脳内の「やる気スイッチ」を発見、慶應義塾大ほか共同研究グループ

 慶應義塾大学と生理学研究所は2月2日、「脳内にあるやる気スイッチを発見した」と発表した。共同研究グループが、マウスを用いた実験で意欲障害の原因となる脳内の部位を特定した。意欲障害の治療法につながる成果だという。

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意欲障害のモデル動物を用いた治療薬の探索イメージ
  • 意欲障害のモデル動物を用いた治療薬の探索イメージ
  • 正常マウスと毒発現マウスのやる気度比較
  • マウス脳の線条体
 慶應義塾大学と生理学研究所は2月2日、「脳内にあるやる気スイッチを発見した」と発表した。共同研究グループが、マウスを用いた実験で意欲障害の原因となる脳内の部位を特定した。意欲障害の治療法につながる成果だという。

 研究成果を発表したのは、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の田中謙二准教授、三村將教授、生理学教室の岡野栄之教授、北海道大学大学院医学研究科の渡辺雅彦教授、防衛医科大学校の太田宏之助教、大学共同利用機関法人自然科学研究機構 生理学研究所の佐野裕美助教らの共同研究グループ。

 意欲障害は、いわゆる「やる気がない」という症状で、認知症や脳血管障害、脳外傷など脳の障害では、高い頻度で認められる。だが、原因やメカニズムは、脳が広範囲に障害を受けたときに起こること以外わかっていなかった。

 共同研究グループでは、運動制御や報酬を計算する脳部位である大脳基底核・線条体を構成する細胞集団、ドパミン受容体2型陽性中型有棘ニューロン(D2-MSN)に注目。D2-MSNだけに神経毒を発現させて細胞死させたマウスと正常なマウスを比較して、意欲評価の実験を行った。

 その結果、線条体腹外側という脳領域の限られた細胞集団が障害を受けるだけで意欲が障害されること、この細胞集団が健康でないと意欲を維持できないことを発見した。やる気を生むためには、ほかにもいくつかの部位が必要であると想像されているが、今回の研究では初めて、やる気を維持する脳部位・細胞種を明確に示せたという。

 今後は、意欲障害モデル動物を用いて、これまで治療法がまったくわかっていなかった脳損傷後の意欲障害における治療法や改善する薬剤を探索することが可能になるという。

 研究成果は、2月1日に総合科学雑誌「Nature Communications」に掲載された。
《奥山直美》

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