花粉症、30年後に発生量半減へ…政府が対策を取りまとめ

 政府の「花粉症に関する関係閣僚会議」は2023年5月30日、30年後に花粉発生量の半減を目指す「花粉症対策の全体像」を取りまとめた。花粉発生源となるスギ人工林を10年後には約2割削減し、花粉量の削減を加速化するとしている。

生活・健康 その他
花粉症対策の全体像(案)
  • 花粉症対策の全体像(案)
  • 「発生源対策」の工程表
  • 「飛散対策」の工程表
  • 「発症・曝露対策」の工程表

 政府の「花粉症に関する関係閣僚会議」は2023年5月30日、30年後に花粉発生量の半減を目指す「花粉症対策の全体像」を取りまとめた。花粉発生源となるスギ人工林を10年後には約2割削減し、花粉量の削減を加速化するとしている。

 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会の調査データによると、花粉症の有病率は2019年時点で4割超にのぼる。政府は、花粉症が多くの国民を悩ませ続けている社会問題であり、対処するためには関係省庁の縦割りを排し、さまざまな対策を効果的に組みあわせて実行していく息の長い取組みが必要だとして、4月に「花粉症に関する関係閣僚会議」を設置した。

 今回公表した「花粉症対策の全体像」は、今後10年を視野に入れた施策も含めて、花粉症という社会問題を解決するための道筋を示すもの。花粉症の実態、花粉の発生源となるスギ人工林の将来についてもまとめている。

 花粉症対策については、「発生源対策」「飛散対策」「発症・曝露対策」を3本柱にあげ、具体策を示している。たとえば、「発生源対策」では伐採やスギ材需要の拡大等により、10年後の2033年度には花粉の発生源となるスギ人工林を約2割削減し、将来的(約30年後)には継続した取組みにより花粉発生量の半減を目指すとしている。

 飛散対策では、精緻化されたスギ花粉飛散量データを民間事業者に提供し、民間事業者が実施する予測の精度向上を支援。スギ雄花花芽調査を現行の34都府県から全国に拡大し、調査地点を倍増させることで、発生源の状況把握の強化を進める。また、スギ花粉の飛散防止剤の開発を促進し、5年後に実用化のめどを立て、速やかに実行することを目指す。

 「発症・曝露対策」では、花粉症の治療について、関係学会と連携した診療ガイドライン改訂や対症療法等の医療・相談体制の整備に引き続き取り組む。アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法等)が、花粉が飛散していない時期に治療を開始する必要があることを踏まえ、治療を必要とする患者が花粉の飛散時期終了後速やかに医療機関を受診できるよう、適切な情報提供や集中的な広報を実施する。花粉対策の認証制度の認知拡大や取得製品の拡大・普及等も推進する。

 今後、「花粉症対策の全体像」に盛り込まれた対策はフォローアップを行うことで随時改善。対策ごと工程表も作成しており、解決に向けて目に見える結果が出るよう、縦割りを排し、政府一丸となって速やかに実行するとしている。

《奥山直美》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top