4割の公立保育園「使用済みおむつ」持ち帰り…0%は3県のみ

 公立保育園がある全国1,461の市区町村のうち、約4割にあたる市区町村が使用済みおむつを保育園で廃棄せず保護者に持ち帰らせていることが、BABY JOBが実施した調査から明らかになった。使用済みおむつ持ち帰り0%の自治体は、愛媛県、石川県、青森県の3県のみ。

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全国おむつ持ち帰り状況マップ
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  • 保育園からおむつの持ち帰りをなくすことを目指して(イメージ)
 公立保育園がある全国1,461の市区町村のうち、約4割にあたる市区町村が使用済みおむつを保育園で廃棄せず保護者に持ち帰らせていることが、BABY JOBが実施した調査から明らかになった。使用済みおむつ持ち帰り0%の自治体は、愛媛県、石川県、青森県の3県のみだった。

 保育園向けの紙おむつ定額制サービス「手ぶら登園」等を中心に、子育てに関する社会課題の解決に取り組むBABY JOBは、取組みの一環として「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」を立ち上げ活動している。今回、2022年2月15日~3月15日にかけて、公立保育園における使用済みおむつの持ち帰り状況に関する全国調査を実施。公立保育園がある全国47都道府県、計1,461市区町村の保育課保育園担当者に電話による聞き取り調査を行った。

 調査の結果、使用済みおむつの持ち帰り率がもっとも高かったのは「滋賀県」89%。ついで、「長野県」85%、「京都府」73%、「香川県」69%、「島根県」「山口県」67%という結果に。甲信地域以西で使用済み紙おむつを保護者に持ち帰らせる割合が高く、甲信以西の地域では沖縄以外は全国平均の39%を上回り軒並み40%以上となった。

 一方、把握していない・不明を除き、愛媛県、石川県、青森県の公立保育園がある市区町村では、使用済みおむつを持ち帰らせている割合は0%だった。ついで、持ち帰りの割合が低いのは、「沖縄県」5%、「秋田県」6%、「富山県」7%等。愛媛県に隣接する香川県では69%、石川県に隣接する福井県では65%の市区町村がおむつを持ち帰らせている実態もあり、都道府県ごとに対応に大きな差があることがわかる。

 使用済みおむつを持ち帰らせている理由は、「便による体調確認」がもっとも多く43%。その他、「これまでの慣習・不明」30%、「ごみの保管・回収の手配で問題がある」14%、「予算がつかない」9%、「保護者からの要望がない」が4%となった。

 5年以内に持ち帰りから園廃棄へ変更した市区町村の数は148、今後、園廃棄に向けて検討している市区町村は68。近年、新型コロナウイルスの影響もあり、感染症対策として園廃棄へ変更している市区町村もあるという。約200の市区町村が使用済みおむつの持ち帰りに対し問題意識を持って対応している一方、約400の市区町村が「検討する予定はない」と回答しており、意識が2極化していることが明らかになった。

 従来の持ち帰りから園廃棄に変更した事例としては、「保護者から衛生的によくない、持ち帰っても便を見ていないと要望があったため、数年前に園廃棄に変更した(東京都新宿区)」「利便さを求める保護者の要望が多く、3年前から予算を取って園廃棄に変更。便に異常がある時は連絡帳等で伝え、顕著な異常の時は使用済みおむつを渡すこともある(東京都練馬区)」「コロナのこともあり、衛生面を考えて園廃棄に変更した(宮城県仙台市)」「コロナの影響、ノロウイルス等の感染症も以前から課題となっていたため園廃棄に変更した(福岡県那珂川市)」等がみられた。また、「令和2年度からコロナ関連の給付金を活用して、園廃棄の対応をしている(宮城県桶谷町)」と予算面で工夫している事例もあるようだ。
《畑山望》

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