大学院生の生活、アルバイト収入が増加…大学生協調査

 全国大学生活協同組合連合会は、「第12回大学院生の生活実態調査報告書2022」を発行した。大学院生の経済生活は、「仕送り・こづかい」収入が減り、「アルバイト」収入が増加。大学院進学後にアルバイトを行っている割合は69.9%と、2007年以降もっとも多かった。

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修士課程の生活費と費目構成比
  • 修士課程の生活費と費目構成比
  • 大学院進学後のアルバイト経験
  • 悩み・ストレスの原因
  • 修士課程進学を決めた時期
  • 修士課程への進学理由

 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は、「第12回大学院生の生活実態調査報告書2022」を発行した。大学院生の経済生活は、「仕送り・こづかい」収入が減り、「アルバイト」収入が増加。大学院進学後にアルバイトを行っている割合は69.9%と、2007年以降もっとも多かった。

 大学院生の生活実態調査は、大学院生の生活実態を調べ、院生生活を向上させることを目的に2016年から2年に1回実施している。第12回は2022年10~11月、全国34の国公私立大学に在籍する修士課程(博士課程前期)・博士課程(博士課程後期)・専門職学位課程の大学院生を対象に実施し、4,645人の回答を得た。

 大学院生の1週間の研究時間は平均36.7時間。専攻別では、文科系33.8時間、理工系37.0時間、医歯薬系40.5時間と、理系分野のほうが長い傾向にあった。登校日数は平均4.4日。2020年の前回調査の4.2日より微増しており、大学院生がコロナ禍でも大学に通っていることがわかった。

 コロナ対策が研究活動に及ぼしている影響については、「学会の形式変更」が41.1%ともっとも多く、「影響なし」33.2%、「院生同士の意見交流が減少」23.7%、「学外の研究関係者とのコミュニケーションがとりにくい」18.2%、「教授とのコミュニケーションがとりにくい」13.0%と続いた。

 大学院生(修士課程)の経済生活については、2020年の前回調査と比較して、収入は「仕送り・こづかい」が250円減の4万5,050円、「アルバイト」が3,370円増の3万1,070円。支出は「住居費」が2,580円増の3万4,880円、「教養娯楽費」が590円増の1万3,190円、「交通費」が400円増の5,500円とそれぞれ増えた。大学院進学後のアルバイト経験では、「現在アルバイトを行っている」と回答した人が69.9%にのぼり、2007年以降でもっとも多かった。

 研究費の個人負担は増加。一方で、理工系や医歯薬系では個人負担がゼロとなっている院生も多く、研究費を個人負担させないルールをもつ研究室も多いことがうかがえる。悩み・ストレスの要因では、「お金に関すること」「時間不足」などが大幅に増加している。

 修士課程進学を決めた時期は、「大学3年生」がもっとも多く、中でも理工系は42.7%と顕著。修士課程に進学した理由は、文科系は「興味を深めるため」67.1%、理工系は「就職に有利」57.3%、医歯薬系は「専門知識」55.7%が最多だった。

 修士課程修了後の進路は、「就職」と回答した人が大多数。現在考えている就職先で「研究機関」と回答した人は、理工系が2.2%と、ほかの専攻に比べて多い。文科系は「公務員」「教員」「研究職」の割合が多い傾向にあった。

 調査結果について、大学生協では「アルバイトの増加や就職活動の早期化によって研究以外の活動に割く時間が増えている。これらの時間の使い方によって院生の研究活動に支障が出ている可能性がある」などと考察している。

《奥山直美》

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