東京医科大学、女子を一律減点…内部調査報告書

 東京医科大学は2018年8月7日、入学試験の不正に関する内部調査報告書を公表した。2018年度入試では、一次試験で5名の加点が確認されたほか、二次試験では性別などの属性で得点調整が行われていた。女子受験生への不当な減点は、各方面に衝撃を与えている。

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  • 2018年度入試における個別の得点調整
  • 2018年度入試における属性による得点調整
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 東京医科大学は2018年8月7日、入学試験の不正に関する内部調査報告書を公表した。2018年度入試では、一次試験で5名の加点が確認されたほか、二次試験では性別などの属性で得点調整が行われていた。女子受験生への不当な減点は、各方面に衝撃を与えている。

 2018年7月に当時の文部科学省科学技術・学術政策局長が受託収賄罪、東京医科大学の前理事長と前学長が贈賄罪で逮捕・起訴されたことを受け、内部調査委員会を設置。第一報として、報告書を公表した。調査期間は、2018年7月5日~8月6日。

 東京医科大学の一般入試は、一次試験が英語・数学・理科2科目(物理・化学・生物から2科目選択)で各科目100点満点、計400点満点のマークシート式の試験。数学のみ一部が記述式となっている。2018年度の受験者数は2,614名。二次試験は小論文、適性検査および面接。

 報告書によると、入学試験における不正は、入試委員会に一次試験の採点結果を提出する前の時点で、関係者リストに基づき、一次試験の素点に不正加算した成績表を作成。2017年度入試では、13名への加算が確認され、加算点数は最大で45点に及んだ。2018年度入試では5名の加算が確認され、加算点数は最大49点。補欠の繰上げ合格者を選定する際、より点数の高い受験生数名を飛び越えて繰上げ合格とした例もあった。

 また、男子か女子か、現役か浪人かという属性に応じて得点調整が行われていたことも発覚。開始時期については「少なくとも2006年度入試以降」とされ、推薦入試についても例年、入試委員会による検討を経ずに個別の得点調整が行われていたという。

 2018年度入試での属性による得点調整は、二次試験の小論文において実施された。小論文の点数(満点100点)に全員0.8の係数をかけて満点80点としたうえで、現役男子・1浪男子・2浪男子に20点、3浪男子に10点を加算。4浪男子と女子は加算0点とした。得点調整により、女子は現役・浪人を問わず、100点満点を取っても80点の得点しか得られなかったことになる。

 調査報告書では、入試の不正行為について「東京医大は、募集要項において受験生が『試験の公平性を損なう行為』を行った場合、受験した試験の成績がすべて無効になるとしているが、そのように受験生または高校もしくは予備校の関係者に警告しながら、裏では理事長や学長が自ら『試験の公平性を損なう行為』に手を染めていたということであり、教学部門の根幹に属するものであることを考えると、大学の自殺行為に近いといえよう」と断罪している。

 東京医科大学では8月7日、調査報告書の内容を受けて、今後の対応をWebサイトに掲載。得点調整によって不合格となった受験生に対して誠意を持って対応するとしたほか、女子への一律減点については「断じてあってはならないことであり、これは根絶する」と断言した。入学試験以外における女性差別についても改めて全学で検証するとした。

 東京医科大学が、女子受験生の点数を一律で減点し、女性比率を3割程度に抑えていたとする報道については、各方面に衝撃を与えている。女子や女性が差別されない公正な社会を目指す国際NGOプラン・インターナショナルは8月7日、緊急メッセージを発表した。

 メッセージでは、池上清子理事長が「機会均等が当たり前のルールであるはずの大学入試で、女子学生を排除して男子学生を優遇する措置が行われていたとすれば、深い失望と強い抗議の念を抱かざるをえません。一日も早く事実確認が行われることを望みます」と訴えている。
《奥山直美》

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