喜ぶ、みたいな感じ。確実に貯金させるため、貯金箱が怒ればいいんじゃないかと思い、ちゃんと貯めると褒めてくれます。
審査員コメント:2人(三重っ張りチルドレンはコンビ出場)の掛け合いがおもしろかった。それからびっくりしたのですが、実際に地理的に離れているなか、Messengerみたいなもの(コミュニケーションツール)で協力し合い、リモートワークとかバーチャルオフィス的なことをやっているんですよね。(松林弘治氏)

優秀賞 小学校高学年部門「回一首(まわりっしゅ)」


(菅野晄さん、小学5年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 小学校高学年部門「回一首(まわりっしゅ)」(菅野晄さん、小5)
写真:「回一首(まわりっしゅ)」(菅野晄さん)

本人作品紹介:百人一首をゲームにしたもので、ゲームが始まると百人一首の歌の文字が回転しながら上がってくるので、画面をスワイプさせて文字をよけて、赤い四角がたくさんあるところの上のバーに当たって、ゲームオーバーにならないようにするアプリです。
審査員コメント:百人一首って昔からあり、いろいろなところでゲーム化されていますが、一字一句読み上げて、間違えないで(このような)ゲームをつくるって、素晴らしいですね。同時に、初めから英語化されているので、海外の人も楽しみながら日本文化に触れられそうですね。(松林弘治氏)

優秀賞 小学校低学年部門「あなたのバーチャルアシスタント・ロボット“NOYBO”」


(森谷頼安さん、小学3年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/優秀賞 小学校低学年部門「あなたのバーチャルアシスタント・ロボット”NOYBO”」(森谷頼安さん、小3)
写真:「あなたのバーチャルアシスタント・ロボット”NOYBO”」(森谷頼安さん)

本人作品紹介:あなたがコンピュータを使用しているときに、忘れてしまいそうな重要な用事を教えてくれるロボットです。たとえば、僕はダンス教室に行っているので、それをこのNOYBO(ノイボ)に教えておけば、30分前や15分前になると教えてくれます。
審査員コメント:Scratch(スクラッチ)で数字をちゃんと読み上げるなど、最近、Amazonなどが音声ロボットをいろいろ出しているなかで、それをいち早く取り上げたプロダクトをつくっていて、素晴らしいですね。(増井雄一郎氏)

イシダ賞「応援ロボ Maria」


(kohacraft.com、小学6年生・小学3年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/イシダ賞・特別賞「応援ロボ Maria」(kohacraft.com、小6・小3)
写真:「応援ロボ Maria」(kohacraft.com)

本人作品紹介:妹たちが、勉強が大変なので、宿題などを応援してくれるようにつくりました。「ARDUINO(アルドゥイーノ)」も使っていて、液晶画面もあり、そこに表示される文字のフォントデータを1からつくっています。僕が配線とプログラミングを担当し、双子の妹たちはチアガールの衣装をつくったり、箱をつくるのも手伝ってくれたりしました。
審査員コメント:ジョイスティックの動きって、腕とか足とか別々のものに対応してしまいがちですが、足と手が同時に動くみたいな感じになっていてよく考えられていました。単なるプログラミングでなく、ちゃんと表現として誰かを楽しませようということも含め、非常によくできていました。(稲見昌彦氏)

入選作「とうちゃんおこしロボ」


(崎山盛一さん、小学1年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/入選作「とうちゃんおこしロボ」(崎山盛一さん、小1)
写真:「とうちゃんおこしロボ」(崎山盛一さん)

本人作品紹介:父ちゃんがいつもなかなか起きないので、アーテックロボ(Studuino)でつくりました。
審査員コメント:家族の問題や身近なことを、きちんと自分たちの頭を使って解決していく。それが今度は日本全体、人類全体、そういうところにつながってくる、大変良い作品だと思います。(稲見昌彦氏)

入選作「毎日チェックアプリ」


(大竹悠太さん、小学4年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/入選作「毎日チェックアプリ」(大竹悠太さん、小4)
写真:「毎日チェックアプリ」(大竹悠太さん)

本人作品紹介:毎日やることをリストにして、やり終わったらその項目にチェックを入れられるアプリです。お父さんやお母さんに「宿題やった?」「あしたの準備した?」と言われることがしょっちゅうあったので、つくりました。
審査員コメント:家族の問題というだけでなく、仕事でも我々が使いたくなるような点で、もう大人のプログラマーも顔負けの快挙なんじゃないかなと思います。(稲見昌彦氏)

