金融教育、6割以上が「行うべき」…実績は米国の3分の1

 家計管理や生活設計などの「金融教育」について、6割以上の人が「行うべき」と考えていることが6月17日、金融広報中央委員会が実施した「金融リテラシー調査」の結果から明らかになった。「行うべき」とした人のうち、実際に金融教育を受けたという人はわずか8.3%だった。

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金融教育を求める声と実績とのギャップ
  • 金融教育を求める声と実績とのギャップ
  • 金融教育の経験
  • 金融知識に関する自己評価
  • 金融リテラシー・マップの分野別正答率
  • 誤問題の正答率(年齢層別)
  • 金融教育を受けた人の割合
  • 金融教育の効果
  • 正答率が高い人の特徴
 家計管理や生活設計などの金融教育について、6割以上の人が「行うべき」と考えていることが6月17日、金融広報中央委員会「知るぽると」が実施した「金融リテラシー調査」の結果から明らかになった。「行うべき」とした人のうち、実際に金融教育を受けたという人はわずか8.3%だった。

 調査は、金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状把握を目的に、金融広報中央委員会が2月29日から3月17日まで、全国の18~79歳の男女25,000人を対象にインターネットで実施した。金融広報中央委員会としては、2011年の「金融力調査」に続き2回目の実施となるが、2014年に策定した「金融リテラシー・マップ」の体系を踏まえた大規模調査としては国内初だという。

 金融教育について聞くと、62.4%が「行うべきと思う」と回答。「思わない」12.9%、「わからない」24.7%を上回った。「金融教育を行うべき」と回答した人のうち、実際に金融教育を受けたことがある人は8.3%。金融教育を受けた人の割合は米国の3分の1で、金融教育を求める声と実績にはギャップがみられた。金融教育を受けた人の割合は、「学校など」6.6%、「家庭」19.8%。金融知識について自信があるという人は1割にとどまった。

 金融知識・判断力について、正誤問題を点数化して調査した結果、全体の正答率は55.6%。金融リテラシーマップの分野別では、「金融取引の基本」が72.9%ともっとも高く、「金融・経済の基礎」が48.8%でもっとも低かった。正答率は、18~29歳の年齢層が42.9%ともっとも低く、年齢が上がるとともに上昇する傾向にあった。

 ただ、「金融教育を受けた」と回答した学生の正答率は56.4%と、金融教育を受けていない学生の正答率38.2%よりも高く、全年齢層の平均55.6%も上回る結果となった。金融教育を受けた人は、金融商品購入時にほかの商品と比較するなど、望ましい金融行動をとる割合が高かったほか、「学校での金融教育の必要性を認識している」という人は88.3%にのぼった。

 都道府県別の分析では、正答率は「奈良県」の60.5%がもっとも高く、「香川県」59.4%、「京都府」58.2%、「岡山県」58.0%、「鹿児島県」57.9%の順に高かった。もっとも低かったのは「山梨県」の48.7%で、「沖縄県」51.3%、「山形県」51.6%、「青森県」51.7%、「鳥取県」「長崎県」52.5%の順に低かった。

 正答率は、金融トラブル経験者や緊急時に備えた資金確保者の割合と相関があり、正答率の低い県は金融トラブル経験者の割合が相対的に高く、正答率の高い県は緊急時に備えた資金を確保している人の割合が相対的に高くなっている。

 金融広報中央委員会では、今後の課題について「金融教育を求める声にこたえるべく、より広範に各年齢層の重点課題を念頭に置きつつ、金融教育などを実施していくことが必要」としている。
《奥山直美》

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