夏休み明けに向けた過ごし方、家庭でできるサポート<チェック表付き>

 2018年の夏休みも終盤。多くの地域で夏休みも残すところあと1、2週間となった。残り少ない夏休みと夏休み明けを元気いっぱい、スムーズに過ごすために保護者ができるサポートについて、大阪市内の小学校で首席を務める川村幸久氏に聞いた。

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  • 小学校段階において、11月30日の自殺者数の割合がもっとも多い
  • 2018年夏期 子ども向けのおもな相談先
 多くの地域で夏休みも残すところあと1、2週間となり、急な気温の変化に伴う体調への影響などに気をつけたいところ。

 夏休み当初を振り返ると、長期休業を有意義なものにするためには、「計画表」を作成し、生活習慣を整えながら目標を持って過ごすことが大切だった。しかしながら、スケジュールどおりに進められなかった子どもや、そもそも計画表を作成せずに過ごしたという子どもの場合、残りの日程はどのように過ごしたらよいだろうか。

 スムーズな学校再開に向け、夏休み明けに向けた過ごし方と、夏休み明けに起こり得る子どもの変化のほか、保護者が家庭でできるサポートについて、大阪市内の小学校で首席(主幹教諭)を務める川村幸久氏に話を聞いた。子どもが発する危険信号にいち早く気付けるチェック表も紹介する。

夏休み明けはどんな時期?



 いよいよ夏休みも残り1、2週間となりました。筆者の勤務する堀江小学校では、8月27日から学校が再開します。学期制にもよりますが、3学期制の学校の場合、夏休み明けは2学期がスタートする時期です。

 実は、この「夏休み明け」という時期は家庭でのサポートが大変重要な意味を持つ時期でもあります。その理由は、ここ数年家庭や学校での注意が呼びかけられる「9月1日」が控えていることにあります。

「9月1日」が示す意味



 厚生労働省が発表した「平成27年版自殺対策白書」において、18歳以下の日別自殺者数の分析が示されて以降、18歳以下の9月1日における自殺者の多さが問題視されてきました。夏休み後半から夏休み明けの時期にかけ、生活リズムや心のバランスが崩れ、ひとりで悩む児童生徒の自殺防止に向けた取組みも数多く実施されるようになっています。

 「18歳以下」をより詳細に分析した調査結果も公開されています。2018年8月7日に自殺総合対策推進センターが公開した資料「昭和48年度から平成27年度における、通学適齢期の自殺者数に関する分析<速報版>」では、日別の自殺者数の分析を学校段階別に分け、さらに「18歳」内に混在していた在学段階と高校卒業段階の生徒を区別して分析しました。

 通学適齢期における直近10年の7月下旬から9月下旬(夏休みから夏休み明け)に着目した場合、9月1日の自殺者数がもっとも多いのは中高生段階で、小学校段階においては11月30日の自殺者数が多いことがわかりました。この結果は地方ブロックを問わず、8月下旬に自殺者数のピークがみられるということも明らかになっています。

 しかし、これは「小学生は11月30日の前後だけ注意すればよい」ということではありません。日別の自殺者数の割合の資料を見ると、小学校段階では11月30日がその割合が多いのに続き、2学期の始業式前後である8月末から9月1日にかけては、中学校と高校だけでなく、小学校でもその割合が上位3位までに位置しています。

小学校段階において、11月30日の自殺者数の割合がもっとも多い
小学校段階において、11月30日の自殺者数の割合がもっとも多い

 このことからも、2学期のスタート時期および学校の再開時期に子どもたちが心に不安や葛藤を抱えており、何かしらの苦しい思いをしている可能性があると推測できます。小学校段階においても、この夏休み明けから9月の間に子どもの変容にいち早く気づき、心の問題を取り除いてあげることができれば、一番危険な11月30日の危機を乗り越える一助となることができるでしょう。

 なお、今回は自殺総合対策推進センターのデータに基づいて夏休みの例を示しましたが、不登校傾向になる子どもが出てきやすいのも、新学期や学期始めであるという統計資料もあります。

 では、このような重要な時期に、保護者が家庭でできる子どものサポートには、一体どのようなものがあるのでしょうか。

チェック表付き・家庭でできるサポート



 保護者が子どものためにできるサポートはたくさんあるものの、いよいよ夏休み明け、新学期直前といった時期には、次の3つを必ず行うことをお勧めします。

(1)可能な限りの家族団らんの時間の確保
(2)(親子で一緒に)宿題・持ち物の確認、新学期に向けた準備
(3)子どもの行動観察(言動・表情など)


