インフルエンザに溶連菌も流行加速、東京・埼玉は警報発令

 厚生労働省は2023年12月22日、2023年第50週(12月11日~17日)のインフルエンザ様疾患発生報告(第15報)を公表した。全国の幼保・小中高校の休校は145校、学年閉鎖は1,447校、学級閉鎖は4,742校にのぼる。また溶連菌も流行拡大、東京都や埼玉県が警報を発令している。

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インフルエンザ流行レベルマップ
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  • インフルエンザ様疾患発生報告(第15報)
  • 東京都における定点あたり患者報告数(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)
  • 東京都におけるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の発生状況(保健所管轄地域別)2023年第50週
  • A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(埼玉県)

 厚生労働省は2023年12月22日、2023年(令和5年)第50週(12月11日~17日)のインフルエンザ発生報告を公表した。全国の幼保・小中高校の休校・学年閉鎖・学級閉鎖は、前年同期43校を大幅に上回る6,334校。溶連菌も流行が拡大し、東京都や埼玉県では警報を発令した。

 国立感染症研究所は、厚生労働省・感染症サーベランス事業により、全国5,000か所の定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数を週ごとに把握。1週間の定点あたり報告数が10人を超えると「注意報」、30人を超えると「警報」が発生する基準値を設けている(警報の継続基準値は10人)。

 12月20日時点の定点あたり報告数は29.94人で前週33.72人より減少したものの、11都道府県では前週報告数より増加。都道府県別では大分県(55.17)がもっとも多く、宮崎県(53.26)、宮城県(49.13)、北海道(47.25)、三重県(41.28)など23道県で警報レベルを超えた。年齢別では最多が5~9歳(約20.4万人)で、10~14歳(約17.9万人)、15~19歳(約10.4万人)、0~4歳(約10.2万人)が続く。

 インフルエンザ様疾患発生報告(第15報)によると、全国の保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校の休校・学年閉鎖・学級閉鎖の校数は、前年同期43校を大幅に上回る6,334校にのぼった。内訳は休校が145校、学年閉鎖が1,447校、学級閉鎖が4,742校。患者数は9万9,323人(前年同期831人)で、うち欠席者数は8万6,738人(前年同期752人)となった。

 直近5週間(2023年第46週~第50週・11月13日~12月17日)のインフルエンザウイルスは、AH3亜型が205件(58%)、AH1pdm09が135件(38%)、B型が13例(4%)の順に多く検出されている。

 またインフルエンザに加え、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎(いわゆる溶連菌による咽頭炎)の流行も拡大。1医療機関の定点あたり報告数の警報基準値は8人とされる。2023年第50週(12月11日~12月17日)の1医療機関の定点あたり報告数は、埼玉県が8.04人と基準値越え、東京都は6.05人と都全体としての警報基準に達したことから、12月20日と21日にそれぞれ流行警報を発令した。2都県ともに警報を発令するのは、統計のある1999年以降初めてだという。

 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、おもに飛沫感染と接触感染により感染するもっとも一般的な原因菌で、学童期の小児に多い。典型的には、2~5日の潜伏期間の後、突然38度以上の発熱、のどの痛み、苺状の舌などの症状が現れる。熱は3~5日で下がり、1週間以内に症状は改善に向かう。ただし、まれに重症化し、のどや舌、全身に発赤が広がる「猩紅熱(しょうこうねつ)」に移行することや、リウマチ熱や腎炎の原因となることもあり、注意が必要だ。

《川端珠紀》

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