小学生3人に1人が「裸眼視力1.0未満」約40年で2倍増

 小学生の3人に1人は裸眼視力が1.0未満であり、6割を超える子が「授業中に黒板が見えにくい」など生活への影響を感じている一方、8割の親は子供の目の健康を保つ対策をしていないことが、ロート製薬が実施した調査より明らかになった。

生活・健康 小学生
子供の裸眼視力はどれくらいですか?
  • 子供の裸眼視力はどれくらいですか?
  • 裸眼視力が1.0未満であることの生活への影響(小学生回答)
  • 裸眼視力が1.0未満であることの生活への影響(親回答)
  • 子供が裸眼視力1.0未満になった理由は何だと思いますか?
  • 子供のデジタルデバイス/野外活動の時間はどのくらいですか?
  • 子供は眼鏡やコンタクトレンズをしていますか?
  • 子供の目の健康のために対策をしていますか?
  • 松村沙衣子先生(東邦大学医療センター大森病院講師)

 小学生の3人に1人は裸眼視力が1.0未満であり、6割を超える子が「授業中に黒板が見えにくい」など生活への影響を感じている一方、8割の親は子供の目の健康を保つ対策をしていないことが、ロート製薬が実施した調査より明らかになった。

 ロート製薬は、小学生の子供をもつ親1,000名を対象に、インターネットにて実施した。調査期間は2024年5月17日~19日。「裸眼視力が1.0未満の小学生の生活への影響」については、小学生本人の回答を親が代理回答している。

 小学生の子供をもつ親に調査したところ、裸眼視力が1.0未満の小学生は36.7%だった。文部科学省の学校保健統計調査によると、裸眼視力が1.0未満の子供は、1979年度には17.91%で、2022年度には37.88%と2倍以上に増加している。また、メガネやコンタクトレンズを装用している割合は21.8%であり、小学生のおよそ5人に1人がメガネやコンタクトレンズを使いながら生活していることがわかった。メガネやコンタクトレンズ装用の理由は、「近視」がもっとも多く、7割超という結果になった。

 裸眼視力が1.0未満の小学生に対して生活への影響を尋ねたところ、「授業中に黒板が見えにくい」「目が疲れる」「姿勢が悪くなる」など、61.6%が学校生活を中心に何かしらの生活への影響があると回答。中には「通学中に車や人が見えにくい」といった危険を感じる回答もみられた。

 一方で、子供が感じている生活への影響のうち、把握していないものがあった親は55.2%と半数以上にのぼったという。特に、親の目が届かない学校にいる間の勉強しにくさ、運動や遊びにくさ、健康への影響に、親が気付いていないケースもあるようだ。

 裸眼視力1.0未満の小学生の親に対して、裸眼視力が低下した理由として考えられるものを尋ねたところ、もっとも多かったのは「デジタルデバイス(スマホやPC、タブレットなど)への接触時間の長さ」で52.7%だった。実際に、裸眼視力が低い子供はデジタルデバイスへの接触時間が長い傾向にあり、裸眼視力が0.2以下の子供は、デジタルデバイスの1日の接触時間が平均95.6分、裸眼視力が1.0以上の子供の接触時間は平均73.7分で、その差は20分以上となった。

 逆に、裸眼視力が高い子供は屋外活動(外遊びやスポーツなど)の時間が長い傾向があり、裸眼視力が1.0以上の子供は、一日の屋外活動の時間が平均72.3分、裸眼視力が0.2未満の子供の屋外活動時間は平均49.2分で、こちらも20分以上の差が出ていた。

 小学生の子供の目の健康のための対策の有無について尋ねたところ、対策をしている親21.2%にとどまり、78.8%は対策をしていないことが判明。対策の内容としてもっとも多かったのは、「十分な睡眠を促す」で42.9%、ついで「適切な明るさの照明」39.6%、「デジタルデバイスへの接触時間の管理」38.2%という結果となった。

 今回の調査結果を受け、東邦大学医療センター大森病院(小児眼科、近視)講師の松村沙衣子先生は、授業の黒板が見えないといった生活への影響を半数以上の保護者が気付いていないことについて、「見えていないサインとして、ものに近づいたり、目を細めたりして見ていることがヒントになるので、注意して観察すること」「学校健診の視力検査結果の紙をもらったら、必ず眼科に受診し、矯正が必要な際は眼科できちんとあった眼鏡をつくることも大切」と助言した。

 また、家庭でもできる目のケアとして、「読書や勉強など近くを見る時間の30分毎に休憩をいれること」「500ルクス以上の十分な室内照明を保つこと」「30㎝以上の視距離を保てるように机や椅子の高さを調整すること」「外遊び時間を増やすこと」と解説。「デジタルデバイス使用時間は小学校低学年では1日1.5時間以下、高学年では1日2時間以下が推奨」とし、「特に画面の小さいスマートフォンは、視距離が20㎝以下と近くなりやすく、リスクが高いので気を付けること」と呼びかけた。

 なお、「こどもの目の白書2024」は、ロート製薬が子供の目の健康に対する意識を高めることを目的に、子供の目に関する調査結果や健やかな目を保つためのケア方法をまとめたもの。2024年は6月10日の「こどもの目の日」を機に実施し、今後毎年公開する予定としている。

《木村 薫》

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