中高生のネット依存、推計93万人…成績低下や居眠りも

 病的なインターネット依存が疑われる中高生は、この5年間で倍増し、全国で93万人と推計されることが、厚生労働省研究班の調査結果から明らかになった。男子より女子が多い傾向にあり、インターネットの使い過ぎで「成績低下」「居眠り」などの問題が発生していた。

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厚生労働省
  • 厚生労働省
  • この30日間の平日の平均インターネット使用時間
  • この30日間の休日の平均インターネット使用時間
  • 2012年調査と2017年調査の不適応使用者と病的使用者割合を比較
  • インターネット依存のスクリーニング各項目「該当者」の割合
  • インターネットの使い過ぎに関する問題の経験者割合
 病的なインターネット依存が疑われる中高生は、この5年間で倍増し、全国で93万人と推計されることが、厚生労働省研究班の調査結果から明らかになった。男子より女子が多い傾向にあり、インターネットの使い過ぎで「成績低下」「居眠り」などの問題が発生していた。

 調査は2017年12月~2018年2月、全国の中学校48校、高校55校の合計103校を対象に実施。中高生6万4,417人から回答を得た。

 この30日間の平日のインターネット使用時間は、男女とも「2時間未満(1時間台)」が多いが、高校生になると「5時間未満(4時間台)」が増え、「5時間以上」も増加。男子より、女子の方がやや長い傾向にあった。

 休日の使用時間は、高校生は「5時間未満(4時間台)」がもっとも多く、ついで「5時間以上」。「しなかった」という生徒はほとんどいなく、多くの中高生が長時間インターネットを使用している実態にあった。

 利用するインターネットサービスは「LINEなど(Skype、チャット、メッセンジャーを含む)」「動画サイト」「情報検索」が多く、男子は「オンラインゲーム」も多かった。インターネット利用に使う機器は「スマートフォン」が圧倒的に多かった。

 インターネットを病的に使用する生徒は、中学生12.4%(男子10.6%、女子14.3%)、高校生16.0%(男子13.2%、女子18.9%)。2012年の結果は、中学生6.0%(男子4.4%、女子7.7%)、高校生9.4%(男子7.6%、女子11.2%)。

 この5年間で病的なインターネット依存が疑われる生徒は中学生、高校生ともにほぼ倍増していた。厚生労働省研究班代表の尾崎米厚氏(鳥取大学医学部教授)によると、病的なインターネット依存が疑われる中高生は推計93万人にのぼるという。

 インターネット依存の生徒で、頻度が高かったのは「過剰使用(意図したより長い時間使用)」「渇望(インターネットをすることを待ち望む)」「制御不能(時間を減らしたり、止めることに失敗する)」。男子より女子の割合が高い傾向にあった。

インターネットの使い過ぎに関する問題の経験者割合
インターネットの使い過ぎに関する問題の経験者割合

 インターネットの使い過ぎで発生した問題では、「成績低下」と「授業中の居眠り」が際立って高かったほか、「遅刻」「友人とのトラブル」も多かった。「居眠り」や「遅刻」は、学年が上がるほど多くなったが、「成績低下」は中学のうちから高い割合を示した。「友人とのトラブル」は男子より女子に多く、女子中学生で特に多かった。
《奥山直美》

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