大学生「夢中になれることが見つからない」不安増加

 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は2020年2月28日、第55回学生生活実態調査の概要を公表した。「貸与型」奨学金は返還の不安による敬遠傾向が見られたほか、「生きがいや夢中になれることが見つからないこと」の不安が増加していることがわかった。

生活・健康 大学生
全国大学生活協同組合連合会
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  • 1か月の生活費(自宅生)
  • 1か月の生活費(下宿生)
  • 下宿生の仕送り金額分布
  • 奨学金の受給率と受給額、内容
  • 奨学金の種類
  • 日常生活で気にかかっていること
 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は2020年2月28日、第55回学生生活実態調査の概要を公表した。「貸与型」奨学金は返還の不安による敬遠傾向が見られたほか、「生きがいや夢中になれることが見つからないこと」の不安が増加していることがわかった。

 住まいや大学生活、日常生活、経済生活、大学生協についてへの意見などを調査し、年に一度公開している。全国の国公立および私立大学の学部学生を対象に、回収数は1万832(30大学回収率33.3%)。調査実施は2019年10月~11月、Webなどを利用して行った。

 自宅生の収入合計は6万7,480円で前年から270円減少し、7年ぶりの前年減となった。費目別には「アルバイト」が4万1,230円で前年から310円増え、8年連続の増加。金額、収入に占める構成比(61.1%)ともに1970年以降の最高値を更新しているほか、「小遣い」が6年ぶりに増加し1万3,480円で前年から700円増えた。

 支出合計は6万6,080円。前年から1,120円減少し、費目別では「教養娯楽費」が3年連続増加し1万2,990円。前年減となった費目は「食費」が1万3,850円のほか、「交通費」「勉学費」「貯金・繰越金」などで、特に「貯金・繰越金」は1,170円減と減少額が大きい

 下宿生の収入合計は12万9,860円で前年から2,580円増え、3年連続増加している。費目別には「アルバイト」が4年連続増加し3万3,600円。収入全体に占める構成比(25.9%)とともに金額も1970年以降の最高値を前年から更新した。「仕送り」は7万2,810円で前年から1,310円増加。「仕送り」が「0」の下宿生は7.1%と、2013年以降は10%以下を推移している。

 支出合計は12万9,090円。前年から2,990円増え3年連続増加となった。費目別には「食費」が2万6,390円で8年連続増加となったほか、「住居費」「教養娯楽費」「日常費」などが前年から増加した。「貯金・繰越金」は1万3,470円で、前年から270円減り2年連続減少

 奨学金については、何らかの奨学金を「受給している」は前年に続き30.5%(自宅生24.5%・下宿生35.5%)と、2011年の37.9%をピークに減少傾向にある。受給金額の平均は5万6,540円(自宅生5万2,760円・下宿生5万8,910円)で、前年から600円減、2011年からは2,820円減となった。貸与型奨学金の受給者は全体の25.7%(自宅生20.5%・下宿生30.3%)で、このうち貸与型のみの受給が23.1%(自宅生18.1%・下宿生27.7%)。奨学金受給者を100とすると75.7%を占めているが、これは2016年の89.0%から年ごとに減少しており、返還の不安による敬遠傾向にある

 社会・政治への関心については、「ある」と回答した男性(60.4%)が女性より8.2ポイント高く、また文系が理系を9.7ポイント、医歯薬系を13.8ポイント上回る。文系は選挙の有無に左右されず60.1%~70.9%を推移(理系48.6%~60.0%・医歯薬系42.7%~55.8%)している。

 日本の未来は明るいと「思う」(「とても思う」+「まあ思う」)は23.3%。2年連続減少しており、この項目を初めて調査した2015年と比較すると9.9ポイント減少している。政治への関心の有無をそれぞれ100とした場合、関心が「ある」の「明るいと思う」が2015年の35.5%から2019年の22.9%まで減少。2018年からは政治に関心が「ある」方の「明るいと思う」が低くなった。

 そのほか、日常生活で気にかかっていることは「生活費やお金のこと」43.1%(自宅生36.6%・下宿生48.8%)、「授業・レポート等勉学上のこと」41.0%(文系36.3%・理系45.4%・医歯薬系46.6%)、「就職のこと」36.7%(1年生28.2%・2年生38.5%・3年生52.9%・4年生29.1%)と続く。前回調査の2016年と比較して「生きがいや夢中になれることが見つからないこと」の不安が21.8%に増加。増加幅は全体で6.5ポイントと大きく増えた。
《田中志実》

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