入選作「金魚まもる君」


(野口航さん、中学2年生)

第2回小中学生プログラミングコンテスト/入選作「金魚まもる君」(野口航さん、中2)
写真:「金魚まもる君」(野口航さん)

本人作品紹介:温度センサーで水温を測ることができます。下に照度センサーとADが付いていて、水の濁り具合を判断しています。また、手前にpHセンサーが付いているので、水槽の水質の低下を測ることができます。小学5年生のときに金魚すくいですくった金魚が今も家にいて、水槽の水の取り替えを母にやってもらっているのですが、母の負担が大きくなってきたので、この装置をつくろうと思いました
審査員コメント:人に対して何かを働きかけるという作品が多かったのですが、(金魚まもる君は)金魚の環境をモニターするもの。最近のIoTを使った農業や漁業にもつながってくる話かもしれず、こういう研究を続けてほしいですね。(稲見昌彦氏)

 以上が「第2回 全国小中学生プログラミング大会」入選作品と、熱い議論が交わされた最終審査の結果だ。制作者の個性や課題などが投影されたプログラミング作品が並び、その完成度には大人も顔負けだった。

専門家もわからない、AI時代のこれからを歩む子どもたちへ



 当日は、入選者10組による作品紹介のあと、最終審査中に角川アスキー総合研究所取締役の遠藤諭氏、UEI代表取締役兼CEOの清水亮氏、CANVAS理事長の石戸奈々子氏ら3名による座談会が行われた。テーマは「AI時代の教育と地域への広がり」。

 遠藤氏はまず、稲見氏も述べたとおり「プログラミングはただ単にものをつくる道具じゃなく、表現できる、もっと豊かなものだろう、ということでこのコンテストを開催しています」と説明。大会を取り巻く昨今の教育事情に言及し、IT企業のトップを務める清水氏に「AI時代の教育、あるいはプログラミングに関して感じていることはありますか」と質問を投げかけた。

 清水氏によると、プログラミング教育をしたほうがいいという話は2012年か2013年ごろからあったが、“プログラミング”を“普通の人”が知るようになったのはここ1、2年のこと。同氏は一般者がプログラミングに興味を持つようになったのは「やっぱり、AlphaGo(アルファ碁)が人間のプロ棋士に勝ってから」とし、「プログラミングはAIと付き合うための便利な道具、という感じでしょうか」と所感を述べた。

 ちなみに、清水氏は小中学生のためのプログラミング教室「秋葉原プログラミング教室」の展開や、出身地である新潟県長岡市より依頼を受け、市内の中学生向けにAIに関する無料授業を実施した経験も持つ。

 石戸氏はこのエピソードを受け、「AIって今日のような場で語られると、未来を予測させる楽しいものという感じですが、教育の現場で語られるのはだいたい恐怖ですよね」と指摘。また、保護者や学校関係者、現場指導教員と話す機会を多く持つ立場から、「それってよくわからない、得体のしれないものに対する、漠然とした不安感からきているもの」と表現。「だから、AIとはどういうものか、きちんと伝えることが大事だと思います」と続け、AI時代を歩む子どもたちを支える教育現場への期待を述べた。

 なお、座談会のなかで清水氏は「今の子どもたちがすごくラッキーだなと思うのは、この過程(時代)に子どもをやっている、ってことですね。AIがこれだけ注目されているなかで、いかにのびのびと、興味の向くままに(プログラミングやAIに)付き合っていけるかが重要ですね」と語った。子どもを取り巻く未来について、遠藤氏は「AIを使いこなすために、やっぱりプログラミングは必要だよね、ということでしょうか」と分析し、清水氏が同意したことが印象深い。

期待高まる第3回大会



 第1回を上回る数の応募作品が集まっただけでなく、いずれも斬新かつユニークで魅力にあふれ、ますますハイレベルな争いとなった。2018年の開催が予定される第3回大会からも目が離せないし、プログラミングがますます盛り上がるのは疑いようがないだろう。

 実行委員長の稲見氏が語ったように、「いろいろな可能性のある未来を変えてほしい」という期待を、これからの子どもたちに抱いた。プログラミングをとおして「発想力」「表現力」「技術力」をさらに磨き、第3回大会でバージョンアップした姿を見せてくれることを切に願う。
《大倉恭弘》

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