大学1年生「充実度」過去最低…学生生活実態調査

 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は2021年3月8日、「第56回学生生活実態調査」の概要を公表した。新型コロナウイルス感染拡大後としては初めての調査となり、1年生の学校生活の充実度は、設問を設けた1983年以降最低値となっている。

教育・受験 大学生
1か月の生活費(自宅生)
  • 1か月の生活費(自宅生)
  • 1か月の生活費(下宿生)
  • 受給している奨学金の種類
  • この半年間のアルバイト状況
  • 学生生活は充実しているか/「大学が好き」な学生の非充実度
  • 日常生活で気にかかっていること
  • 就職で不安に感じる内容
 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は2021年3月8日、「第56回学生生活実態調査」の概要を公表した。新型コロナウイルス感染拡大後としては初めての調査となり、1年生の学校生活の充実度は、設問を設けた1983年以降最低値となっている。

 学生生活実態調査は、1963年より毎年秋に実施(未実施年あり)している。第56回は、2020年10~11月にインターネットを利用し、全国の国公立および私立大学の学部学生を対象に実施し、1万1,028(30大学 回収率32.6%)の回答を得た。調査内容は、収入・支出、奨学金受給、アルバイト、登校日数、オンライン授業状況、サークル所属、就職活動、大学生活充実度、勉強時間、読書時間、大学生協利用状況など。

 自宅生の収入合計は6万2,820円で、前年から4,660円、2018年からは4,930円それぞれ減少。費目別には「アルバイト」が3万7,680円で前年から3,550円減少した。「アルバイト」の収入は2011年から9年ぶりの減少となった。収入構成比は60.0%で前年から1.1ポイント減少している。支出合計は6万2,130円で、前年から3,950円、1970年以降でもっとも高かった2018年から5,070円減少した。

 下宿生の収入合計は12万2,250円で前年から7,610円減少し、1970年以降で前年からの減少額がもっとも大きくなった。費目別には「仕送り」が7万410円で前年から2,400円減少し、収入構成比は57.6%となっている。仕送り「0」の下宿生は全体の8.6%となり、2016年以降4年ぶりに8%を超えた。「奨学金」は2万1,130円で前年から230円増、「その他(貯金引き出しなど)」は3,900円で前年から1,720円増加した。下宿生の奨学金受給者は、収入の46.5%を奨学金が占めており、「仕送り」は非受給者より4万8,640円少ない。支出合計は12万1,180円で前年から7,910円減少し、1970年以降前年からの減少額がもっとも大きくなった。

 半年間(4~9月)のアルバイト就労率は72.4%と前年から11.5ポイント減少。学年別では1年生の減少が大きく、1年生59.1%(前年から19.1ポイント減)、2年生79.5%(同8.8ポイント減)、3年生80.0%(同7.7ポイント減)、4年生73.6%(同8.4ポイント減)。社会的生活行動制限の影響を大きく受けた1年生の「新規にアルバイト先を探したが見つからなかった」(6.2%)は、2~4年生より4ポイント前後多かった。

 学生生活が「充実している」+「まあ充実している」は74.2%と前年から14.6ポイント減少し、2005年から80%以上が続いていたが大きく下回った。特に1年生では56.5%と、この設問を設けた1983年以降最低値となった。「大学が好き」+「まあ好き」と答えた学生も、2020年は学生生活の充実度が突出して下がっている。また、学生生活が「充実していない」+「あまりしていない」と感じていて、「友だちができない」と気にかけている1年生は52.2%と過半数にのぼり、2~4年生よりも高い結果となった(学生生活が「充実していない」+「あまりしていない」を100として)。

 就職に対して不安を「とても感じている」+「感じている」は全体の74.5%で、前年から1.9ポイント増。2年生は80.2%で同3.7ポイント増、3年生は83.3%で同4.0ポイント増と、これから本格的に就職活動を行う学年で不安が増加している。就職予定者のうち「不安を感じている」を100として「就職ができるか(内定がもらえるか)」73.1%(1年生80.4%・2年生81.6%・3年生85.5%・4年生25.9%)は、前年より11.4(1年生10.4・2年生10.9・3年生12.5・4年生6.8)ポイント増加している。
《田中志実》

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