埼玉県学力調査、コロナ禍でも学力は過去と同等レベル

 埼玉県教育委員会は2022年10月21日、2022年度埼玉県学力・学習状況調査の結果等について発表した。コロナ禍においても小中学生の各教科の「学力のレベル」は、過去の同学年と同様のレベルに達し、学年が上がるごとに着実な「学力の伸び」がみられることがわかった。

教育業界ニュース その他
「学力のレベル」の経年変化
  • 「学力のレベル」の経年変化
  • 学力が伸びた児童生徒の割合
  • 埼玉県学力・学習状況調査について
  • 埼玉県学力・学習状況調査について
  • 児童生徒質問紙調査の結果
  • 児童生徒質問紙調査の結果
  • 児童生徒質問紙調査の結果
  • 今後の埼玉県学力・学習状況調査

 埼玉県教育委員会は2022年10月21日、2022年度埼玉県学力・学習状況調査の結果および結果の活用について発表した。コロナ禍においても小中学生の各教科の「学力のレベル」は、過去の同学年と同様のレベルに達し、学年が上がるごとに着実な「学力の伸び」がみられることがわかった。

 埼玉県では、2005年度から子供たちの学力や学習に対する興味・関心等に関する調査を実施。2015年度から調査内容を一新した「埼玉県学力・学習状況調査」を独自にスタートさせている。

 2022年度は5月9日から18日、埼玉県内の公立小中学校(さいたま市を除く)に在籍する小学4年生から中学3年生までの全児童生徒27万4,326人を対象に実施。教科に関する調査は、国語、算数・数学、英語(中学2~3年生のみ)。学習意欲や生活習慣等に関する質問紙調査、学校や市町村委員会に対する調査も行った。

 教科に関する調査では、学力を36段階(12レベル×3層)の「学力のレベル」で掲示。2017年度から2022年度まで6年間の経年変化を分析した結果によると、どの学年も過去の同学年と同等の「学力のレベル」に到達。ほぼすべての学年・教科で、学年が上がるごとに着実な「学力の伸び」がみられた。

 学校の臨時休業やオンライン授業等、2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響があったが、各教科の学力のレベルは、過去の同学年と同様のレベルに達していることが明らかになった。

 学力が伸びた児童生徒の割合について、2022年度の結果と過去6年間の平均を比較したところ、国語では約6~8割の児童生徒の学力が伸長。過去6年間の平均と比べて、中学2年生で学力が伸びた生徒の割合が多い一方、小学5年生で学力が伸びた児童の割合は少なくなっている。

 算数・数学では、約6、7割の児童生徒の学力が伸長。過去6年間の平均と比べて、中学2年生で学力が伸びた生徒の割合が多い一方、中学3年生で学力が伸びた生徒の割合は少なくなっている。英語は、過去6年間の平均と同様に約8割の生徒の学力が伸びている。

 児童生徒の質問紙調査の結果によると、主体的・対話的で深い学びと学力の関係について、授業で学んだことが以前に学習した知識とつながったことが「よくあった」「ときどきあった」と答えた児童生徒ほど、学力が高い傾向にあった。

 コロナ禍における授業の工夫については、前学年と比べて授業の進むスピードが「速いと感じた」「どちらかというと速いと感じた」と回答した生徒が減少しており、コロナ禍前の授業進度に戻りつつあることがうかがえる結果となった。

 一方、タブレット端末については、前年度(2021年度)と比べて授業で活用する機会が増加。特に小学6年生の国語では、タブレット端末の活用例として「課題を提出する」「ドリル等の学習をする」「動画を撮影したり録音したりする」が、前年度に比べて大きく伸び、算数でも課題提出等の活用法が前年度から大きく伸びている。

 今後の埼玉県学力・学習状況調査は、2023年度に一部CBTで実施し、2024年度に全校CBTで実施を目指す。埼玉県教育委員会では、CBT化のメリットに「正誤の状況に加えて解答時間も分析することで児童生徒のつまずきを把握し、より細かな指導が可能」「CBTの特性を生かした問題として、映像を活用して、より実際の学習場面に則した出題が可能」をあげている。

 埼玉県のWebサイトでは、調査で出題した問題概要を学年・教科ごとに掲載。市町村別結果一覧、教科に関する調査問題の「復習シート」等も公開している。


10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方
¥1,540
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《奥山直美》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top