 (1)については、子どもの年齢や発達段階にもよりますが、十分に時間が取れる夏休みは、やはり家族団らんの時間を十分にとってコミュニケーションを多く図りたいものです。残り数日、1週間程度だからといって、特段遠方まで出かける必要もありません。普段の生活における何気ない会話や、家族で食卓を囲むなどの関りによって、家族への帰属感が増し、「自分のことを大切に思ってもらえている」と、愛情を感じることでしょう。

 (1)に加えて、(2)では「親子一緒に」夏休みの宿題や休み明けからの学校生活で必要な準備物を点検・確認しましょう。小学校高学年以上になれば、自分で準備し、保護者はその確認をしてあげるようにしましょう。保護者が全部用意するというのではなく、「一緒に」というところがポイントです。

子どもの変化、注意すべきポイント



 この時期、(1)と(2)以上に重要となるのは(3)の「子どもの行動観察」です。以下に「危険信号チェック表」を示します。これまでの教職経験をもとに作成しました。夏休み直前始業式前日始業式後など、最低でも3回に分けて子どものようすを見ながら実施することをお勧めします。ひとつでも気になる点がある場合は、経過をよく観察しておいたほうがいいです。

◆危険信号チェックリスト


 夏休み終了を目前に控えたときに、チェックリストの中からいくつか該当する項目があり、子どものようすがおかしいなと感じたら、まずは「何があったのか」「何が原因なのか」を聞いてみましょう。

 もし、言いあぐねている場合は無理に聞き出そうとせず、あたたかく待つことが大切です。子どもの気持ちを最優先してあげましょう。子どもは自分のタイミングで話をしようと思っているはずです。もしかしたら、親には言いにくいことかもしれません。無理に原因・理由を追究して子どもを追い詰めることは逆効果です。「何かあったら、いつでも言ってきてね」「何でも相談に乗るわよ」「私はあなたの味方だからね」と声を掛けたら、まずは少しようすを見ることがよいでしょう。

 子どもに声をかけたあとは、保護者も含め、誰かに相談できる環境を作っておくことが大切です。子ども向けの連絡サポート機関といつでも連絡が取れる状態・環境にしておきましょう。

 子どもが悩みを相談する相手は、必ずしも自分の親でないといけないわけではありません。自分のことを知らない相手だからこそ相談できることもあります。家庭ではその環境を整えてあげるようにしましょう。最近は、電話での24時間ダイヤルだけではなく、メールや「LINE」などのコミュニケーションアプリでも相談できるようになってきました。以下の表は一例です。連絡先など、子どももわかるところに掲示しておくとよいでしょう。

2018年夏期 子ども向けのおもな相談先
2018年夏期 子ども向けのおもな相談先

 最後に、子どものようすが何かおかしいと思ったとき、保護者の方々に知っておいていただきたいと思うことがひとつあります。それは、必ずしも「学校に行けない=悪い」ではないということです。

 不安なようすの子どもを前にしても、「どうしても学校には行かせたい」「行かなくてはならない」と思う気持ちもわかります。しかし、無理に登校させようとしない、無理強いをしてはいけないことも心得ておかないといけません。

 登校途中で学校にも行けずに自殺をしたり、不審者に連れ去られたりした事案はこれまでにもたくさんあります。無理強いをしていいことはひとつもありません。子どもたちに寄り添い、不安に感じている要素を解消する方法を一緒に考えていくことが大切です。

著者による記事
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川村 幸久(かわむら ゆきひさ)
平成15年 大阪教育大学卒業。大阪市学校教育研究会体育部体つくり運動領域部所属、全国小学校体育研究 連盟 事務局次長。大阪市内の2学校での教諭経験を経たのち、平成20年4月1日に大阪市堀江小学校へ着任。平成28年度からは、同小学校にて主幹教諭にあたる「首席」を務めている。小学館「三教育技術」や明治図書「楽しい体育の授業」での執筆経験を持つ。平成30年度からは一年間、小学館「三教育技術」学級経営のコーナーの監修・執筆を務める。
《川村幸久》

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