駿台、2018年11月実施「大学入学共通テスト試行調査」の問題分析公表

 駿台予備学校は2018年11月14日、11月10日・11日に行われた「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)の教科ごとの問題分析をWebサイトに公開した。駿台講師による各教科の分析コメントを見ることができる。

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駿台「2018年11月実施『大学入学共通テスト』試行調査(プレテスト)問題の分析」実施教科
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 駿台予備学校は2018年11月14日、11月10日・11日に行われた「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)の教科ごとの問題分析をWebサイトに公開した。駿台講師による各教科の分析コメントを見ることができる。大学入学共通テストが目指す方向に沿う形で思考力や発想力を問う問題が増えているようだ。

 大学入試センターは、2020年度から導入する「大学入学共通テスト」の実施に向け、記述式問題を含む試験問題の作成、記述式問題の採点体制などを分析・検証するため、2017年度の11月および2月に高校などを会場に試行調査を実施。2018年度はさらに実際の試験実施体制に近い形で試行調査を行うべく、11月10日・11日の2日間、大学入試センターを利用する全国の大学を会場としてA日程とB日程(パターン1・2)で試行調査を実施した。

 駿台は、2018年11月の試行調査の問題について、駿台講師による分析コメントを掲載。「英語」「数学」「現代文」「古文」「漢文」「物理」「化学」「生物」「地学」「日本史」「世界史」「地理」「政治・経済」「倫理」「現代社会」の各教科について、問題の傾向や2017年度試行調査からの変更点、現行のセンター試験との比較などの見解を示している。

 大学入学共通テストでは、国語と数学で新たに記述式問題が導入されることと、英語で4技能が評価されるようになることが大きな特徴とされている。現代文の分析によると、記述式問題は前回の試行調査で出題された「実用的文章」から「複数の論理的文章の組合せ」に変更された。本番でも「実用的文章」「論理的文章」あるいは「両者の組合せ」とさまざまな形の出題が想定される。記述式問題については、今回一緒に発表された「参考問題例」も含めて見ると、形式は「20~30字、40~50字、80字以上120字以内」の3問。複数の文章・資料から設問要求に応じて情報を取り出し関連付け、推論や抽象化・具体化といった応用的思考を働かせて記述する、という形式はほぼ確定したものと考えられる、としている。

 数学では、記述式部分において記述量が大幅に減少し、前回の記述式よりも答え方がシンプルに。前回の試行調査よりも受験生は何らかの記述ができそうな問題に改善された。それでも答え方に暖昧さが伴う問題があり、採点にはブレが生じる可能性が考えられる。問題自体は、IA、IIBとも全体的に前回の試行調査よりも若干難易度が下がったものの、現行のセンター試験に比べればやや難しくなっている。センター試験のような細かな誘導がないため、センター試験よりも構想力や発想力が必要とされ、数学の本当の力が試される問題となっているようだ。数学を含めて読解力など総合力の高い一部の受験生には難なく解決できるが、そのレベルに達していない受験生にはかなり厳しいかもしれない、との見解を示している。

 英語のリーディングでは、前回の試行調査と同様、発音やアクセント、語句整序、独立した文法問題などは出題されず、純粋な読解問題のみが出題された。試験時間に対して量は決して少ないとはいえず、センター試験以上にスピードが求められるという。リスニングの難易度は、CEFRの下から3つのレベル(A1、A2、B1)の範囲での出題とされているが、問題設定の煩雑さから一部の問題は外部検定試験のB1レベルの問題と比較しても難しく感じるものも見られた。また、「国際語としての英語」を意識してか、「アメリカ英語」に加え「イギリス英語」や「非母語話者の英語」も交えている。今回初めて「リーディング、リスニングが各100点」という配点が明らかにされ、リーディングに偏らない「バランスの取れた指導・学習をすべし」という強力なメッセージが読み取れる、と分析している。

 ほかの教科の分析を見ても、「現行のセンター試験よりも難易度が高い」「従来の“暗記”では太刀打ちできない」「設問を読み解く力も含め、思考力や発想力が必要な問題が多い」といった傾向がみられる。文部科学省が示す「共通テストにおける問題作成の方向性」を踏まえ、現行のセンター試験との違いが明らかになっているようだ。
《畑山望》

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