奨学金は敬遠傾向、貯蓄を切り崩す家庭増加

 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は、「2016年度保護者に聞く新入生調査」の結果を公表した。奨学金を敬遠する傾向がみられ、受験や入学費用には貯蓄を切り崩す家庭が増えたほか、入学式に父親が参加する家庭は3割いることがわかった。

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画像出典:全国大学生活協同組合連合会
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  • 受験から入学までにかかった費用
  • 2016年度保護者に聞く新入生調査
 全国大学生活協同組合連合会(大学生協)は、「2016年度保護者に聞く新入生調査」の結果を公表した。奨学金を敬遠する傾向がみられ、受験や入学費用には貯蓄を切り崩す家庭が増えたほか、入学式に父親が参加する家庭は3割いることがわかった。

 調査は、2007年から毎年4月~5月に新入生の保護者を対象に実施。受験から入学までにかかった費用や受験から入学までに困ったこと、大学生活を送る際の不安など保護者の意識や大学生協の事業に対する評価を調査している。2016年度は122大学生協の2万906人の回答をまとめた。

 受験から入学までにかかった費用には、出願するためにかかった費用、入学した大学への納付金、教科書・教材購入費、住まい探しの費用、生活用品購入費用、引っ越し費用などが含まれる。自宅生では国公立大学が125万6,300円。私立大学が149万2,100円。下宿生では国公立大学が200万8,000円、私立大学が222万2,700円だった。

 受験から入学までの費用の平均額は、国公立大学・自宅生・医歯薬系の123万9,600円がもっとも低く、もっとも高かったのは私立大学・下宿生・医歯薬系の292万7,700円となった。医歯薬系は、受験した学部数の平均が2.6学部で文科系(3.3学部)、理工系(3.2学部)と比較して少ないため、「受験料」が2~3万円低くなっている。

 費用の工面として、「貯蓄を切り崩した」と回答した人は34.9%おり、5年前の2011年と比較して5.9ポイント増加し、ここ5年間で最多となった。また、「学資保険に入っていた」は53.9%で、もっとも高かった2013年と比較して8.0ポイント減少し、中でも私立大学の自宅生では10.5ポイントも減少した。

 「奨学金を申請した」と回答した人は34.4%おり、前年から0.3ポイント増えているが、ここ5年間でもっとも高かった2012年の39.2%から5ポイント弱減少し、中でも国公立大学の下宿生は前年から2.0ポイント減で5年間では7.6ポイント減っている。

 また、入学した大学のオープンキャンパスには新入生の半数近くが参加。推薦生になると7割以上となり、前年から4.4ポイント増加した。中でも推薦・自宅生が84.6%と高いが、推薦・下宿生も前年から5.5ポイント増えて67.8%が参加。一般生と比較して、推薦生の参加に「母親」が同行している割合が33.3%と一般生より20ポイント以上高く、中でも推薦・自宅生は前年より7.1ポイント増の34.3%となった。

 入学式には新入生の97.4%が出席。そのうち約7割に同行者がおり、もっとも多いのが「母親」で67.2%、「父親」は29.1%。「父親」が同行する割合は下宿生が29.8%と、自宅生より1.4ポイント高かった。また、推薦生のうち下宿生の「父親」の入学式参加は35.1%と自宅生より7.5ポイント高く、前年から4.8ポイント増加。数年の動向をみると、オープンキャンパス、入学式は家族の同行がわずかであるが増加傾向にあった。
《田中志実》

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