子供のいる世帯数、初の1千万割れ…貧困率は改善傾向

 厚生労働省は2023年7月4日、「2022年国民生活基礎調査」の結果を公表した。18歳未満の児童がいる世帯数は991万7千世帯と、調査開始以降初めて1千万世帯を下回り、全世帯に占める割合も20%を切った。子供の貧困率は11.5%と前回調査時より2.5ポイント改善している。

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児童の有無(児童数)の年次推移
  • 児童の有無(児童数)の年次推移
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 厚生労働省は2023年7月4日、「2022年(令和4年)国民生活基礎調査」の結果を公表した。18歳未満の児童がいる世帯数は991万7千世帯と、調査開始以降初めて1千万世帯を下回り、全世帯に占める割合も20%を切った。子供の貧困率は11.5%と前回調査時より2.5ポイント改善している。

 「国民生活基礎調査」は、保健・医療・福祉・年金・所得など、国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政の企画や立案に必要な基礎資料を得ることを目的に、1986年から行っているもの。3年ごとの大規模な調査と、その間の各年の簡易調査を継続して実施しており、今回は13回目の大規模調査にあたる。2022年6~7月に調査を実施、世帯票・健康票は約20万3千世帯、所得票・貯蓄票は約1万9千世帯、介護票は約5千世帯を集計した。

 児童のいる世帯は991万7千世帯で全世帯の18.3%を占める。調査が始まった1986年から減少傾向が続いていた中、初めて1千万世帯を割り込み、全世帯に占める割合も20%以下に。少子化傾向に歯止めがかからない状況が顕著にうかがえる。

 児童のいる世帯のうち、児童が「1人」いる世帯は488万9千世帯で49.3%、「2人」いる世帯は377万2千世帯で38.0%、「3人以上」いる世帯は12.7%。児童「1人」の世帯のみ、前年(2021年)調査時から2.5ポイント増加し、児童が2人以上の世帯数の割合は減少している。

 児童のいる世帯の母の仕事状況をみると、「仕事あり」と回答したのは75.7%。前年調査時から0.2ポイント減少したものの、過去最高となった前年とほぼ同じ水準を保っている。「仕事あり」のうち、「正規の職員・従業員」は30.4%、「非正規の職員・従業員」は36.4%。正規の職員の割合は年々増加傾向にある。

 2021年の各種世帯の所得などの状況によると、1世帯あたりの平均所得金額は、545万7千円。高齢者世帯は318万3千円、児童のいる世帯は785万円と、いずれも前年調査時より3%ほど減少している。

 2022年の貯蓄の状況をみると、全世帯で「貯蓄がある」割合は82.4%、1世帯あたり平均貯蓄額は1,368万3千円。児童のいる世帯は「貯蓄がある」割合が85.5%、1世帯あたり平均貯蓄額は1,029万2千円。母子世帯は「貯蓄がある」割合が74.4%、1世帯あたり平均貯蓄額は422万5千円となった。

 2021年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は127万円で、貧困線に満たない世帯員の割合を示す「相対的貧困率」は15.4%。前回調査を行った2018年から0.3ポイント減少した。子供の貧困率は11.5%で前回調査比2.5ポイント減少。貧困率はわずかながら改善傾向にあり、「生活が苦しい」と感じている割合も51.3%と前年調査時から1.8ポイント改善した。

 一方で、母子世帯は75.2%、児童のいる世帯は54.7%が「生活が苦しい」と感じており、子育て世帯の厳しい状況がうかがえる。

《畑山望》

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