東大、共通テスト「英語」民間試験は不使用か…年内に実施方針決定

 東京大学は2018年7月14日、大学入試センター試験に代わり2020年度から実施される「大学入学共通テスト(共通テスト)」の英語について、合否判定には民間の資格・検定試験を活用しない方向である可能性が高いというWG答申を公表した。

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 東京大学は2018年7月14日、大学入試センター試験に代わり2020年度から実施される「大学入学共通テスト(共通テスト)」の英語について、民間の英語資格・検定試験活用について検討してきたワーキンググループ(WG)答申を公表した。

 石井洋二郎理事・副学長が座長を務める入学者選抜方法検討ワーキンググループによる答申が示す提案は3つ。

 提案1は、「出願にあたって認定試験の成績提出を求めない」というもの。優先順位第1の選択肢として掲げられている。

 その理由は、国立大学協会(国大協)が示す、英語の資格・検定試験を出願資格とする場合の活用方法にある。国大協は、英語の資格・検定試験を出願資格とする場合の1つの方法として、そのレベル設定はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)対照表に基づき一定の水準、たとえば「A2以上」などを受験資格とする方法を掲げている。これについてWGは「これは従来の出願条件を満たす『すべての者に門戸を開』いてきた本学にとって、きわめて大きな方向変更になると思われる。」とコメント。現在は出願段階においては勘案されていない「成績評価」という要素を英語のみに追加することになるとし、英語の資格・検定試験を活用しないとする答申を明らかにした。

 提案2は、文部科学省や関係機関からの説明をうけ、納得のいく回答を得られたらその時点から活用を検討するという方法。提案3には、CEFR「A2以上」の結果を出願資格とするが、一定の条件のもとに例外を認めるとするもの。

 大学入試共通テストにおける英語の民間資格・検定試験の活用については、多くの大学が慎重に検討しているところ。東京大学については、2018年3月に英語の資格・検定試験を合否判定に使わない方針を打ち出したところ、4月27日には活用する方針への転換を発表。その後、ワーキンググループを設置し議論を重ねた結果、今回7月の答申として“活用しない”という方針に戻った。

 なお、東京大学総長 五神真(ごのかみ まこと)氏は「本答申は、入試監理委員長である総長の求めに基づく検討結果の報告と提言であり、東京大学として決定された方針を示すものではありません」と発表。答申を受け、審議ののち9月ごろまでに基本的な方向性を示すとしている。具体的な実施方針は2018年内に決定予定。合否判定に活用するか否かの判断について、他大学からの注目も集まっている。
《佐藤亜希》

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